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世代つなぐ、笑顔広がる!遊べる農園ココイロこすもすファーム 釜石の新拠点へ

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 東日本大震災後に子どもの遊び場として整備され多くの人に親しまれた釜石市甲子町の「こすもす公園」。3年前に惜しまれつつ閉園したが、その跡地を生かし新たな取り組みが始まった。“笑顔あふれる公園”というコンセプトを引き継ぎつつ、“多世代の笑顔をつなぐ遊べる農園”に深化させ、今夏に開園。季節の移ろいを感じながら楽しい時間を過ごせる空間に“にこにこ顔”が続々と集まっている。

 遊び場、農園、カフェを併設する「ココイロこすもすファーム」は8月5日にオープン。同市の任意団体「ココイロいわて」(石塚佳那子代表)が運営する。

 開園から約1カ月を経た9月15日、農園で収穫したズッキーニやブルーベリー、地場産のフレッシュバジルなどを使った手作りピザを味わうイベントがあった。市内外の親子や夫婦ら10人余りが参加。地元特産・甲子柿入りのトマトソースなどを使った“おかず系”、果物をのせた“スイーツ系”のピザを作り、敷地内の石窯で焼き上げた。

農園で育った野菜をゲット!笑顔がいっぱい=9月15日


自然に触れながら思い思いにピザづくりを楽しむ参加者


 地元の小学生佐々木優綺さん(8)はひと口頬張り、親指を立てるサインで「いいね」と、おいしさを表現した。農園での種まき・苗植えを体験したり遊び場を駆け回ったり、“自分の庭”のように利用していると話し「めちゃくちゃ楽しい」とにっこり。母親の琴実さん(33)は「自由に遊べて食育にもなる。お気に入りの場所」と目を細めた。

みずみずしい食材たっぷりの手作りピザに大満足


 公園は震災前、コスモス畑だった。所有する藤井了さん(79)、サヱ子さん(80)夫妻が震災で遊び場をなくした子どもたちのために再整備。木製の大型滑り台などの遊具もあり親しまれたが、年齢を重ねる中で維持管理が難しくなり、遊具の老朽化などもあって2022年に閉園した。目の前にあったレストランは24年まで営業した。

地域の応援、仲間の力 重ね合わせ「持続可能な運営を」


 思いを引き継ぎたい―。石塚代表(37)は25年1月、気持ちを同じくする移住者や子育て中の母親らと団体を立ち上げた。農園や交流スペース施設の整備を目的にクラウドファンディング(CF)を実施。275人から目標の300万円を上回る約340万円が寄せられた。

ピザの作り方を伝える石塚佳那子代表(左)


 イベントに参加した人たちはCFの支援者。盛岡市の団体職員猪俣広志さん(58)、恵子さん(60)夫妻は以前、釜石で生活しており公園やレストランを利用していた。懐かしい思い出があったことから応援。新たな取り組みを歓迎し、「野菜をとっている子がかわいらしかった。自然の中で伸び伸びでき、新鮮な食材を味わえる場所が続いてほしい。孫を連れてきたいね」と笑顔を重ねた。

 違った形で応援する人もいる。同ファームが目指す子どもの遊び場、学びの場づくりに共感し、雫石町で小岩井農場を運営する小岩井農牧(本社東京)がオオヤマザクラの苗木2本を提供。10月1日、同社代表取締役社長の辰巳俊之さん(68)が運び込み植樹した。

苗木を届けた辰巳俊之さん(右)、石塚代表=10月1日


首都圏の企業ボランティアらが植樹作業を手伝った


 北方系の品種で丈夫、ソメイヨシノより濃いめのピンク色の花がつく。辰巳さんは「この地に根づき、開花したらうれしい。人と人の縁がつながり、笑顔の花がどんどん咲いて広がってほしい。願わくば、満開の木の下でピクニックしたい」と笑った。

 釜石と雫石の縁をつないだ奈良県天理市の種苗メーカー大和農園の金子久美さん(48)も一緒に作業した。食卓に彩りを添え、多くの“笑顔”を広げるため開発した、ルビーのような深い赤色に輝くトウモロコシ「大和ルージュ」を全国に紹介する活動を展開。石塚代表にも話を持ちかけ、今年同ファームで栽培した。サクラの植樹は、3者の願いと思いが重なり実現。金子さんは「同じ岩手、根っこでつながれ」と願った。

サクラの成長と開花を期待して作業に励んだ参加者


 「みんなが集う、その真ん中にサクラがあれば」。笑顔あふれる風景を想像する石塚代表は、大事に成長を見守る構え。植樹に加わったサヱ子さんは、思いを託した石塚代表に穏やかな視線を向け「続けるのには大変なこともあると思うが、できるだけ応援したい。行動力を生かし、もっと地域を元気にしてもらえたら」とほほ笑んだ。

新ファームを応援する藤井了さん(右写真・手前)とサヱ子さん(左写真・手前)


 富山県出身の石塚代表は復興支援ボランティアをきっかけに、14年に東京から釜石に移住。会社員として働きながら、藤井夫妻のサポートもしてきた。多くの人が関わり生まれた場所を「失わせたくない」と発起。2児(3歳と1歳)の子育て中で、「自然の中で好きに遊び、自由に過ごせる空間は貴重。多世代が交流し、地域に見守られながら子どもが育つ場所を」と一歩を踏み出した。

 遊び場には竹で作ったジャングルジムなどの遊具を用意。農園では野菜を植え、収穫を楽しめる。カフェは、地元でとれた季節の野菜や県産食材を使った料理を盛り付けたランチプレート(1200円)やカレー(1000円)、アレルゲン7品目が不使用のキッズカレー(500円)を提供。米粉と豆乳を使ったチーズケーキ、農園ブルーベリーをたっぷり使ったスムージーなども味わえる。

開園した「ココイロこすもすファーム」=9月15日


カフェの運営は石塚代表(右)ら3人体制=10月8日


 こすもす公園同様、たくさんの応援を力に新しい道をつくり始めたココイロこすもすファーム。石塚代表は「まだ学ぶことが多い。藤井さんたちが大事にしてきたことを大切にしながら、関わる人、来てくれる皆さんと一緒に遊べる農園をつくっていきたい。無理せず、持続可能な形で」と明るい表情を浮かべた。

多世代が遊べる農園!石塚代表が描く“青写真”


 火、水、金、土曜に営業。遊び場は午前10時から、カフェは午前11時半から、午後4時まで利用できる。交流を促すイベントなども企画し、インスタグラムで発信している。

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