Yahoo! JAPAN

武田真治、『オリバー!』オーディションでスリ集団元締めのフェイギン役を勝ち取り「涙が出るほど嬉しかった」

SPICE

『オリバー!』武田真治 撮影=田浦ボン

チャールズ・ディケンズの長編小説『オリバー・ツイスト』を原作に、ライオネル・バートが生み出したミュージカル『オリバー!』。1960年にイギリス・ウエストエンドで初演し、トニー賞最優秀オリジナル楽曲賞を含む数々の賞を受賞、1968年に映画化されるとアカデミー賞で6冠を獲得。日本では1968年に招へい版が、1990年に日本キャスト版が上演された。この傑作ミュージカルが2021年、30年の時を経て装い新たに再演を果たした。

新たな息吹を与えたのは『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』、『メリー・ポピンズ』など数々の名作を手掛けてきたプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュ。彼が率いるクリエイターチームにより豪華絢爛で荘厳な超大作ミュージカルへと生まれ変わった。子どもだけのスリ集団を束ねる元締めのフェイギンは、キャメロン・マッキントッシュが直々に市村正親を指名。市村にとっても101作目となる大舞台となった。Wキャストは武田真治で、彼はオーディションで役を勝ち取った。市村と武田、お互いを「弟」「師匠」と慕う二人の「師弟競演」も話題となっている。

武田真治

東京公演は11月7日(日)に千穐楽を迎え、大阪公演は12月4日(土)に幕を開ける。先日、武田真治が大阪市内で取材会を行い、作品への思いや意気込みを語った。

「この15年、市村さんと共演の度に色々と学ばせていただいたので、今回は絶対オーディションで勝ち取って恩返しをしたいという思いで、死に物狂いで挑みました。オーディションにはあまり慣れていなかったのですが、とにかく一生懸命取り組みました」と武田。晴れてフェイギン役を手中に収め、その報せを聞いたときは「涙が出るほど嬉しかった」と明かした。

オーディションはリモートで行い、振付家、演出家、音楽監督、そして武田による4者面談の様子を映した映像でキャメロン・マッキントッシュが最終審査を行ったという。決め手は何だったのか聞いたことはあるかと尋ねてみると、「自分で言うのは恥ずかしいですが……」とためらいながらも、キャメロン・マッキントッシュが「彼はきっとステージでカリスマ性を発揮するだろう」と言ってくれたと教えてくれた。

武田真治

産業革命時代のイギリス・ロンドン。ある救貧院にいた少年・オリバーはわずかな食事にお代わりを申し出た事が原因で、7ギニーで売られてしまう。葬儀屋に買われたオリバーだが、自分の扱いに耐えかねて葬儀屋を抜け出し、スリの元締めフェイギンと出会い、少年泥棒グループに取り込まれるのだった。

「産業革命時代の最下層にいる人々を、オリバーという少年の目線で描いた作品です。登場人物は厳しい環境に嘆くことなく、力強い人たちばかり。演じる度に自分が元気になって、すごく楽しくて、あっという間に(東京公演の)1ヶ月が終わりました。フェイギンは70歳の老人という設定ですが、演じていてとても手応えを感じています」と振り返る。

稽古中、Wキャストの市村からは「全然違うフェイギンになっていい」と言われていたという。「偉大な先輩と同じ役を作っていく、その過程を間近で見られることは極めて贅沢なことだと思ったので、なるべく市村さんをコピーしたいと思っていたのですが、真似しようとしても違ってくるので、そういうふうに言ってくださって(気持ちが)楽になりました」

武田真治

大阪公演では54人もの子どもが出演する『オリバー!』。スリ集団の元締め役とはいえ、子どもたちの無邪気なふるまいにはたじたじだと、取材会後のSPICE独自のインタビューで語る。

「子どもたちは、市村さんのことは本当に座長、ボスという感じで慕っているんですけど、僕に対しては態度が違っていて(笑)。僕がぼーっと立っていると、気軽にパンチとかしてきます。「もっと僕のことを怖がった方がいいんじゃないか」というようなことも言ったのですが、通用しませんでしたね(笑)。フェイギンはスリの元締め、犯罪集団のボスでありながら暴力は嫌い。ちょっと気が弱いというか、ずる賢いところもあり、子ども達をユーモアでつなぎ止めているところもあって、完全に悪い人という感じでもない。なので、子どもたちとのフランクな関係性も舞台に生かせたら」

大阪公演に出演する子役のうち12人は大阪公演から参加する関西勢。今は稽古の真っ最中だそうだ。

「産業革命の、貧富の差が生まれた最下層の人達の話と聞くと重い物語に聞こえるかもしれませんが、シェイクスピアが生まれた国ですから、会話がウィットに富んでいて、どんな怖い人でもやりとりが楽しかったり、面白かったりします。100年以上前に書かれた作品が持つユーモアを、大阪の方にも楽しんでもらえると思います」と、大阪公演の幕開けを楽しみにしている様子だ。

武田真治

取材・文=岩本和子 撮影=田浦ボン

【関連記事】

おすすめの記事