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「最初は笑って見ていたものも、だんだん涙へと変わっていく」「胸がいっぱいになる作品です」──アニメ「霧尾ファンクラブ」染谷 波役・若山詩音さん【連載インタビュー第3回】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

2026年4月2日より放送開始となるTVアニメ「霧尾ファンクラブ」。ひとりの男子生徒をめぐって、揺れ動く友情や恋心(?)が騒がしくも愛おしく描かれる“青春群像劇”が、ついにアニメとして動き出しました。

アニメイトタイムズでは、本作の放送をもっと楽しむための連載インタビューを実施! 第3回となる本稿では、染谷波役・若山詩音さんが登場です。

柔らかく上品、しかし胸に秘める情熱はすさまじい波。親近感と少しの不穏さをにじませる波のお芝居は、どのように生み出されたのでしょうか。「霧尾ファンクラブ」愛があふれるインタビューをお楽しみください!

【写真】アニメ「霧尾ファンクラブ」染谷波役・若山詩音【連載インタビュー第3回】

「何を大切にしたいのかがハッキリしている子だと思うんです」

──「霧尾ファンクラブ」の物語にはじめて触れた際の印象をお聞かせください。

染谷波役・若山詩音さん(以下、若山):「霧尾ファンクラブ」という題名からもわかるように、ざっくり言うと「誰かを推す」ということに焦点が当たっている作品ですが、その中で展開される人間模様が本当に多種多様で。切り口の多さに感動しました。

推し活をしているときの情熱って、誰しもが持つ衝動だと思うんです。ときにはちょっと気持ち悪く捉えられてしまうこともあるのかなと思いますが、この作品では、その衝動がシュールでありながらも愛を持って描かれていて。そこにもすごく親近感が湧きましたし、作品の緩急としてもとても面白いなと思いました。

──キャラクターたちの表情もインパクトがあって。

若山:特に藍美ちゃんは……(笑)。やはりあの感情表現の豊かさも含めて推し活なんだろうなと思いますし「みんなその衝動を持ってるよな」という親近感も、そこから生まれるのかなと思います。

──そんな「霧尾ファンクラブ」へのご出演が決まったときはいかがでしたか?

若山:作品を読ませていただいて、このテンション感が大好きだったので、関わらせていただけることがめちゃくちゃ嬉しかったです!

実は藍美ちゃんのオーディションも受けさせていただいていたんです。自分の人間性というか、気持ちのエネルギー的な意味では藍美ちゃんに似ていると思っていたので、波役に決まってからは、波というキャラクターをどう表現していくかをたくさん考えました。

波は冷静に見えてその実、テンションの振れ幅が大きくて「そんなことも言っちゃうんだ」というギャップのあるキャラクターだと思っています。そんな波の魅力をみなさんに受け入れていただけるようにできるかどうか、原作を読んでいる方に「これが波だよね」と思っていただけるように演じられるかどうかは、プレッシャーに感じていた部分でもありました。

──波の人物像に近づくための準備や意識についても教えてください。

若山:オーディションのときから意識していたのは「上品なトーン」です。そこに波らしい「冷静だけど強いツッコミ」というギャップを出すためにどうするかは、かなり考えていました。

例えば藍美ちゃんだったら「オイ!」みたいに勢いのあるツッコミをすると思いますが、波は「え〜、そうなの?」のような勢いはないけれど圧のあるツッコミになるんですよね。「勢いを殺してツッコむ」といいますか、そんなツッコミの方法を意識していたかなと思います。

──「勢いを殺してツッコむ」のは、とても難しい表現なのではないかと思いました。

若山:難しかったです。最初は「波ってどんな感じなんだろう?」と探り探りで演じていて。ディレクションをいただきながら「なるほど、ここのセリフはそこまで張らずに、ちょっと上品にいこう」とか「普通の流れだけど、ツッコミ感はありつつ」のように調整していきました。

ツッコミ感を出しすぎて演じてしまうと、ちょっとわざとらしくて、波っぽくなくなる感覚があったんです。

──先ほど、人間性的には藍美に似ているとおっしゃっていましたが、例えばどのようなところにシンパシーを感じていたのでしょうか?

若山:良いものを見たときに、言葉がダーッと出てきてしまうところです。「やばい、やばい、めっちゃいいんだけど!」みたいに、マシンガントークになってしまう瞬間は特に藍美ちゃんに近いなって思います。心の衝動のようなものが、そのまま全部言葉に出てきちゃうんですよね(笑)。

──ちなみに、波と通ずるところも感じられていたり?

若山:人と接するときの自分を少し引いたところから見たときに、なるべく柔らかく、丸く、相手にとって刺激や害のないように接しようと意識しているような……そんなトーンは波に近いなと思っていて。

後々わかることなのですが、波自身にもそういう部分があるんです。藍美ちゃんとはまた違うベクトルで通じているところもあるのかなと思いました。

──波はどのような魅力を持ったキャラクターだと感じていますか?

若山:藍美ちゃんと一緒に霧尾くんを推している、というところでは同じですが、推し活の見え方が藍美ちゃんとは全然違うキャラクターだなと思っています。

情熱自体は藍美ちゃんと同じくらいあるのに、表情があまり大きく変わらない。だからすごく冷静に見えるんですよね。なのに、そこからふとギャップのある言葉が出てくる。その差がすごく素敵なキャラクターだなと思います。

でも実は、もっともっと深い気持ちを抱えていて。自分がどうしたいのか、自分にとって何を優先したいのか、何を大切にしたいのかがハッキリしている子だと思うんです。

この作品の中で、みんなそれぞれ苦しい思いをしていきますが、最後までずっと少しずつ苦しいのは、もしかしたら波なのかもしれないなと思っています。大変な気持ちを抱えながら生きている子なのかもしれません。

──物語の大きな部分を見るとギャグが面白くて楽しいお話に見えますが、それだけではなくて。

若山:すでに第1話のラストで少し匂わされていますよね。今の時点では明確には言えませんが「こういうことなのかな」と予想はつくんじゃないかなとも思っていて。その気持ちを少しだけ胸に残しつつ、この先も見続けていただけると、最後には波の気持ちにつながっていくと思います。なんとなくでも、あのシーンの波の姿を心に留めながら見ていただけたら嬉しいです。

「藍美ちゃんってすごいんですよ(笑)」

──藍美を演じる稗田さんとのお芝居はいかがでしたか?

若山:そもそも藍美ちゃんというキャラクターは勢いもあって、ツッコミもギャグも全部わーっとやってくれるキャラクターです。そこに合いの手を入れる波という関係性を心地よく演じられたのは、藍美役の稗田寧々ちゃんが引っ張ってくれたからだと思っています。

「霧尾ファンクラブ」は原作もアニメも、会話のテンポが良い作品です。藍美ちゃんがガーッと言ってくれて、波がツッコむ。たまに波もボソッとボケて、また藍美ちゃんがわーっと来て……そんな会話劇がとても楽しかったです。

──お二人の掛け合いにリアルさを感じていたのですが、ご相談なども重ねられたのでしょうか。

若山:いわゆる生っぽさのようなものに関しては、逆にあまり相談はしませんでした。ただ作品全体の雰囲気として、あまり作り込みすぎないというか……等身大の学生らしい会話を意識していたと思います。

動きにピッタリと合わせること以上に、そのときの「会話感」や「セリフに乗っている気持ち」に合わせていくことを許していただけた現場だったのかなと思います。

──外山監督も、稗田さんと若山さんの掛け合いを絶賛されていました。

若山:めちゃくちゃ嬉しいです……!

お芝居って掛け合いで生まれるものが大きいなと思っていて。稗田寧々ちゃんと掛け合いをさせていただけたことが本当に大きかったです。

──現実でも聞こえてきそうな会話感が丁寧に表現されているからこそ、作品と視聴者の距離が近く感じられるのかもしれません。

若山:嬉しいです……! もともと、地球のお魚ぽんちゃん先生が書かれる文体、セリフの空気感そのものが、私たちの話し言葉のリアルにとても近いんですよね。それを台本に落とし込んでお芝居にして……という流れがあるので、たどっていくと、やっぱりぽんちゃん先生に行き着くのかなと思います。

──霧尾くんのオナラ(想像)に対する藍美の「嬉しすぎるだろ」も、現実でよく聞くようなトーンだなと。セリフとしてのインパクトももちろんありますが……(笑)。

若山:あはは! 藍美ちゃんってすごいんですよ(笑)。

この先もトンデモワードがたくさん出てきて感じられると思いますが、藍美ちゃんは霧尾くんのすべてを受け止められるんですよね。序盤だとまだその片鱗くらいしか見えていませんが、この先もっとキャラクターが出てきて、その人たちが喋っている裏でも、トンデモないことを口に出しているんですよ。「これは地上波で初じゃなかろうか?」と(笑)。

──(笑)。

若山:「藍美ちゃん! それを受け入れるのはさすがに無理だぞ!」と思う瞬間もあって(笑)。そんなシーンや表現も「霧尾ファンクラブ」の魅力のひとつだと思うので、ぜひ見つけて笑っていただけたら嬉しいです。

そして藍美ちゃんの愛の深さも、この作品の大きな見せ場であり、真実に関わる部分だと思っています。まだ第2話の時点ではわからないことも多いですし、まだまだ見えていないところがたくさんあります。藍美ちゃんの愛の深さがどこから来ているのか、そこも楽しみにしていただけたら嬉しいなと思います。

原作も、アフレコの時点では完結していたので、前情報を全部入れた状態でアフレコに臨むことができました。だからこそ表現できたものなのかなとも思うので、本当に色々な方に感謝ですね。

──シリアスなシーン、ギャグシーンの温度差、高低差がある作品だと思うのですが、お芝居の面では明確にスイッチを切り替えることもあったのでしょうか?

若山:やはりベースにあるのが「等身大」なので、それが意外となくて。等身大で喋っている中で、色々な出来事が起こっていく感覚だったので、意外と切り替えずにできていたのかもしれません。

会話の流れを絶えることなく作っていただいていたので、その中で自然に乗っていけたことが大きかったのかなと思います。大きく切り替えずに済んだのは、やはりみなさんに引っ張っていただいていたおかげかなと思うので、本当に感謝ですね。

──そんなアフレコ現場で印象に残っていることはありますか?

若山:これは色々なところでお話ししているのですが、おかずを持ち寄るのが流行ったんです。最初は稗田さんがクラゲの頭を持ってきてくれて、今度はスタッフさんと梶原さんが自作のコロッケを持ってきてくださって。

コロッケって手間がかかるじゃないですか。それを自作で持ってきてくださって、現場がコロッケパーティーみたいになったことがありました。お腹が満たされる、幸せな出来事だったなと思います。

あと霧尾くん役の梶原(岳人)さんに、とある方のモノマネをしていただいたこともありました。それがもう本当にお上手で……!(笑) そんなこともありつつ、とにかく和気あいあいとした現場でした。

それから、稗田さんが原作の「霧尾ファンクラブ」のポップアップショップに行ってグッズを買ってきてくれたんです。私には波の証明写真風のグッズをくれて、それがめちゃくちゃ嬉しくて! とっても可愛いんですよ。

「霧尾ファンクラブ」のグッズって、ぽんちゃん先生のセンスが最高すぎてほしいものばっかりなんです。

──まるで学校の休み時間のようですね。

若山:とっても和気あいあいとしていました。もちろん緊張感がゼロなわけではないですし、真剣にやるときはもちろん真剣にやりますが、みんながお互いにリスペクトを持ちながら、和気あいあいとしている感じが素敵でしたね。

「『涙なめなめソング』が流行ってくれることを切に願っています」

──先日放送された第1話で、若山さんのお気に入りのシーンを教えてください。

若山:いっぱいありますが……まず、Aパートで描かれた肩車で霧尾くんの学ランを取りに行くところが大好きです。

学校の裏でイチャイチャしているカップルの表情がまずトンデモなくて(笑)。そこに突撃して学ランを取りに行くという流れが最高でした。しかも、そのあと藍美ちゃんが「キャキャーッ」って言いながら走り去っていくのも誠に愛らしいんですよ……! 本当に大好きです。稗田さんのお芝居も含めて愛おしい……!

あと実は、第1話に出てくる「マモちゃん」(ちっちゃいフサフサの猿)がいるのですが、あの声、私がやってるんです。

──へぇ!

若山:アフレコに行ったら「マモちゃんをやってください」と言われまして(笑)。猿を演じるのははじめてだったので「この種類の猿ってどんな声なんだろう……?」と、休み時間に調べていました。「霧尾ファンクラブ」のアフレコの中で、一番緊張したのはマモちゃんの声を入れる時だったかもしれません。

──登場までのエピソードも相まって、インパクトがありますよね。

若山:マモちゃんの飼い主さんのキャラの濃さも含めて好きですね……! あの“いそうな濃さ”みたいなものが、ぽんちゃん先生ならではだなと思います。

──まさか「マモちゃん(CV:若山詩音)」だったとは……。

若山:色々なレパートリーを持っておかなきゃいけないなと反省もしたマモちゃんのアフレコでした(笑)。すごく楽しかったです。

ちなみにマモちゃん、再登場します。そのときも私が声を入れさせていただいているので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!

あと、第1話で印象的なのはやはりラストです。このシーンがもう第1話で来るんだ、とビックリもしていて。明るいギャグコメディーから一歩踏み込んだ“匂わせ”のあるシーンですから。

──ちょうど波の目元が見えず、表情をうかがい知れないような描写でした。

若山:あの「つら」に、波の心情をどこまで入れ込むか、どこまでにじませるかを意識しながら演じていました。第1話は「波ってどんなことを考えてるんだろう?」というところで終わる回だったなと思います。

──次に放送された第2話のお気に入りシーンを教えてください。

若山:第2話はもう「涙なめなめソング」というトンデモコンテンツが!(笑)

やはり稗田さんの歌が本当に素晴らしくて。ご本人はとても素敵に歌を歌われる方ですが、作中では絶妙に“高校生が歌っている感じ”になっていてすごいなと思いました。その歌に藍美ちゃんの重たすぎる愛がしっかりと乗っかっています(笑)。

個人的に「涙なめなめソング」が完成するまでの流れも、原作から大好きだったんです。波がひょうきんな曲を突然弾き始めて「ひょうきんな曲弾いてんじゃねえよ」ってツッコまれる、あのくだりが本当に好きで!

原作だと、短くフレーズを弾いてすぐにツッコまれる感じでしたが、アニメではしっかり弾いてからツッコまれる流れになっていて。それがまた、アニメならではの音の使い方の表現だなと印象に残っています。

──改めてにはなりますが「涙なめなめソング」とは……と(笑)。

若山:もうちゃんとツッコミどころとして笑ってほしいです(笑)。めちゃくちゃ真剣に稗田さんが歌われている時にアフレコブースの後ろで聞いていて「何を歌ってるんだろう……」って思っていましたから。

でも、臓器の名前がずらずら出てくるちょっと物騒な曲なのに、ちゃんと良い曲なんです。一回聴くと覚えちゃうし、口ずさみたくなるといいますか。「涙なめなめソング」が流行ってくれることを切に願っています。流行ってくれ……!(笑)

YouTubeショートなどで、ぜひ使ってほしいですね。どこを切り取るんだろうとも思いますが……。

──どこを切り取っても面白くなってしまうのではないかと。

若山:ですよね! 良いところだけ切り取るとロマンチックな歌詞になるのかもしれないけれど「肺心臓肝臓腎臓膵臓」のフレーズを切り取られたら、ちょっと残酷な感じにもなっちゃうな……(笑)。

あと、第2話からは(村岡)皐月ちゃん(CV:伊藤彩沙)が登場します。皐月ちゃんがみなさんにどのように受け取られているかはわかりませんが、彼女のことを嫌わないでほしいなと思っていて。

私は皐月ちゃんってとても可愛い子だと思っているんです。推しの近くにいたら「おっ……」となる気持ちもわかりますが……(笑)。でも可愛い子です。

皐月ちゃんと、桃瀬(隼斗 CV:小笠原仁)と、霧尾くん。この3人の関係性も、藍美と波の関係性とはまた違う形で展開されていきます。そのあたりにもこの先、ぜひ注目していただけたら嬉しいです。

「『無理のない推し活』が一番いいなと思っているんです」

──本作のタイトルにちなんで、若山さんがファンクラブに入りたいと思うほど好きなものを教えてください。

若山:好きなものがたくさんあって、実際にファンクラブに入っているものも多いんです。その中でも、今好きなのはHANAというガールズグループで。

オーディションのころから拝見していたのですが、音楽番組で見せるパフォーマンスも素敵ですし、MVも歌だけではなく表情や動きまで含めた表現が魅力的なんです。めちゃくちゃ推しています。

ただ、理想の推し方という意味で心に刻んでいることがあって。自分自身もそうありたいですし、応援してくださる方にも「無理しないでね」という意味で「無理のない推し活」が一番いいなと思っているんです。

──無理のない推し活。

若山:自分が一番大事だから、まずは自分にお金をかけてほしいなと思うんですよね。食べるものでも、ゲームでも、服でも、何でもいいのですが、まずは自分の生活を大事にして、そのうえで好きなように推すのが良いのではないかなと思っています。

「推さなきゃ」になってしまうと、推し活としてはちょっと違ってきてしまう気がしています。無理なく楽しく推し活したいし、してほしい。一番は自分に置いておいてほしいな、と。私自身もそうありたいなと思っています。

──ありがとうございます。最後に、これからの放送を楽しみにしているファンの方へ、改めて作品の推しポイントを教えてください。

若山:まずは放送をご覧いただき、本当にありがとうございます!

やはり会話感や原作から続く言葉のテンポ、絵も含めた緩急あるシュールさなども大きな見どころだと思っています。今後もぜひ楽しみにしていただきたいです。

でも、この作品の魅力はそれだけではなくて。ここから先、それぞれのキャラクターがもっともっと深い部分へ踏み込んでいきます。最初は笑って見ていたものも、だんだん涙へと変わっていくような……とにかく胸がいっぱいになる作品です。

最後まで見届けていただけたら、きっと「見てよかった」と思っていただけるハズですし、清涼感ある気持ちで作品を受け取っていただけるのではないかなと思っています。最後まで見届けていただけたら嬉しいです!

【インタビュー:西澤駿太郎 写真:株式会社GEKKO/福岡諒祠】

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