古いものに、新しく出会う。旧街道の風情漂う滑川瀬羽町のシンボル的古書店【古本いるふ】店主のセレクトが光る美術書、新聞、ハガキも
心地よい風が吹き抜ける秋。食欲の秋や、スポーツの秋などいろんな過ごし方がありますが、今回は「読書の秋」にぴったりの古書店を紹介します。
活字離れや便利な通信販売におされて“まちの本屋”が少なくなる中、古書店ということもあって店主の感性で丁寧にセレクトされた本との一期一会の出会いに恵まれます。心静かに本と向き合うことができる、魅力あふれる空間です。
滑川市瀬羽町の小さな古書店 「古本いるふ」
店の名前は「古本いるふ」。
富山県滑川市の旧北陸街道沿い、瀬羽町(せわまち)にある古書店です。
江戸時代の宿場町に立つ本陣を改装した旧・宮崎酒造をはじめ、歴史ある町家や庄家が並ぶ瀬羽町は、風情漂うレトロなまちなみが人気のエリア。近年は、アンティークショップやカフェなど、海岸が近くゆったりとしたまちの空気を好んで気鋭の店が集まりつつあります。
2018年にオープンした「古本いるふ」は、そんな瀬羽町の注目店の先駆け的な存在。
このまちを訪れる人の感性をくすぐります。
店内には所狭しと本が並びますが、その種類は多種多様。美術書や富山に関する本を中心に、幅広いジャンルの古本が集められています。
店名の「いるふ」は、反対から読むと「ふるい」。
「古い」の反対語は「新しい」になることから、「新しい視点を持って本と接してほしい」という想いを込めて名付けたのだそう。
店主の天野さんは美大出身で、「作り手を応援したい」という気持ちから店では美術書を多く扱っているのだとか。
アート、写真集、文学、リトルプレスなど、1冊1冊のセレクトに天野さんのセンスが光ります。
セレクトする店主のセンスが光る ”宝石のような本”も
こちらは芸術家・武井武雄さんによる作品、『六つの窓』。
「美術作品のような、宝石のような本」をコンセプトに、限定で300部のみ作られた貴重なものなんだそう。
各ページは、窓を覗いているようにデザインされ、文字は特殊な紙に箔押しされていて、細部にわたって作り手のこだわりが感じられます。
ページをめくるスピードがゆっくりになるような、じっくりと時間をかけて読みたくなる美しさがぎゅっと詰まった1冊です。
一期一会 貴重な本との出会いを楽しむ古書店の醍醐味
書店ではなかなかお目にかかれないようなジャンルの本に出会えるのも「古本いるふ」の魅力のひとつ。
こちらは明治時代の本。
『漢方実験治療法』というタイトルなので医療に関する本のようですが、内容や知識だけでなく、その時代に思いを馳せたり、本の質感を感じたり、いろんな角度から楽しむことができそうです。
古書だけじゃない 古い新聞やハガキも
店には本だけでなく、古い新聞や、戦前のハガキなども。
「レトロブーム、レトロかわいいと同じような感覚で、古いものを新鮮な気持ちで楽しんでもらえたら」と、天野さんは話します。
店に足を運び、紙の本に触れてこそ感じられるノスタルジーな世界。
古書店ならではの出会いで、自身のセンスも研ぎ澄まされそうです。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2025年10月3日放送
記事編集:nan-nan編集部
【古本いるふ】
住所 富山県滑川市瀬羽町1890-1
営業時間 12:00~18:00
定休日 月・火曜
不定休あり