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風の音に耳を澄ませる、目黒川を巡る『KAZE — body』運航レポート

タイムアウト東京

風の音に耳を澄ませる、目黒川を巡る『KAZE — body』運航レポート

夜の目黒川を舞台にしたサウンドアートプロジェクト「Meguro River Night Ambience」が、2026年9月4日から開催されている。同プロジェクトの中心となる作品は、世界各地でインスターレション作品を発表し、ライブパフォーマンスを行っているアーティスト・國本怜による『KAZE — body』だ。

同作品は無数の金属板が風を受けると音が鳴る「音の彫刻」で、その作品を船に乗せて目黒川を巡る。「天王洲ヤマツピア」から出航し、目黒の「雅叙園東京」前で折り返し、「五反田ふれあい水辺広場」で停泊。そしてまた天王洲へと戻る、というコースをたどる。本記事では、5日に行われた、記念すべき初出航の一夜をレポートする。

夕焼けが美しい18時過ぎ、「天王洲ヤマツピア」の船着場では作品が横に倒された状態で船に据えられ、運航を待っていた。

Photo: Kisa Toyoshima運行時は横たえられた状態

辺りが徐々に暗くなってきた18時20分ごろ、ゲートが閉じられ、運航の準備が始まった。船が静かに出発すると、横たわったままの作品からかすかな音が鳴り始める。水門をくぐり、五反田方面へと向かう船を見送った。

Photo: Kisa Toyoshima作品を乗せた船は、目黒川を五反田方面へ向かう

船より一足先に、作品が起き上がる予定の「五反田ふれあい水辺広場」へと移動。公式ウェブサイトでは船の現在地が表示され、到着まではもう少しだと分かる。すぐ近くの「山本橋」で待機していると、船のモーター音が聞こえてきた。橋の下を通過する船は、思ったよりも速いスピードで進んでいく。

Photo: Kisa Toyoshima「山本橋」をくぐる直前の船の様子

広場では、木々の上にスピーカーが何台も設置されており、サウンドアート本体の音と呼応するような、金属製の風鈴を思わせる國本が製作した音楽がスピーカーから流れていた。川沿いで少し涼しい風を浴びながら、夏の終わりをふと感じる。

船は目黒方面まで進んで折り返し、再び船着場へ戻ってくるという。山手線が目黒川を渡る橋の下に、船の鼻先が見えてきた。停泊の瞬間を見ようと、来場者たちが船着場のそばに集まってくる。

Photo: Kisa Toyoshima國本怜

船が停泊し、いよいよ作品が立ち上がる。ここでようやく、照明に照らされたサウンドアートの全景が見えた。たまたま居合わせた通行人たちも、興味深そうに夜の水辺へと歩み寄っていく。

Photo: Kisa Toyoshima会場のそばでは通りがかった人たちが「何これ!」と声を上げて水面へと近づいていく光景が度々見られた

風が吹くたびに作品から音が鳴る。ベンチに座って目黒川を眺めていると金属音と、橋の下を照らして水面を揺らめく祭りのような赤い怪しい光――。犬も寝そべって見上げていた。

Photo: Kisa Toyoshima来場者たちは作品に近づいてみたり離れて撮影してみたりと、思い思いに楽しんでいた

約1時間の停泊を終えると、作品はゆったりと再び横たわっていく。その倒れゆく音もまた、優しく鈴を鳴らすような、美しい音色だった。一仕事を終えた『KAZE — body』は再び船に身を委ねた。

次回の運航は、18日(金)から22日(火・祝)。取材時と同じく、「五反田ふれあい水辺広場」で船が停泊して、作品が立ち上がる予定だ。取材前日は悪天候のために運行が中止されていたが、無事にまたこの風の音を届けてくれることを願う。

Photo: Kisa Toyoshima少し離れたところから見ると、輝きが際立つ

また同プロジェクトの一環として、12日(土)に「東品川海上公園」で入場無料のライブイベントが開催される。國本をはじめ、Tatsuro Murakami & Shin Araki、Shöka feat. Kei Matsumaruといったライブアクト、そしてDJ Emerald、grrrdenがDJとして出演。屋形船を特設のステージにして、パフォーマンスを行う予定だ。

目黒川沿いの涼しい風を浴びながら、サウンドアートやミュージシャンが奏でる音はもちろん、周囲から発される音にも耳を澄ませに行ってみてほしい。

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