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根浜ビオトープに「地域活動貢献賞」 津波流出の水辺環境再生、地域の未来へ協働の取り組み評価

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 釜石市鵜住居町の根浜海岸観光施設「根浜シーサイド」内に昨春整備された「根浜ビオトープ」が、特定非営利活動法人日本ビオトープ協会(東京都)の第17回ビオトープ顕彰で、「地域活動貢献賞」を受賞した。東日本大震災の津波で失われた水辺環境を地元企業、団体が連携して再生。多様な生き物の生息空間を確保し、観察を通して環境保全教育につなげる取り組みが評価された。関係者は受賞を励みに、自然と人との共生、体験型環境教育の充実を図り、同所を地域の宝として守り育てていくことを思い描く。

 同顕彰は、優れたビオトープの事例を全国に発信し、多様な生き物の生息環境が人間の生活にとっても重要であることを伝えていこうと2008年度から実施。17回目となる本年度は全国5カ所のビオトープが表彰された。その一つが「地域活動貢献賞」を受賞した根浜ビオトープ。本県で同顕彰を受けるのは6カ所目。沿岸では22年度に「環境活動推進賞」を受賞した「大槌町郷土財活用湧水エリアビオトープ」(ミズアオイ遊水池)に次ぎ2例目となる。

 根浜ビオトープは震災前、水田が広がり多様な生き物が生息していた場所に造られた。長年、同所の生き物観察を続けてきた市民団体「かまいし環境ネットワーク」の加藤直子代表(79)が、被災後も山からの沢水が豊富な点に着目。津波被災跡地に整備された市の観光施設の指定管理者「かまいしDMC」(河東英宜代表取締役)にビオトープ構想を持ちかけ、両者の協働で実現の可能性を探ってきた。

10月24日には受賞を小野共市長に報告(左下)。かまいし環境ネットワークの加藤直子代表が日本ビオトープ協会相談役の野澤日出夫さんらと訪問した


 構想から3年―。国際的奉仕団体「釜石東ロータリークラブ」(現在:平松篤会長、会員29人)が創立60周年記念事業として、同所の環境整備にと寄付を申し出たことで事業が進展。佐野建設(甲子町)が施工にあたり、市から借りた約80平方メートルの土地に沢水が流れ込む大型の池を造成した。

根浜ビオトープの造成を行う佐野建設の作業員ら=2024年4月、根浜シーサイド


芝グラウンドの西側、山林が隣接する土地に整備された大型の池。解説看板(写真左上)も設置されている


ビオトープ完成後のお披露目イベントでは、参加者が池のほとりに生き物のすみかを作った=2024年5月


 昨年4月の完成以降、池にはトウホクサンショウウオや各種カエル、イモリ類がすみ付き、夏にはトンボも見られるようになってきた。同DMC企画のイベントのほか、市内の学校や子どもエコクラブの体験活動で生き物観察、周辺環境の整備が行われていて、環境教育の場として活用される。多様な生き物が見られる環境は、津波で被災し高台に集団移転した根浜地区住民にとっても心安らぐ場になっている。

 同ネットワークの加藤代表は、昔ながらの生き物が戻ってきている状況を喜ぶとともに、完成後も環境維持に協力を続ける地域住民や関係者に深く感謝。今回の受賞について、「ビオトープとしての価値はまだまだこれからだが、実現に至るまでの背景、経緯、地域の協働の取り組みなど、そのストーリー性が評価されたものと思う」と同所の意義を改めて実感する。

開設1周年記念イベントでは、かまいし環境ネットワークの会員らがエゾエノキの幼木を植樹=2025年5月


かまいし環境ネットワークの加藤直子代表(左上)、かまいしDMCの佐藤奏子さん(右上)が、釜石東ロータリークラブの中田義仁副会長(写真下右)、同ネットワーク会員の臼澤良一さん(同中)とこれまでの活動を振り返る


 資金提供した同ロータリークラブの中田義仁副会長(57)はビオトープで子どもたちが生き生きと活動する様子を見聞きし、「クラブとしても子どもたちの成長に少しでも役に立ちたいとの思いがある。地域貢献ができ、こういう受賞にもつながったのは大変うれしい」と喜びを表す。

 同ネットワーク会員で、居住地の大槌町でミズアオイ池の保全活動にも取り組む臼澤良一さん(77)は「地域の環境に興味を持ってくれる人がたくさんいることは、私たちの活動のエネルギーの源。ビオトープが自然を大事にする心を醸成する場になれば」と期待を込める。

池の周りで生き物を探す子どもたち=2025年5月、開設1周年記念イベント


加藤代表(左)からトウホクサンショウウオの卵を見せてもらう子ども


オタマジャクシやカエルの卵に触れてみる。観察後は「元気に育ってね」とリリース


 同観光施設内にはキャンプ場や芝グラウンドがあり、年間を通じて多くの利用がある。ビオトープはそうした利用客にも、気軽に生き物と触れ合い、同所の環境に理解を深められる機会を提供する。同DMC地域創生事業部の佐藤奏子さん(47)は「ここは震災の時も水が絶えなかった場所。人々が命をつなぎ、生き物たちもひそかに生き残っていた場所ということからも非常に意味がある」と価値を強調する。

 同ネットワークの加藤代表は「自然の生き物を実際に見て、手で感触を確かめる体験は、ゆくゆくは自分の命、他者の命を大切にすることにつながっていくと信じている。これからも多くの子どもたちが足を運び、本物(の命)に触れてほしい」と願う。

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