Yahoo! JAPAN

国宝・普賢菩薩騎象像を展示する「祈りと救いの美―国宝 普賢菩薩騎象像との出会い」が9月27日まで、虎ノ門『大倉集古館』で開催中

さんたつ

fugen1_DSC05659 2

企画展「祈りと救いの美―国宝 普賢菩薩騎象像との出会い」が2026年9月27日(日)まで、東京都港区の『大倉集古館』で開催されている。同館の収蔵品の柱の一つである仏教美術作品を通じ、国宝である「普賢菩薩騎象像(ふげんぼさつきぞうぞう)」を仏教美術史の流れの中に位置付けながら紹介する企画展だ。6つの章立てで構成され、『大倉集古館』の収蔵する名品に触れながら、日本仏教美術の歴史を概観できる展示となっている。TOP画像=大倉集古館蔵「普賢菩薩騎象像」

23区内唯一の国宝仏の美に触れる

普賢菩薩騎象像の来歴はほとんど明らかになっておらず、どの寺院のものであったかも不明。『大倉集古館』学芸部長の平塚泰三さんによれば、『東京国立博物館』の初代館長であった町田久成から大倉喜八郎が譲り受けたという記録が残っているという。

『大倉集古館』は、大倉財閥を築いた実業家、大倉喜八郎(1837〜1928)が収集・保護した美術品を中心とする、現存日本最古の私立美術館だ。2代目の喜七郎(1882〜1963)が作ったホテルオークラ(現・オークラ東京)は、国賓御用達のホテルとしてもよく知られている。

明治時代の廃仏毀釈を受けて、仏像や仏画などが海外に流出するなどして散逸することを憂えた大倉喜八郎が文化財保護活動の一環として収集した像のひとつに、東京23区内唯一の国宝仏として知られる「普賢菩薩騎象像」がある。同館では約4年ぶりの公開となる今回は、側面や背面も含め、360度拝観できる形で展示。柔らかく透明感のある表情や、細く切った金箔を筆を用いて貼り合わせる加飾法「截金(きりかね)」が施された衣の美、普賢菩薩が登場する「観普賢経(かんふげんきょう)」の記載とほぼ一致する白象の鞍の文様などをさまざまな角度から堪能できる。

また、釈迦如来の脇侍として文殊菩薩と共に三尊形式で普賢菩薩を描いた「釈迦十六善神像」などの仏画のほか、普賢菩薩が登場する経典の美麗な写経の模本「平家納経 法華経 観普賢経」(田中新美 筆)なども展示。さまざまな形で仏の姿を描こうとした当時の人々に思いを馳せながら、その美を味わいたい。

3つの異なる時代に描かれた「釈迦十六善神像」(手前)と、「釈迦三尊像」(奥)。普賢菩薩の描かれ方の違いにも注目したい。
「平家納経 法華経 観普賢経」(模本)。厳島神社に納められている国宝「平家納経」の精密な模本で、日本画家・書家・古筆家である田中親美が制作し大倉家に収めたもの。白象の蓮華台に結跏趺坐(けっかふざ)した普賢菩薩が来迎すると説く。

名品と共にたどる日本仏教美術の歴史

3章「極楽浄土と地獄」では、冷泉為恭「山越阿弥陀図」などを展示。築地本願寺などの建築で知られる伊東忠太が設計した展示室の意匠と併せて、臨場感のある表現を味わいたい。

本展のもう一つの魅力は、『大倉集古館』が収蔵する作品を実際に鑑賞しながら、日本の仏教美術史に触れられる点だ。6世紀に日本へ仏教が伝来し、平安時代以降に隆盛した極楽浄土や『法華経』への信仰を、重要文化財や重要美術品を通じて知ることができる構成となっている。

普賢菩薩は、『法華経』において女性の成仏を説く場面に登場しており、平安時代の貴族女性たちから篤い信仰を受けていたという。普賢菩薩騎象像をそうした歴史の中に位置づけることで、その美と意義をより深く味わえるはずだ。

聖徳太子(厩戸王)が経典を解説する様を描いた「聖徳太子勝鬘経講讃図(しょうとくたいししょうまんぎょうこうさんず)」。向かって左手に山背大兄王、右手には蘇我馬子や小野妹子も描かれている。
大日如来や虚空蔵菩薩など5章「密教」の諸尊と向かい合う普賢菩薩騎象像。

開催概要

企画展「祈りと救いの美―国宝 普賢菩薩騎象像との出会い」

開催期間:2026年7月28日(火)~9月27日(日)
前期:7月28日(火)~8月30日(日)
後期:9月1日(火)~9月27日(日)

開催時間:10:00~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(休日の場合は翌火曜)
会場:大倉集古館(東京都港区虎ノ門2-10-3)
アクセス:地下鉄南北線六本木一丁目駅から徒歩5分、地下鉄日比谷線神谷町駅から徒歩7分、地下鉄日比谷線虎ノ門ヒルズ駅から徒歩8分、地下鉄銀座線・南北線溜池山王駅から徒歩10分
入場料:一般1000円、高校・大学生800円、中学生以下無料
※障害者手帳を持参で本人と付き添い1名無料。
※着物(和装)で来館すると300円引き。

【問い合わせ先】
大倉集古館☏ 03-5575-5711(月~金、10:00~17:00)
公式HP:https://www.shukokan.org/

取材・文・撮影=増山かおり 画像提供=大倉集古館

増山かおり
ライター
1984年青森県生まれ。かわいい・レトロ・人間の生きざまが守備範囲。道を極めている人を書くことで応援するのがモットー。著書『東京のちいさなアンティークさんぽレトロ雑貨と喫茶店』(エクスナレッジ)等。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. バイクと事故を起こすと大勢に囲まれる。かつては車を燃やされたことも…ケニアのドライバーが恐れる理由【カンバ通信:第517回】

    ロケットニュース24
  2. <シーズン開幕>バンビシャス奈良がホームゲームを開催!奈良県民無料招待も実施

    奈良のタウン情報ぱーぷる
  3. 【ポケモンGO】ウェーニバル対策│何人で倒せる?ソロ攻略の秘訣とレイドバトルでおすすめのポケモンまとめ

    攻略大百科
  4. 6種きのこと鴨しゃぶを贅沢に好きなだけ! しゃぶ葉「秋のきのこと鴨しゃぶフェア」はヘルシーで罪悪感のない最高の食べ放題

    ロケットニュース24
  5. 吉野北人、HOKUTOとして初の海外単独公演決定!11月に台北でLIVE&FAN MEETING

    WWSチャンネル
  6. まるでイタリアン。「チキンラーメン」がびっくりするほど旨くなる食べ方

    4MEEE
  7. IS:SUE、僕が見たかった青空、ZOCXら出演!幕張メッセ開催「GIGA・GIGA SONIC」第四弾出演者発表

    WWSチャンネル
  8. 驚くほど肌がきれいに見えるよ。毛穴を自然に隠す「優秀パウダー」5選

    4MEEE
  9. 京都文教大学で「全国まちづくりカレッジ2026in京都」が開催!約300名が交流【宇治市】

    ALCO宇治・城陽
  10. ロバート・パティンソン×A24で贈る映画『PRIMETIME(原題)』あらすじ・キャスト解説!リアリティ番組の"裏側"を描く、衝撃の実話

    ciatr[シアター]