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夏は教室が危ない!断熱対策

TBSラジオ

今年はとにかく暑い。きのうは35度以上の「猛暑日」が、過去最多の全国301の地点で観測されました。そうした中、学校現場では、「暑すぎてエアコンがきかない!」という問題があるそうです。

生徒自ら断熱改修

先週、ワークショップ形式で生徒自ら断熱改修を行う「断熱ワークショップ」が、日本一暑い埼玉県で行われたので取材してきました。上尾市立・大石北小学校で「断熱ワークショップ」を指導した、建設関係者でつくる「さいたま断熱改修会議」の佐藤 喜夫さんのお話。

「さいたま断熱改修会議」 佐藤 喜夫さん

学校を涼しくしようと。まず最優先に屋上の熱を断熱する、遮ることにしましょうと。天井の一部に穴開けて、断熱材を中に入れてあげる。とそうすると熱が来なくなる。

それともう一つ窓からすごい日射が入ってくるんですよ。その日射をカットするという。今回みたいに内側に遮熱パネルを、実際測ってはめ込んでという作業を、子どもたちと一緒にやってますね。

クーラーはついてて、クーラーからは冷たい空気がずっと出てます。出てるんだけど、コンクリートの温度は多分40度近くなってきます。その熱が「輻射熱」という形で、直接子どもたちに当たってくるから、空気がいくら冷えても暑いんですよね。

それを断熱材入れると、カットしてくれる。大体5度ぐらい下がってきますから、大違いです。

開校45年の大石北小学校は、鉄筋コンクリート造りで、4階建ての校舎の最上階がとくに暑い。

この日は、最上階の「4年1組」の教室に、生徒20人程が集まって、地元の建設会社指導の下、南側の窓に遮熱パネルを付けたり、天井の裏に断熱材を敷き詰める作業を体験していました。

この日の最高気温36度。作業は午前中に行われたんですが、エアコンを付けていても、ずっと「もわー」っとしていました。屋根からの熱をダイレクトに浴びているので、室温30度を下回らないことが多く、しかも壁一面の大きな窓も弱点となって、「夏は暑い、冬は寒い」と、教室は断熱効率が悪いんです。

では、断熱改修することで、どれぐらい効果があるのか?

天井の表面温度が約6度低下し、室内の温度ムラも減少したというデータが、別の学校で行われた調査で明らかになっています。さらに、換気扇を新しくすることで、冬場、窓を開けることがなくなり、温かい教室で勉強できるようになったという声もあるようです。

電気代が高騰

さらに学校の側にも、断熱効率を高めたい、切実な理由があるようです。大石北小学校の校長、瀧沢 葉子さんのお話。

大石北小学校・校長 瀧沢 葉子さん

市役所から毎月、電気使用料金は送られてきていて、もちろん支払いは市の税金でやってくださってますけれども、ずいぶんやっぱり夏、電力量が急に上がりますし。

一気に朝「パン!」と入れると、非常に電力量の消費が大きいので、順番に時間差で、つけていくっていうような工夫もしてます。

やっぱりもう6月ぐらいのときから、もうすごく暑いときが多かったので、使う日が、日数が、すごく多くなっていますし、そういうときはもう無理をしないで、気持ち悪い子どもが出ると困るので、早い段階から使わせていただいてます。

一番大切なのは子どもたちの健康ですが、電気代が高騰する中で、エネルギーをすごく消費する教室は、ぜんぜんエコではありませんでした。

今回は、上尾市が予算を出して、ワークショップを実施。でも、まずは「1教室のみ」やってみて、効果を検証。ほかの教室にも広げていくかどうか考えたいということでした。

問題は、予算です。1教室あたり150万円位かかるそうなので、学校全体を手掛けようとすると、相当なお金がかかります。ほかの地域では自治体が予算を付けられないということで、クラウドファンディングで保護者が資金を集めたり、資材を地元の工務店から寄付で集めて断熱改修を行った事例もあるようで、全国的に、行政の動きが鈍いというお話もありました。

異常な暑さに対応した学校づくりを

そうした点で、ワークショップにも参加していた断熱に詳しい東京大学・准教授の前 真之さんは、「とにかく急いで対策して欲しい」と訴えていました。

東京大学・准教授 前 真之さん

今はもう、建築の省エネの法律ができたので、今の新築では簡単な断熱材入れます。最低でも50ミリぐらい断熱材を入れる。そこはだから新築はもう全然問題はないとは思うんですけど。

問題なのは、だって今そんなに予算もない中で、バンバン建てかえるじゃないですよね。そうしていくとやっぱこの古い学校は、今後も何十年も使っていくわけですよ。これがどういうふうに良くなっていくかっていうのを、考えないといけない時代に。

ちょっとだからお願いしたいのは、緊急で調べて、とにかく最上階の教室でちょっと天井を確認して、断熱材が入ってない教室は、緊急で対策を打つっていうのが一番いいと。

しかも今年が1年おかしかったじゃ済まないんですよね。熊谷なんて35度超え当たり前になっちゃって。もう本当、今すぐやってほしいですね。

室内でも熱中症にかかることもあるので、建て替えが難しい公立学校こそ、一刻も早く国が主導して対策をして欲しいということでした。

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)

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