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シドの最新アルバム『海辺』を心地よい座席と上質な音響で味わった試聴会レポート

SPICE

シド 撮影=今元秀明

シド『海辺』先行試聴会ツアー
2022.3.20 ユナイテッド・シネマ豊洲

3月20日、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、『シド「海辺」先行試聴会ツアー』を体験した。このツアーは、23日リリースのアルバム『海辺』の先行試聴会にメンバーのトークセッションを組み合わせた特別メニューで、1日2回公演を行いながら、北海道、愛知、大阪、福岡を巡り、今日の東京公演が最終日になる。“令和歌謡”をコンセプトに掲げた『海辺』は、マオの歌詞とイメージをいわば脚本として、メンバーの作曲とアレンジによって1曲ごとに音の風景を創り上げた、ある意味、映像的な作品だ。心地よい座席と上質な音響が用意された映画館という空間に、似合わないはずがないだろう。

午後1時ちょうど、場内の灯りがすっと消えた瞬間に爆音が轟き、前触れもないままにアルバム試聴会がスタートする。1曲目「軽蔑」の超攻撃的なロックサウンドをクリアな大音量で聴く、なんて贅沢な時間だろう。スクリーンに映し出される歌詞の出し方も凝っていて、「軽蔑」は映画のエンドロールのように流れてゆき、続く「大好きだから…」はパソコンの画面に打ち込むように文字が現れる。「大好きだから…」には、歌詞を文字で読まないとわからないある仕掛けが施されているのだが、その種明かしもしてくれる。暗闇の中でただ音と言葉だけにどっぷり浸る、それはまるで音楽を聴く原体験のようなスリリングなひととき。

色気たっぷりのサキソフォンのフレーズが耳に残る「13月」から、洗練されたシティポップ風味付けの「街路樹」へ、そしてブルースやゴスペルなどルーツミュージックの影響を色濃く映すバラード「液体」へ。歌詞を追いながら脳内にオリジナルの映像を創り上げてゆくのも楽しいが、巨大スクリーンに映し出される「騙し愛」のミュージックビデオを、爆音で受け止めるのも最高だ。ストイックな演奏シーンに、躍動感溢れるバレエダンサーたちのダンスシーンが絡み合う、冷静と情熱の間で繰り広げられるドラマ。すごい迫力だ。

切なさの極限を表現する壮大なバラード「白い声」の余韻のあと、アニメーションや特殊エフェクトを駆使した、アーティスティックな「慈雨のくちづけ」のミュージックビデオに目を奪われる。そしてアルバム随一のロマンチックなポップチューン「揺れる夏服」を経て、ラストを飾るバラード「海辺」のミュージックビデオは、美しい海辺の映像にモノクロ処理も交えながら、どこまでも深く優しくエモーショナルに。全10曲でおよそ40分の様々な愛のドラマを描き尽くす、これはまさに映画のようなアルバムだ。

「今日はこんなにたくさんの皆さんに集まっていただいて、本当にありがとうございます。映画館でイベントをやるのは初めてなので、僕らも非常に楽しみにしてきました」(マオ)

試聴会の余韻さめやらぬ間に、司会の星野卓也がメンバーを呼び込み、トークセッションが始まった。全国5か所のツアーを振り返り、マオは「アルバムを聴いたあとの皆さんの顔を見ると、ジーンと来ている感じがあって、かわいらしいなと思いました」、ゆうやは「すごいですね。もうライブでした。あと、椅子が気持ちいいです」、明希は「臨場感ある音で聴いてもらって、映画館ならではの良さだなと思います」、そしてShinjiは「初めてなので緊張しますね」と言いながら、誰よりも饒舌にしゃべり、星野卓也に突っ込まれている。4人ともリラックスして、楽しそうだ。

マオ

「10の愛の物語が、最終的に流れ着いてゆく場所が海辺です。ファンの皆さんのことを海辺だと思って、僕が流木だとしたら、傷つきながらもたどり着いた僕の思いを、「海辺」という曲に込めました。今までのアルバムの中で一番、感情や気持ちがたくさん詰まっているアルバムだと思います」(マオ)

マオの言うように、『海辺』は過去のシドのどのアルバムよりも感情豊かで、エモーショナルな仕上がりだ。ゆうやも「艶っぽい曲が多いなという印象がありますね」と、進化したシドの音楽スタイルへの自信を語る。ちなみにShinjiは海から拾ってきた流木をきれいに磨き、オブジェとして部屋に飾っているらしい。「流されて、削られてきれいになってゆく、流木は人間のドラマと一緒な感じがします。僕らも最初の頃は尖ってましたけど、丸くなりました」と、とっさのコメント力も冴えている。

Shinji

司会者の「これまでのツアーでまだ明かしていないアルバムエピソードは?」という振りに応え、明希が挙げたのは「シドを組んだ約20年前に自分で買った、フェンダーの白いベースを久しぶりに引っ張り出して、「海辺」はそれで録りました」というエピソード。「すごく味のある音になっていた」という、やはり楽器も人間と同じように、年を取ると味わいを増してゆくのだろう。一方ゆうやは、「「騙し愛」のミュージックビデオ撮影で僕だけ前乗り(前日入り)したこと」を挙げ、ゆっくりお酒を飲んで寝て、コンディションを整えたつもりが、「会場への入り方がわからなくて遅刻しました」というオチに、場内から笑いがもれる。さらに「13月」の曲名にちなむ「好きな月は?」というフリートークで盛り上がり(ちなみにマオは「12月」だそう。クリスマスもあるし、1年間頑張ったなと思える月だから、とのこと)、楽しい時間があっという間に過ぎてゆく。お別れの挨拶も、四者四様の個性豊かな、そして愛情溢れるものだ。

明希

「僕らの良さがぎゅっと詰まって、なおかつ新しさと、演奏もいろんな経験を積んで、昔よりも洗練されてきたと思う自信作です。ぜひCDを手に取って、聴いてみてください」(Shinji)

「20年近くやってきた僕らでも、まだまだ発見がある、もっと可能性があることを再確認できました。みんなが好きなシドの姿、これからのシドの姿、両方感じられるアルバムになったと思います」(明希)

「CDパッケージは3バージョンあるんですが、すべての仕様にこだわりを持って、僕らも参加させてもらって作っています。そして、(声を作って)“俺さぁ、みんなが俺たちのことを好きなぐらい、いや、もっとお前たちのことが好きだから。”そう思いました」(ゆうや)

ゆうや

「今日ここにきて思ったのは、みんなの元気な顔を、定期的に見ておかなきゃ嫌だなということ。今はツアーをやれずにいるんですが、こうして顔を合わせて会うことだけでも、試聴会の意味はあったと思います。こんなに素晴らしいバンドで19年やってこれた証が、『海辺』というアルバムだと思うので、アルバムをしっかり聴いて、来年一緒に20周年を迎えましょう」(マオ)

笑顔で手を振りながら会場をあとにする4人に向け、温かい拍手が降り注ぐ。19年目の最新傑作『海辺』を創り上げたシドが、次にどんな形で姿を見せてくれるのか。焦らずあわてず、『海辺』を聴きながらゆっくり待つことにしよう。

取材・文=宮本英夫 撮影=今元秀明

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