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生き残る町へ 地方こそ最新技術の駆使を

TBSラジオ

今朝は北海道の十勝地方北部にある上士幌町のある取り組みをご紹介します。この上士幌町は人口減や高齢化などが深刻で、2014年の民間組織による調査で、『消滅の可能性がある自治体』のリストに名を連ねてしまっていました。

移動の課題には自動運転!物流課題にはドローン配送!

そんな中、上士幌町が始めたある取組み。どんなものなのか?上士幌町デジタル推進課の梶達さんにお話を伺いました。

上士幌町デジタル推進課長 梶達さん

「色々な取り組みをしているんですが、特徴的に取り組んでいるものとして、物流課題にはドローンを使ったり、移動の課題のところには自動運転の技術を活用しようとしています。我々、人口5000人に対して700平方キロという広大な面積を抱えているんですけれども、実は5000人のうち、4000人は割とコンパクトな市街地エリアに住んでおりまして、その周りに農村地域ですとか、温泉街もあるんですが、実は市街地の4000人のエリアは今でも二種免許を持った人が運転するバスや、物流の方も軽バンである程度効率的に配送が出来ているんですよね。

でもどうしても、我々の町を支えている農家さんを中心とした広大なエリアの方に行くとなると、一人のための移動のコスト、一人のための荷物の物流コストみたいなのが、どうしても高くなってしまって、そこが少し持続可能じゃない部分がありますので、そういったところに無人のバスやタクシー、無人のドローンを充ててですね、今後、もし担い手が減ってゆくようなことが起きても対応可能な形にしていこうというのを目指しています。」

自動運転バス 写真提供:上士幌町デジタル推進課

ドローン配送

自動運転にドローン配送!最新技術を積極的に取り入れているんです。無人コンビニやテレワークが可能なシェアオフィスもあります!

『消滅の可能性がある自治体』に入ってしまったあと、2017年から自動運転を、そして、ドローン配送は2021年からと、早くから動き始めていますが、そもそも、平成の大合併の議論が盛んだったころに、上士幌町は自主自立でいくと決めて、生き残る町にするためにはデジタル技術が必須だ!という方針を、町長が打ち出したのが始まりなんです。 (今も同じ竹中町長。町長になって25年。現在、御年76歳!)

というわけで、梶さん曰く「我々のような中山間地域の中ではかなり早い段階から、農村部を含めて、町内に光回線を整備するなどをしてきた」のだそうです。すごい!

若い世代、働き世代の人口が増えました!

そして、そのデジタル技術を駆使した取り組みは、実を結びつつあります。再び梶さんのお話です。

上士幌町デジタル推進課長 梶達さん

「そもそもホントに担い手不足が起きてくるっていうところで言うと、でも必ず移動で足を確保しなければならない方たちがいるっていうところにこそ、こういった無人とかデジタルの技術っていうのは活用すべきだなと思いますし、むしろ我々のような、広い、交通量も少ない、信号も少ないみたいな方が、自動運転として難しいエリアが少ないっていうところもありますので、我々のエリアの方がやりやすいですし、我々のようなところこそ、こういった新しい技術を充てるっていう必要があるんじゃないかな、って思ってます。

単純にこういった取り組みをやっているところで言うと、関わってる企業さんが来たりとか、行政も含めて色んな外からの人材を呼び込んだりですね。そこに移住者として入ってきてくれてる方が多くいらっしゃいますね。若い世代の、働き世代の転入が増えてるってところはあります。

ちょうど今、国勢調査をやってますけれども、5年前の国勢調査のときは、元々の推計では減っていく推計だったんですけど、人口増にも転じたこともありまして、こういう新しい取り組みをやってるってことも一部寄与してるかな、とは思います。いや、ホントにこれは大きな変化ですね。」

人口が増えたんです!そして、昨年版の『消滅の可能性がある自治体』からは、外れました!

現在、自動運転やドローン配送などは企業の協力で大掛かりな実証実験の段階。そのため、移住者も増えていますし、関連人口が非常に多くなっているんです。竹中町長は、「町はスタジアム。定住者、移住してくれた住民はプレーヤー。だけど、その周りの観客を増やすことが大事」とよく話すそうで、関連人口の増加はまさに観客が増えた、ということになりますよね!

また、上士幌町のような、広くて、信号や建物が少ない場所は、自動運転でもドローンでも、実験の場所としても喜ばれる。しかも寒冷地で雪も多いので、そうした状況下のデータも取れると、企業側のメリットも大きいそうで、ウィンウインだとか。

札幌から移住してきました!周りにも移住者がたくさん!

おしまいに、実際に移住してきた方にもお話を聞きました。二年前の夏に札幌から移住を決めた、越田千紘さんのお話です。

札幌からの移住を決めた 越田千紘さん

「前職からの転職を考えていたタイミングで、上士幌町が主催する移住促進のイベントに参加しまして、イベントの中で『人口5000人の規模だから挑戦しやすい環境が整っている』って話がとても印象的に残りまして、で、また、ドローンや自動運転バスが、高齢者がタブレットでバスを予約してる姿なんかを見まして、地域全体が新しい技術に前向きに取り組んでいるんだなということを実感して、私も日本の技術発展に貢献したいなという思いがあったので、そこで移住を決めました。

同じ地域おこし協力隊の方が15人くらいいらっしゃるんですけど、ほとんどの方は道外からいらっしゃっていて、全員移住で、静岡だったり、岡山県とか東京だったりとか、結構いろんなところから来てますね。それで町のかたも移住に慣れていて楽しく暮らしてます、今は。実は来てから結婚をしまして、色々、来て人生変わったなと思いました。」

今30歳の越田さん。一人で札幌から移住してきて、今年結婚しました!

越田さんのしている地域おこし協力隊は元々は3年の期限でしたが、結婚したことで、このまま住み続けることに繋がります。移住組が定着しました!?

ちなみに、この様々なデジタル技術の活用は、高齢化の中では難しいのではないか、と思ったのですが、使い方の講習の徹底や、分かりやすい予約画面など行政側も工夫をこらし、おおむね好評。何よりも、移動の足がなくなるよりは、ずっといい!と頑張って覚えて使ってくれている、ということで、住民のみなさんの協力も、このデジタル技術の取組みを進める力になっているんですね!

人口減や高齢化は多くの自治体共通の課題。上士幌町の成果が新しい課題解決の一つになるといいですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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