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ブラックバスの「駆除」と「違法放流」 いたちごっこが続く現状とは?

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後を絶たない違法放流(提供:PhotoAC)

貴重な在来生物が棲む湖沼で、密放流によって移入されたと思われるブラックバスが確認される事例が、全国で相次いでいます。

駆除されたはずなのに……ブラックバスの生息が再確認

宮城県北部、登米市及び栗原市にまたがる伊豆沼。水鳥を保護するための国際条約であるラムサール条約にも指定された湿地で、貴重な魚や水生生物が多数生息しています。

伊豆沼と周辺湿地(提供:PhotoAC)

しかしこの伊豆沼では、1995年頃からブラックバスの生息が確認されるようになっています。それに歩調を合わせるように、貴重な在来魚であるゼニタナゴを始めとした在来生物たちの減少がみられるようになりました。

そのため、伊豆沼・内沼やその周囲にあるため池において、ブラックバスの駆除が行われてきました。その結果、ため池では一時は根絶に近い状態までいったのですが、昨年再びその姿が確認されてしまったそうです。(『違法放流か ブラックバス再繁殖 宮城の伊豆沼・内沼』河北新報 2021.6.30)

原因は「違法放流」

ため池でブラックバスの駆除が行われたのは2018年。近年テレビ番組の影響で有名になった「池干し」や釣りなどによって、幼魚から成魚まで多数を漁獲しました。

その後2019年8月に調査したところ、ブラックバスの魚影は確認されなかったそうですが、2020年6月の調査では再び魚影が確認されてしまいました。詳細な調査の結果、7000匹ほどのブラックバス稚魚の生息が見られることがわかったといいます。

ブラックバスの稚魚(提供:PhotoAC)

このブラックバスについて「駆除の際に取り残しがあり、それが成長して繁殖した」という可能性も想定されました。しかしその場合、30cmほどの成魚なら8匹、稚魚なら90匹ほどが見逃されない限り、この期間で稚魚がここまで増えるということはないといいます。

そのため、駆除後に何者かがブラックバスを「違法放流」したことが原因である、と結論付けられたのです。

なくならない違法放流

ブラックバスは在来生態系に与える影響が大きいことから、外来生物法によって「特定外来生物」に指定されています。そのため許可を得ず放流を行った場合は犯罪となってしまい、個人でも3年以下の懲役や300万円以下の罰金が課せられます。

このように、違法放流をすれば軽くない刑が課せられるのですが、それでも違法放流によって新たにブラックバスが定着したと思われる場所は、残念ながら増えているのが現状です。また今回の伊豆沼周辺ため池のように、一度駆除されたにもかかわらず、再びブラックバスが出現してしまったという場所も少なくありません。

釣りの対象として人気が高いが……(提供:PhotoAC)

もともと食用として移入されたブラックバスですが、現在は食用魚としての価値はほぼない一方で、ルアー釣りの対象魚としては高い人気を誇ります。したがって、違法放流は一部の釣り人によるものと考えるのが残念ながら自然です。

釣り人のモラルハザードは度々語られますが、そういった一部の釣り人によって釣り業界全体が悪し様に語られている現状は、いち釣り人としては極めて残念です。釣り業界がこのような犯罪行為に対して自浄作用を発揮するための施策を、釣り人一人ひとりが考える必要があるでしょう。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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