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切り替えできない自閉症息子と自我炸裂の妹…板挟みで母は白目に!わが家の対策ご紹介

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切り替えできない自閉症息子と自我炸裂の妹…板挟みで母は白目に!わが家の対策ご紹介

監修:新美妙美

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教

こだわりもなく、場面の切り替えに何の困難さもなかった乳児期から2歳頃

わが家の息子は2歳半で自閉スペクトラム症と診断されました。乳児期から2歳過ぎまで、何に対しても興味が薄く反応が少なかった息子。当時はおもちゃで遊んでいても、おもちゃが目の前からなくなればすぐに諦めてくれたため、場面の切り替えの困難さとは無縁でした。それよりも当時は、敏感でお昼寝中にすぐ起きてしまうことや、運動面の発達がゆっくりなことに悩んでいて、良く遊んでいたママ友があの手この手で子どもを次の行動へ誘っている姿を見て、「大変な部分はそれぞれ違うんだなぁ」と感じていました。

(この時は知らなかった……そう遠くない未来にめちゃくちゃ悩むことになろうとは!!)

少しずつ興味も増え、切り替えが難しくなってきた…

3歳前になると、何に対しても興味の薄かった息子も徐々に好きな遊び、物事が増えてきました。
その中でも特に電車が好きだった息子のため、実物の電車や踏切を見に行ったりしていたのですが……そこで徐々に「おしまい」を拒否するようになってきました。まだまだ切り替えの困難さは序の口だった息子なので「自我が芽生えてきたなぁ!! 成長だぁ!」なんて喜ぶ余裕がありました(……すぐそんな余裕なくなります(笑))。

このように成長してきた息子でしたが、息子の1歳下に生まれた娘もまた、当然成長していきます。1歳半を過ぎ、一人歩きもしっかりとしてきて行動範囲も広がった娘は、自我が炸裂するようになってきました(娘は3歳9ヶ月頃にADHDと診断されています)。
娘は歩き回りたい、息子は止まって電車を見たい……2人のかみ合わない欲求のしわ寄せは全て私に降りかかります(笑)。

あの手この手の切り替え方法一覧

月並みですが、わが家の5歳児と4歳児を切り替えている方法がこちらです。

・より興味のあるおもちゃや物で誘う
→違う遊び(公園や虫取り、外遊び)に誘う
→みんな大好きシャボン玉
→おやつタイム

・カウントダウンで終わりを決める
→あと〇回で終わり
→時計の針が〇の数字で終わり
→タイマーがなったら終わり
→10秒カウントダウンする

・次の予定を伝える
→絵・文字で予定を描いて視覚的に伝える
→予定を伝えた後「次は何するんやった?」と確認する

・ご褒美作戦
→できたらシールを貼る
→そのシールが〇枚集まったらご褒美(お菓子orおもちゃ)
→頑張れたら行きたいところ(電車に乗る、遊園地に行くなど)に行ける

・自分で決める
→終わり(回数・時間)を自分で決めてもらう
→お昼ごはん前なら、何をお昼に食べたいか決めてもらう

・説得する
→おしまいにしなきゃいけない理由を説明する
→お気に入りのぬいぐるみで説得

・説得できたほうと先に楽しい雰囲気を出す
→特にお風呂の時、先に入って遊ぶ声を大袈裟に聞こえるようにする

・2人とも説得できなかった時は、それぞれのお気に入りのぬいぐるみと先に行く

上記をその時その場で組み合わせて切り替えられるように持っていきますが、もちろん全てお手上げの場合もあります(白目)。そんなときは時間が許す限り"無"で過ごします。時間がないときはもう力ずくです……。

終わりたくない、まだ遊びたいと言う気持ちは大切にしたいけど…

切り替えが難しいのは、いろんなことに興味を持ち始め、楽しめること・没頭できることが増えた証なので喜ばしいことなのですが……遊びがやめられずトイレを我慢して結果チョピ漏れすることもしばしばです。私自身が幼少期にトイレを限界まで我慢するタイプだったので気持ちは分からないでもないですが、やはり毎日漏らされてしまうと「いい加減にしろー!」と叫びたくもなります(泣)。

行動の切り替え、今後の見通しを立てることはまだまだ長い付き合いになりそうです(白目)。

執筆/海乃けだま

(監修:新美先生より)
みんなが苦労する切り替えできない問題の対策アイデアをたくさん教えて下さりありがとうございます。
自閉スペクトラム症のお子さんは、興味のあることに没頭しやすく過集中しやすいこと、今置かれている状況の把握がイマジネーションの弱さからパッとスムーズにいかないこと、社会性の理解の幼さから相手に求められてる行動をとろうするモチベーションが働きづらいことなどから、遊びがやめられず切り替えできなくて次の行動にうつすのに苦労するということは非常にしばしば起こります。興味あることに没頭しやすい特性からは、より強い興味、楽しみを切り替え時に挟むというのもよいですし、イマジネーションの弱さ対策として事前にスケジュールを伝えて、早めに予告するというのも有効です。あいまいな言い方で伝えるよりも、回数やタイマーなど具体的な目安があったり、視覚や音で注意を引き付けるといったこともいいですね。また、自分のペースだと行動しやすい、納得できると行動できるので、自分で決める、理由を本人に分かりやすくメリットがあるように伝えるというのもとても良い方法だと思います。

さまざまな観点から、発達特性にあった工夫をされていて勉強になりました。何がヒットするかは、その時の状況によるので、このようにいろんな対策の手数を増やしておくのは素晴らしいです。そして何をやってもヒットしない時、結局泣かせて終わるか大人が諦めるかという日があるのも正直しょうがないですよね。あるあるだよと思って楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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