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記者まちかど探訪 足に抱えているのは何? 大戸神社の狛犬

タウンニュース

明治40年10月に建立された狛犬。日露戦争の従軍兵士が奉納

太平洋戦争が終わり、今年で79年。「戦禍の記憶」と題して、本紙では昨年から8月に合わせて、当時を体験した区内在住の人たちの話を聞き、紹介してきた。

その中で、川崎大空襲の話をしてくれた人もおり、中原区でも戦争の傷跡が残っていないかと探していた時に見つけたのが「大戸神社の狛犬」だ。この狛犬の珍しい点は、砲弾を抱えていること。戦争にゆかりのものかと思い、調べて見た。

神社本庁のウェブサイトでは、「狛犬」について「邪気を祓い、神前守護の意味を持つとされている」とある。

下小田中の大戸神社は手刀雄命(タヂカラオノミコト)を御祭神とし、武蔵国世田谷城主七代、吉良左兵衛門の家臣、内藤豊前舎弟の内藤匠之助が1504〜1521年に吉良家の領地である下小田中村に居を移した時代に、信濃国戸隠大明神の祭神天手力雄尊の陰を勧請したものと言われており、社殿は1639年に建立され、1681年に再造営されたという。

同神社の狛犬はいつできたのか、なぜ砲弾を抱えているのか、その理由が同神社のあゆみに記されていた。「明治三十七、三十八年の日露戦争に従軍した兵士十二名で奉納した物で戦勝祝いという事で大砲の弾を抱えている珍しい狛犬です」とある。1907(明治40)年10月に建立され、松原延太郎が作った記録が残っている。同神社の関係者に聞くと「明治時代の話で当時を知る人もいない。この資料に残っているだけ」とその経緯について話す。

川崎市教育委員会によると砲弾を抱えた狛犬は、市内に川崎区の大島八幡神社、宮前区の有馬神明社にあり、大戸神社の狛犬は川崎市地域文化財の有形民俗文化財として顕彰されており、市教育委員会の担当者は「全国的にも多くないと聞いており、珍しいもの」と話す。

先の大戦のものではなかったが、戦争にまつわる史跡の一つと言っていいだろう。

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