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BUMP OF CHICKENはなぜ幅広い作品のタイアップに起用されるのか──20年来のBUMPヘビーリスナーがその理由を考察する

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

千葉県出身の男性4人組ロックバンド・BUMP OF CHICKEN。1996年に結成し、2000年に「ダイヤモンド」でメジャーデビューし、その後「天体観測」をはじめ数々の楽曲をヒットさせ、まもなく結成から30年という今なお、数多くのリスナーに支持されている人気バンドです。

最近のBUMPといえば、『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』のエンディング主題歌に「I」が起用されたことが大きな話題となりましたね。

他にも近年は『ダンジョン飯』のOP主題歌「Sleep Walking Orchestra」や『SPY×FAMILY』第2クールのOP主題歌「SOUVENIR」など、ほとんど毎年のように様々なジャンルのアニメ作品やドラマ・CMとタイアップしています。

高校生の頃から20年あまりBUMPの楽曲を大切に聴いてきた筆者は、もちろん新譜が出るたびに音源を購入して聴いているのですが、最近聴くたびにこう思います。「BUMPは昔から同じことを歌っている」と。

本稿では、筆者が感じた「BUMPが長年歌い続けていること」とともに幅広い作品とタイアップできる理由を考察していきます。

※全て筆者が楽曲から受け取った印象を元に考察しています。公式の発表などではありませんのでご了承ください。

【写真】BUMP OF CHICKENが多種多様な作品とタイアップする理由を考察

近年のタイアップ状況

まずは近年どんな作品とタイアップしたのかをご紹介していきます。今年は先述の『ヒロアカ』×「I」に加えて、2017年にリリースした「リボン」がピクサー映画『星つなぎのエリオ』の日本版エンドソングに起用されました。

さらに2024年リリースの「邂逅」が『3月のライオン』18巻発売記念PVに使用され、2005年リリースの「銀河鉄道」が実写映画『秒速5センチメートル』の劇中歌に使用されています。

2024年は先述の「邂逅」が映画『陰陽師0』の主題歌を、「Sleep Walking Orchestra」は『ダンジョン飯』OP主題歌を、「strawberry」はドラマ『西園寺さんは家事をしない』の主題歌をそれぞれ務めました。

たった2年振り返るだけでもこれだけの作品とタイアップしており、そのジャンルは王道少年漫画から青年漫画、恋愛、SF、時代劇、ファンタジー、グルメと多岐にわたっています。

BUMPが30年間歌い続けている同じこと

冒頭で「BUMPは昔から同じことを歌っている」と言いましたが、誤解してほしくないのは、決して否定的な意味ではなくむしろ肯定的に捉えているということ。

昔から同じことを歌っているということは、彼ら(特に作詞作曲を手掛ける藤原基央さん)の信念が変わっていないということであり、30年間同じことを歌い続けることで、年々その説得力が増していると感じています。

さて、ここからが本題です。私が感じるBUMPの楽曲の主題は「命の尊さ」「人間関係」「時間の不可逆性と別れ」の3点。ひとつずつ考察していきたいと思います。

命の尊さ

BUMPの楽曲は命の尊さや一人の人間の尊さを歌った楽曲が多いと感じています。ですが、ただ命の尊さだけを美化して語るのではなく、生き続ける苦しみもきちんと歌っていることが大きな特徴です。

メジャーデビュー曲である「ダイヤモンド」では「弱い部分強い部分 その実両方がかけがえのない自分 誰よりも 何よりもそれをまずギュッと強く抱きしめてくれ」と、弱い自分を認める苦しさを乗り越えて自分を愛してほしいというメッセージが歌われています。

その一方で、ひと一人の存在は小さいもので、たとえいなくなったとしても世界は何ひとつ変わらず動き続けるという考え方もBUMPの特徴のひとつ。

2005年リリースの「supernova」でははっきりと「誰の存在だって 世界では取るに足らないけど」と歌われています。そしてその直後には「誰かの世界は それがあって 造られる」とも。

最近のタイアップ曲の中でこれらと近いことを歌っているのは「Sleep Walking Orchestra」です。

「どうして体は生きたがるの 心に何を求めているの 性懲りも無く繋いだ世界 何度でも吐いた 命の証」や「誰が消えても星は廻る 明日が今を過去にしていく 残酷なまでに完璧な世界 どこかでまた躓いた蟻」などの歌詞から一貫した命への捉え方が感じられます。言わずもがな、ここで言う蟻はちっぽけな人間の比喩でしょう。

世界的、あるいは宇宙的規模に対する一人の命はとても儚く、呆気ないものであることはまごうことなき事実で、私たちはとても小さな存在です。BUMPは、そのシビアな事実を提示してなお、一人一人の命の尊さを歌い続けています。

人間関係

BUMPの楽曲では人と人の関わりや相手への深い愛を歌ったものが多いのですが、「本当に理解し合うことはできない」という切ない現実もきちんと描写しています。

「supernova」では「本当のありがとうはありがとうじゃたりないんだ」と、私たちが他者との意思疎通のツールとして使っている言葉ひとつとっても、自分の感じていることや思っていることを全く相違なく相手に伝えることは不可能だということを表現。

特に辛さや苦しみについてはこの思想が強いBUMP。映画『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』の主題歌「Small world」では「君だけの思い出の中の 君の側にはどうやったって行けないのに 涙はそこからやってくる せめて今 側にいる」と大切な人の辛い経験を共有できない切ない思いとそれでも寄り添おうとする姿が描かれています。

この価値観が強く表現された楽曲として挙げられるのは、『ヒロアカ』主題歌として話題になった「I」ではないでしょうか。

敵<ヴィラン>が敵になるまでの辛い生い立ちも丁寧に描かれた本作のクライマックスを彩った楽曲で、BUMPが用いたのは「救う」や「助ける」といったワードではなく「触る」という言葉。

私はこの言葉を、相手が抱える痛みを直接触れる距離まで近づかせてくれること、そして治療を意味する手当てという言葉のように、直接手を当てて理解し、心から癒したいと願っていることだと捉えました。

ヒーローと敵<ヴィラン>は本来であれば存在そのものが相容れない関係です。対極にあった彼らは激しくぶつかり合い、それでもヒーローは諦めずに理解しようとし続け、最後には触れる距離にまで近づいていく。

心の底から理解することはできなくとも、理解しようとし続ける姿勢をずっと歌ってきたBUMPらしい楽曲です。

時間の不可逆性と別れ

時間の不可逆性と別れもBUMPの楽曲とは切っても切れない関係です。これまでに様々な楽曲の中で、戻ることのない時間や避けられない大切な人との別れ、別離してなお相手を大切に思う気持ちを歌っています。

数ある楽曲の中でもこのテーマを強く感じられるのは映画『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』の主題歌「友達の唄」です。

楽曲最後の「信じたままで 会えないままで どんどん僕は大人になる それでも君と 笑っているよ ずっと友達でしょう」という歌詞にもうきっと会えない友達への思いが凝縮されています。

魅力的な作品に共通する要素

命に関する捉え方や人間関係に関する考え方、そして時間の不可逆性と大切な人との別れは、多くの人に「面白い」といわれる作品に共通する要素ではないでしょうか。

大切な仲間や友達、彼らの存在を尊く感じること、時にすれ違うこともありながらお互いに理解しようと関係を築いていく過程、そうやって関係を築いた人ともどんな形であれ必ず別れがやってくること……。

世界的な人気を誇る『ONE PIECE』や『僕のヒーローアカデミア』など、読者を魅了する多くの作品にはこれらすべてか、あるいはいずれかの要素が必ずと言っていいほど含まれています。むしろ、この要素がない作品の方が少ないと言えるかもしれません。

ゆえに、BUMPの楽曲はあらゆる作品の世界観に寄り添うことができるのです。

同じことを歌っていると思わせない新鮮な表現

30年近く一貫して同じことを歌い続けているBUMP。しかしながら、新しくリリースされる楽曲はどれも新鮮さに溢れており、彼らのアーティストとしての実力の高さを証明しています。

楽曲の雰囲気はタイアップする作品ごとに全く違うものですし、彼ら独自の視点で物語を描いているため、作品の新しい側面に気付けるのもBUMPならでは。

「I」の「あらゆる種も仕掛けも 使い果たした後の 諦めを許さない呪い」という歌詞では、ヒーローの美点として描かれがちな諦めないことを「呪い」と言い、ある意味彼らを苦しめるものとして表現しています。

また、歌詞表現においても同じことを歌っていると感じさせないほど非常に豊か。命が続いていくことを「未だ響く心臓のドラム(「Sleep Walking Orchestra」)」や「吸って吐いてが続く事(「アンサー」)」、「弱く燃える灯り(パレード)」など様々な言葉で表現しています。

作品と自分を地続きに感じさせてくれる楽曲

以前私は、BUMPと親交の深い映画監督・山崎貴さんがご自身の手掛けた映画にBUMPの楽曲を起用した際のインタビューで「彼らの楽曲は作品を立体的にしてくれる」とおっしゃっていたのを聞いたことがあります。

当時の私はそのことをちゃんと頭で理解はしておらず「BUMPってすごいなあ」くらいにしか思っていなかったのですが、本稿を執筆するにあたってその理由のひとつに辿り着きました。

これまで彼らが一貫して歌ってきたことは、様々な作品に共通する要素であると同時に、多くの方が経験したことのある感覚でもあります。そのため、彼らのタイアップ曲は、作品の世界観を感じつつ、自身を投影することもできる楽曲になっているのです。

ゆえに、まるで作品と自分を地続きにしてくれるような感覚を覚え、作品そのものが立体的に見えるようになるのだと私は結論付けました。

歌詞を読みながら傾聴してほしい!

BUMP OF CHICKENの楽曲がタイアップされる理由について考察させていただきましたが、執筆にあたって改めて楽曲を聴けば聴くほど、彼らの楽曲はとても哲学的であり、自分の頭で考えれば考えるほど味わい深く、魅力的になっていく楽曲だと感じました。

こればかりは、本記事を読んでいただいている皆さんにもご自身で考えて感じていただくほかありません。

日頃時間をかけて音楽を聴くことがないという方も、長期休みを機に歌詞を読みながら一度じっくりとBUMPの楽曲を聞いてみてください。きっと新しい魅力やその味わい深さに気付けるはずです。

BUMP OF CHICKEN - YouTube
 

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