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【滋賀・坂本】秋の旅におすすめ! 比叡山の麓の門前町を歩く。坂本比叡山口駅から日帰りさんぽ

さんたつ

sakamoto

関西には「なぜここが終点?」と思う駅がいくつかある。“けいはん”こと京阪電鉄石山坂本線の坂本比叡山口駅もその一つ。その先に一体何があるのか。ぶらぶら歩いてみた。

交通の要にして門前町

滋賀県大津市にある坂本の町。真っすぐのメインストリートの中腹に坂本比叡山口駅はある。開業は昭和2年(1927)。江戸時代以前から続く琵琶湖の輸送や遊覧の重要拠点として役割を果たしてきたことから、陸路との接続地としてここまで鉄道が敷かれたようだ。

商業の町の側面ともう一つ、坂本は比叡山延暦寺をはじめとする寺社の門前町として栄えたことでも知られている。駅を出て左(西)には比叡山、右(東)には琵琶湖。そんな自然豊かな町には今も、名刹があちこちに残っている。

江戸時代初期の古地図「山門三塔坂本惣絵図」(国立公文書館蔵)。山と湖の間に「坂本」の文字が見える。

総本山に神仏習合の象徴あり

比叡山側へ通りを10分ほど上った先に現れるのは「日吉大社」。

なんと全国に3800社余りある日吉・日枝・山王神社の総本宮で、創祀はおよそ2100年前とされる。山を挟んで反対側の京都における平安京の遷都にあたっては、都の表鬼門(北東)に位置する魔除・災難除を祈る社として崇められていたらしい。歴史の深さにも、地理的なスケール感にもひたすら驚きだ。

琵琶湖の水運や山を隔てた京都とのつながりなど、歩くほどに町のなりたちがわかり、景色が違って見えてくる。

なお、特徴的な三角形の破風(はふ)がのった鳥居は、ここが延暦寺の鎮守社でもあることから、神仏習合を象徴しているのだとか。境内には国宝の本殿をはじめ、見どころが多いので、時間をかけてお参りしたい。

印象的な鳥居。日本でここだけという(写真提供=日吉大社)。

日吉大社
☎077-578-0009
 9:00~16:00、無休
拝観500円
滋賀県大津市坂本5-1-1
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩10分

日吉大社の入口脇にあるのは「旧竹林院」。比叡山延暦寺の僧侶の隠居所・里坊の一つで、国の名勝にも指定されている庭園が見事。坂本にはこのような里坊が50以上あるとされ、落ち着きのある町並みを形成している。

座卓を利用したリフレクション撮影ができると人気。

旧竹林院
☎077-578-0955
9:00~16:30受付、月(祝の場合は開園、翌平日休)と12月26~31日休
入園300円
滋賀県大津市坂本5-2-13
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩10分

明智光秀、奮闘の軌跡

時代は下り、戦国時代には歴史の舞台となった坂本。代表的なのが元亀2年(1571)の織田信長による比叡山焼き討ちで、町は大きな被害を受ける。

その一つが推古天皇26年(618)創建の「西教寺」。天台真盛宗総本山にあたる由緒ある寺だが、この復興に尽力したのが明智光秀だった。

彼は焼き討ち直後に、琵琶湖に面した水城・坂本城の城主となり、寺の檀徒(だんと)に。坂本城の城門を寺の総門として寄進したりとダイナミックな援助を行った。以来400年以上、西教寺は光秀の菩提寺となっている。

総門を抜けた参道にはもみじのトンネルが(写真提供=西教寺)。

西教寺
☎077-578-0013
10:00~16:30受付、無休
拝観500円
滋賀県大津市坂本5-13-1
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩25分

その後、光秀は羽柴秀吉に敗れ、坂本へと落ちのびる途上で自刃。坂本城も落城し、一族は亡くなった。大津城の築城に伴い廃城し、その存続期間の短さから坂本城は「幻の城」ともいわれている。

ところが2024年、なんと長さ30m超の石垣が発見され、三の丸の遺構であると判断された。2025年9月には坂本城跡一体は国指定史跡となり、いま再び静かな脚光を浴びている。

イエズス会の宣教師として来日していたルイス・フロイスに「安土城に次ぐ壮大な城」と言わしめた坂本城。当時の栄華に想いを馳せながら湖畔を歩いてみるのも一興だ。

坂本城址公園
滋賀県大津市下阪本3-1
京阪石山坂本線松ノ馬場駅から徒歩20分

石積みプロフェッショナルの地元

さらにもう一つ、戦国時代の坂本を語るうえで欠かせないのが石積みだ。町を歩くといたるところで目に入る石垣は「穴太衆(あのうしゅう)積み」と呼ばれている。穴太衆は坂本の穴太地区を拠点とする石工のプロ集団で、一説には古墳時代の古墳の築造などをした石工たちの末裔とも。

ともあれ、彼らの自然石を加工せずに巧みに積み上げる「野面(のづら)積み」は、とりわけ織田信長の時代以降江戸時代初期にかけて一世風靡し、あちこちの石垣に採用された。代々請け負ってきた延暦寺ほか、安土城、彦根城、竹田城、金沢城など全国の名だたる城の築城で腕を奮った。

穴太衆積みの石垣。

超人気職人の地元という視点で、彼らの作品である石垣を観察すると一見、大小の石がただ無秩序に並んでいるように見えて、急な坂道の重力をものともせずきれいに並んでいたり、水が染み出て絶妙に排水できていたりと、なるほど素人目にもそのスゴさがわかってきて楽しい。

石垣を伝って歩いていけば、さらに多くの寺社に出合える。なかには本殿と拝殿をつなぐ様式「権現造り」で知られる「東照宮(日吉東照宮)」も。

世界遺産の日光東照宮は、実はこの日吉東照宮を基に建てられたともいわれる。造営は徳川3代将軍・家光の時代。戦乱を終え政治の中心が江戸へ移ったあともなお、坂本は重要な町と見なされていたということがうかがえる。

色彩豊かな日吉東照宮。
高台の境内からは琵琶湖が望める。

日吉東照宮
☎077-578-0009(日吉大社)
内部観覧は土・日・祝の9:00~16:00
拝観300円
滋賀県大津市坂本4-2-12
京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から徒歩20分

商業の町、門前町、職人の町。長い歴史のなかで発展してきた坂本は、実にさまざまな顔をもつ、唯一無二の町だ。京都のようなきらびやかさこそないが、その分、穏やかな空気が流れ、のんびりと散策できる。四季折々の風情もまた魅力で、秋なら紅葉が美しい。

“けいはん”に揺られて訪れるもよし、ケーブルカーを使って比叡山延暦寺を経由し京都旅行と組み合わせるもよし。いぶし銀の坂本の町、ぜひ一度訪れてみては。

夜のライトアップもおすすめ!

文・撮影=町田紗季子

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