【謙信直筆の焼印】上越観光案内協会会員の高津要さん(新潟県上越市在住)が上杉謙信ゆかりの「第一義」木札を作成
上越観光案内協会会員、謙信公祭狼煙上げ応援隊の高津要さん
毎年8月下旬に行われる上越市ゆかりの戦国武将・上杉謙信を顕彰する祭「謙信公祭」(8月24、25日開催、謙信公祭協賛会主催)は、大正15年から始まり、戦時中も休むことなく続けられ、今年第99回、来年は記念すべき大きな節目となる第100回となる。謙信は1530年生まれで、2028年に没後450年、2030年には生誕500周年を迎えることから、来年から5年間は重要な期間となる。
「謙信は象徴的なものを残したわけではないが、言葉や義の心、ポリシーを私たちに残した。現代でもウクライナやパレスチナで戦争が絶えない。今こそ平和や正義を振り返る時。改めて、謙信をリスペクトする」と話すのは、新潟県上越市在住で上越観光案内協会会員、謙信公祭狼煙上げ応援隊の高津要さん(写真)。
高津さんは今年に入って3回ほど謙信公祭実行委員会の会議に出席したが、その時に実行委員会の実情を知り、「これは自助努力が大切だ」という判断に至ったという。
その結果、謙信ゆかりの木札を製作し、販売することにした。この木札は上越市民とどまらず、上杉謙信が好きで上越市を訪れる人たちのメモリアルとしての記念品とするとともに、通年観光での春日山城のグッズとして考えているという。木札の販売は目的ではなく、手段であり、狼煙上げや来年第100回の謙信公祭の財源に使おうとしている。
約10年前に伊勢神宮に参拝した際に、若い女性が木札を首から下げているのを見て気に入り、買ったのがきっかけで、2016年から自身でもこれまでにも福島城や高田城の木札を作っている。
木札の文字は他県の業者に依頼して作成した焼印を押しているが、「第一義」の文字は林泉寺山門に掲げてある謙信直筆で、登録商標を持つ大杉屋惣兵衛本店から了承を得ている。
木札の材質は、地元の檜、杉、朴木(ほうのき)の3種類で、厚さは8ミリと6ミリの2種類。価格は1枚500円(税込み)。
上杉謙信ゆかりの木札
発売元は有限会社ナガミ(新潟県上越市)で上越観光案内協会会長の永見完治さん。販売先は上越市直江地区の五智歴史の里会館、上越市本町商店街の大杉屋惣兵衛本店が決まっている。
「焼印は一つ一つの手作業で、同じものは一つとない。その意味では、ハンドクラフトであり、オリジナル性、希少性があります」(高津さん)。
来年は新たに焼印を作成し、戦場での突撃の意味がある「龍」と謙信の花押(かおう)を予定している。「敵に塩を送る」の故事でも有名な上杉謙信は下剋上や裏切りが当たり前の戦国時代にあって、義理人情に溢れたと言われている人物として、戦国武将の中でも全国的に人気が高い。「歴女」などの言葉があるように、現在、歴史・山城ブームが到来している今、上杉謙信の「義の心」のスピリッツをこの機会にもう一度考えてみたい。
(問い合わせ先)
「楽市楽座」新潟県上越市東本町2-1-17 電話025(512)6574
(文・撮影 梅川康輝)