地元の食材や食器を使った「BISTRO NAOMI」の個性豊かなフランス料理。
JR吉田駅前に「BISTRO NAOMI(ビストロナオミ)」というフランス料理店があります。地元・燕市の食材や製品にこだわり「うちでしか食べられない料理」にこだわったお店です。そのため、定休日も食材探しや仕込みに費やしているそう。そんな貴重な定休日にお邪魔して、オーナーの塚原さんからお店やお料理についてお話を聞いてきました。
BISTRO NAOMI
塚原 直己 Naomi Tsukahara
1979年燕市(旧吉田町)生まれ。東京、フランスのリオンでイタリアンやフレンチの修業を積み、新潟に戻った翌年の2009年に「BISTRO NAOMI」をオープン。
フランス料理の複雑な味わいに魅了される。
——ぐるりと窓に囲まれていて明るい店内ですね。
塚原さん:ありがとうございます。元は父が営業していたファミリーレストランだったんですよ。
——じゃあ、昔からお父さんのお店を継ごうと思っていたんですか。
塚原さん:本当は福祉や医療の道に進んで、人を助けるような仕事をやりたかったんです。でも父から「人を助けるんだったら、俺を助けてくれ」と言われちゃいまして(笑)。それで店を継ぐ覚悟を決め、東京のイタリアンレストランで料理の修業をはじめました。
——それまで料理の経験はあったんですか?
塚原さん:目玉焼きすら作れないレベルでした(笑)。そのせいでかなり厳しく鍛えられましたけど、高校時代に強豪バレーボール部に所属してハードな練習に耐えた経験が役立ちました(笑)。厳しい先輩を追い抜きたいという反骨精神を持ちながら修業に励んだおかげで料理が上達したと思っているので、今ではその先輩に感謝しています。
——東京で修業した後は、新潟に戻ってこられたんですか?
塚原さん:実はフランスのリオンで語学留学しながら、現地の料理店で修業したんです。
——ええっ、どうしてフランスへ?
塚原さん:働いていたイタリアンレストランにフランス料理出身の先輩がいて、よくフレンチレストランに連れて行ってもらったんです。そのうちフランス料理の複雑な味わいに魅力を感じて、興味を持つようになっていきました。
——フランスで生活してみて、勉強になったことはありますか?
塚原さん:フランス料理ならではの素材に対する知識がつきましたし、何より刺激を受けましたね。帰国後は東京のフレンチレストランで働きはじめて、フランス料理の修業を積みました。
——そこでの修業ではどんなことを学んだんでしょう?
塚原さん:フランス料理のベースはすべてそのお店で学びました。銀座にオープンした系列店ではマネージャーとしてサービスを担当していたので、どうしたらお客様が喜んでくれるのかを考えるようになりましたね。ワインの知識もついたので、新潟に帰ってからソムリエの資格を取りました。
お客様の「美味しかった」が怖い。
——新潟に帰ってすぐ「BISTORO NAOMI」をオープンしたんでしょうか?
塚原さん:新潟に帰った翌年の2009年にオープンしました。最初は鴨肉や鳩肉、フォアグラを使った伝統的なフランス料理を作っていたんですけど、ある食器メーカーの社長さんに「こんなフランス料理ならどこでも食べられる」と言われてしまったんです。
——けっこう厳しい言葉ですね。
塚原さん:その言葉をきっかけに、この店でしか食べられない料理、自分にしか作れない料理にこだわりはじめたんです。
——例えばどういう料理でしょうか?
塚原さん:地元の食材を使ったフランス料理です。食材だけではなく、カトラリーも「洋食器の街」として有名な地元の製品を使わせてもらっています。
——地元に根ざしたお店に変わったんですね。
塚原さん:そうなんです。あと、皿を見ただけでうちの料理とわかるくらい、オリジナリティにもこだわるようになりました。
——塚原さんが作る「BISTRO NAOMI」の料理って、どんな特徴があるんですか?
塚原さん:「映え」はあまり気にしていません。むしろ見た目はシンプルなんだけど、食べてみると複雑な味がバランスよく調和していて奥深さを感じられる料理を目指しています。食べた後も「ずっと食べ続けたい」と思わせるようなインパクトを残したいんですよ。
——そんな料理を作るために、心掛けていることはあるんでしょうか?
塚原さん:デミグラスソースはオープンから15年間継ぎ足しながら使っています。そうすることで、ソースとしての厚みが増していくんですよ。僕は新しくできたレストランにはあまり食べに行かないんですけど、それは歴史が浅い店だとソースに重厚さがないからなんです。
——15年分の厚みがあるデミグラスソースなんですね。
塚原さん:あとは時間と手間をかけて料理を作るよう心掛けていますね。最近は常連のお客様がかけてくれる「美味しかった」という言葉が怖いんです。
——「嬉しい」の間違いじゃないんですか?
塚原さん:もちろん嬉しい言葉ではあるんですけど、プレッシャーにもなっているんです。次回ご来店いただいたときも満足していただくためには、さらに美味しい料理を作らなけらばならないんですよね。だから定休日には食材を探し回ったり、仕込みに費やしたりしているんです。そのため定休日が週1回では足りなくて週2回に増やしました。
——なんとストイックな……。
塚原さん:おかげさまで15周年を迎えることができましたけど、これからも愛される店でいるために、お客様から満足していただけるよう進化し続けていかなければならないと思っています。
BISTRO NAOMI
燕市吉田堤町3-1 東屋ビル2F
0256-92-2234
11:30-14:30/17:30-22:00
月火曜休