胎内高原の豊かな自然のなかで生み出される「胎内高原ビール」。
山や川に囲まれ自然豊かな胎内高原で製造されてきた「胎内高原ビール」が、ラベルも新たにリブランディングを図りました。「新潟ビール醸造株式会社」の浅野さんを訪ね、「胎内高原ビール」をリブランディングした理由や、どのように変わったのかを聞いてきました。
新潟ビール醸造株式会社
浅野 重幸 Shigeyuki Asano
1986年新潟市西区生まれ。新潟大学人文学部を卒業し、「株式会社NSGアカデミー」で13年間講師を務める。その後は「株式会社NSGホールディングス」へ異動し、2023年4月より「新潟ビール醸造株式会社」の代表に就任。漫画やアニメが好きで、なかでも「機動戦士ガンダム」シリーズの大ファン。
ビール嫌いな塾講師が、地ビール会社の代表に就任。
——「胎内高原ビール」って、いつからつくられていたんでしょうか?
浅野さん:1999年に旧黒川村が村営で製造をはじめ、本場ドイツからマイスターを招いて1年にわたって製造技術を学んだんです。2012年には「新潟ビール醸造株式会社」へ経営が引き継がれることになりました。
——浅野さんは以前から「胎内高原ビール」に関わってきたんですか?
浅野さん:僕はずっと塾の先生をやってきたんですよ。しかも日本酒は好きだったけど、ビールはどちらかといえば苦手だったんです(笑)
——そうだったんですね(笑)。そんな浅野さんがどうして「胎内高原ビール」に関わるようになったんでしょうか?
浅野さん:それまで「ビールが苦手」という意識が強かったんですが、「胎内高原ビール」を飲んでみてとても美味しいと感じたんです。それをきっかけにビールに対する考え方が変わって、今まで避けてきたことを後悔することになりました(笑)
——飲まず嫌いなところもあったんですね。
浅野さん:そうなんです。だから僕のようにビールを飲まず嫌いしている人たちに同じような後悔をしてほしくなくて、この仕事をはじめることになったのかもしれないですね。
——「新潟ビール醸造株式会社」を代表として任されて、大変だと感じたことはありましたか?
浅野さん:コロナ禍の影響もあって、働いていたスタッフがみんな辞めてしまっていたんですよ。資料もほとんど残されていないような状態だったので、まるっきりゼロからのスタートでした。以前働いていた製造スタッフに連絡して製法について教わって、なんとか今までの味を受け継ぐことができたんです。
——それは大変でしたね。ところでこの建物って、以前はレストランでしたよね……。
浅野さん:そうなんです。でも何年か前に休業することになって、今は平日限定でビールの直販や工場見学に対応しています。
味はそのままに、生まれ変わった「胎内高原ビール」。
——「胎内高原ビール」って、どんな特徴のあるビールなんですか?
浅野さん:飲みやすいから、ずっと飲んでいられるようなドイツスタイルのビールですね。飯豊連峰から流れる超軟水の伏流水で仕込まれるので、まろやかでスッキリした味わいになるんです。製造の際には、どこまでモルト感を出して重くするかの加減を意識しています。
——胎内高原の豊かな自然を使ってつくられているビールなんですね。現在、ラインナップは何種類なんでしょうか?
浅野さん:「ピルスナー」「アルト」「ヴァイツェン」「シトラヴァイツェン」の4種類が定番商品でした。2019年からは「吟籠(ぎんろう)シリーズ」として「吟籠IPA」「吟籠WHITE」の2種類が加わりました。「吟籠シリーズ」は新潟県産コシヒカリを原料に使ったビールで、「胎内高原ビール」のフラグシップビールになっていきましたが、最近はふたたび4種類の定番ビールに力を入れようとしているんです。
——それはどうして?
浅野さん:「胎内高原ビール」の原点に戻って再スタートしようと思ったからです。ですからコンセプトやパッケージも一新して、リブランディングを図りました。
——それはどんなコンセプトなんですか?
浅野さん:「空を見上げて飲むビール」です。本格的だけど気取らない、気取らないのにしっかり美味しい。飲むほどに思わず空を見上げてしまうようなビール、というコンセプトです。胎内高原の豊かな自然のなかでつくられるビールを、澄みきった胎内の空に重ねて表現しました。
——それで商品名に「太陽」「雲」「星」「月」が入っているんですね。それにしても、今までの重厚なボトルデザインに比べて、ずいぶんスッキリしたラベルになりましたね。
浅野さん:それぞれのビールをイメージした空を、グラデーションで表現しています。今までビールを飲まなかった女性や若者にも手に取ってもらえるように、あえてビールっぽさを感じさせないラベルにデザインしたんです。
ビールが苦手な人にも美味しさを知ってほしい。
——こちらにあったレストランを復活させる見通しはないんでしょうか?
浅野さん:お酒を飲むと腰が落ち着いてしまって、周辺のリゾート施設に足が向かなくなるんじゃないかという心配があって。お酒はホテルや駅前でゆっくり楽しんでほしいと思ったので、中条駅前で直営のダイニングバー「ビアダイニングen」を営業しているんです。
——他にも「胎内高原ビール」を飲めるお店はあるんですか?
浅野さん:アイスクリームショップやゲストハウスといった、ビールを置いていないようなスポットでの提供をはじめています。普段ビールを飲まないような人が集まるところで提供して、ビールの美味しさを知っていただけたら嬉しいですね。
——ビールを飲まず嫌いしている人にも「胎内高原ビール」の魅力が伝わるといいですね。
浅野さん:少しでも多くの人に魅力が伝わるよう頑張ります。あと地域の方々と連携しながら胎内市の魅力を全国に発信して、活性化にも役立てばいいなと思っています。
新潟ビール醸造株式会社
胎内市熱田坂670
0254-48-2020
9:00-16:00
土日曜祝日休