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認知症の方がコロナに。介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを解説

ささえるラボ

認知症の方がコロナに。介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを解説

本日のお悩み

この度、介護施設にコロナが蔓延し、認知症の利用者さんにも感染しました。
最初は1人だったのですが、この利用者さんが共有スペースに出て来てしまい、また説明してもわからないということから、仕方なくそのままにしてしまいました。
するとまず、3人に感染し、今では1フロア20人中10人がコロナになってしまいました。

職員は防護服対応ですが、まだ共有スペースに出て来ている利用者さんがいる事から、恐らくまだ広がりそうです。どうすれば良いのかわかりません…。

BCP(業務継続計画)策定し、正しい感染対策を行いましょう

執筆者/専門家

羽吹 さゆり

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/7

近年、全世界で大流行した新型コロナウイルスがきっかけで改めて重要視されているのが、BCP(業務継続計画)策定です。
ご利用者や職員、事業を守るために、
・新型コロナウイルスの影響
・事故が起きた場合
のリスクを回避するために再注目されているようです。ご相談者さんは、こちらの業務継続計画の中に、感染症の対応マニュアルがあるのをご存知でしょうか。各市町村の介護保険課・障害福祉課に用意されている「高齢者施設・障害者施設向け・感染症対策ガイドブック」に沿って、事業者は、職員研修などを通してスタッフに共有しなければならないのですが、人員不足や派遣スタッフ等の比重が多いことを理由に、なかなか定着していない場合もあるようです。

また、認知症を患っている方は言語を理解できないこともあります。スムーズにコミュニケーションがとれないと簡単にはマニュアルに従ってもらえない場合もあり、それゆえに感染が拡大してしまうことも多いように感じています。
新型コロナウイルスが5類になり、施設によっては、以前のように人との交流が盛んになり始めました。皮肉なことに、このことによって、新型コロナウイルスが再び流行り出しました。ご相談者さんのお悩みはその渦中とお察しします。

まず、最初に対処すべきことは「居室の管理」

有症状者へは以下のように対応しましょう。

1.感染者又は感染が疑われる者が発生したら、原則として個室に移動します。
2.診断が確定していれば、同じ疾患の方を同室にする方法もあります。
3.診断を受けている人だけではなく、すでに感染していてこれから発症するかもしれない人の方針を考えます。
4.陽性者が居室にとどまれないことを理由に居室に施錠したり拘束したりして管理することは虐待となる可能性があります。管理者・ご家族様と充分に相談しながら進めていきましょう。

陽性者が居室にとどまれないと感染拡大のリスクが大きくなりますが、まずは「感染者の居室」のフロアと「感染の疑いのない者の居室や生活エリア」を「侵入禁止エリア」を作って分断しましょう。

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

次に職員が感染を広げないように注意しましょう

フロアを分断すれば、言語を理解できない認知症の方が居室から出てしまうようなことがあっても感染拡大のリスクは避けられますね。
しかしながら、せっかく部屋を分断しているのに職員が往来して病原体を持ち運んでしまうようなことはあってはなりません。ケア後の職員の個人防護具や手には、目に見えない病原体が付着しています。ケアをした衣類や個人防護具を着用したまま、施設内を歩き回ると感染を広げることになります。以下の3点に注意しましょう。

• ケア後の個人防護具を着用したまま、他の利用者の部屋や職員の休憩室への出入り、来客対応をしてはいけません。
• 個人防護具は利用者ごとに交換します。
• 排泄介助の後に同じ防護具で食事介助することはないように、ケアごとにも交換するなどの配慮をしましょう。

「物品の管理」を行い、感染者がと感染者以外が使うものを分ける

次に、以下に羅列したとおり、「物品の管理」にも気をつけましょう。感染者が使うものと、感染者以外が使うものは分けます。

• 職員だけが使うものは持ち歩いても構いませんが、感染者がいるエリアから出る時は 必ず手指消毒又は手洗いを行います。
• 物品に関しても施設ごとにルールや消毒のタイミングを決めておくと業務量の軽減につながります。

次に「業務の管理」を行いましょう

業務の管理としては下記の通り、
動線と職員を分けること、また職員の休憩環境や時間の考慮、ケアの順番を管理することが重要です。

◆動線・担当職員を分ける◆
• 感染症が発生しているフロアと他のフロアは、できるだけ動線が交わらないようにします。
• 担当する職員も可能な限り分けます。
• 看護師等施設で数が少ない職種の動線や業務も状況によって見直します。

◆休憩環境と時間を作る◆
• 感染者がいるエリアでは職員は常に大きな緊張を強いられます。休憩時間は個人防護具が必要ない場所で、ゆっくり休める環境を作ることが、ミスを減らすことにもつながります。

◆ケアの順番を守る◆
• 夜間で職員が少ないとき等、感染者とそれ以外のご利用者のケアを一人の職員がする場合は、 ケアの順番を工夫することで感染拡大のリスクを下げることができます。
• 感染の疑いがない者が想定外の病気を持っている場合もあります。感染の疑いがない利用者のケアの前後も、手指消毒又は手洗いを絶対に行いましょう。

ケアの順番については症状に合わせた対応も必要

最後に、「ケアの順番」です。

◆ケアを行う順番◆
感染の疑いがない者→感染が疑われる者や症状のある者→感染が疑われる者や症状のある者へとケアしていきましょう。
順番を逆にすると感染が広がりやすくなります。

症状に合わせた対応も必要となります。
感染者、または感染が疑われる者が発生した場合は「平時から実践する感染症対策の基本」を継続して実践しながら、症状や疾患に合わせた対応をすることが重要です。
常日頃のケアの姿勢が一番大事なのかも知れません。

また、自分の想いや不安を言語化しにくい状況である認知症の方は、身体の状態が悪ければ、言葉にできないぶん不安で仕方がないはずです。
その状況に寄り添い、少しでも不安を取り除くことができるように、対応できるようにするためにも、日頃からコミュニケーションをとり信頼関係を構築していくことを怠らないようにしていきましょう。

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