甘酸っぱいリンゴタルトは29歳医師が考案!難病患者に寄り添う開発までの秘話
北海道大学出身の若手医師が、ある難病の患者に寄り添ったリンゴのタルトを開発しました。
味・食感とともに、使われているリンゴにも「秘密」がありました。
甘酸っぱいリンゴのコンポートにサクサクの生地。
そして、チョコレートにもこだわりが詰まっています。
作ったのは、北大の医学部出身で、東京の病院で働く医師の中村恒星さん(29)です。
自身でも「最高!」と太鼓判を押すこのタルト、実はある病気の人たちでも食べやすいようにと作られたものです。
宮本恵子さん(69)は、「表皮水疱症」という、わずかな刺激でも皮膚に水疱ができてはがれる、10万人に1人の難病を患っています。
口や食道の粘膜も弱く、液体やゼリー状の食べ物しか喉を通らないこともあるといいます。
そんな宮本さんが、このリンゴタルトを試食して一言…。
「私は好き。子どもにも食べてもらいたい。生ではリンゴを食べられないから」
同じものを、美味しく食べたい
医師の中村さんと宮本さんが知り合ったのは、6年前。
当時北大の医学生だった中村さんに、宮本さんたちから「食べられないことでコミュニケーションも減ってしまう」という悩みが寄せられました。
そこで中村さんは、口の中でよく溶けのども通りやすいチョコレートを開発しました。
「家族と患者が同じものを同じ空間で食べられるシチュエーションを作れるのは、患者の心の面で大きかった」と当時の中村さんは話していました。
そんなチョコレートを、今回のタルトにも使用。
また、生地は通常より柔らかく焼き上げましたが、サクサク感は残しました。
宮本さんは「食べやすいだけじゃなくて、おいしいものを作ってくれることがありがたい」と笑顔。
廃棄予定のリンゴを使って…
さらに、リンゴにも秘密があります。
果樹園では質の良いリンゴを育てるため、大きいものを残し、周りの花や実を間引く作業が必要です。
ニトリ観光果樹園を訪れた中村さんは大量に落ちている、この青い小さいリンゴに目をつけました。
「捨てられるのはもったいない」
タルトには、こうして廃棄される予定のリンゴを加工しました。
リンゴの良さを残しつつ、食感も楽しめるように。
いかに「果肉感」を残すか。
半年かけて完成させました。
中村さんは、こうした商品を作り、さまざまな人が手に取ることで、病気を知る人が増えていくのが目標だといいます。
「北海道に恩返しをしたい」。
中村さんは新しいタルトで患者と北海道の一次産業を応援します。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年9月5日)の情報に基づきます。