タスク管理術「GTD」とは?活用のコツから注意点まで分かりやすく解説!
常に脳内が整理された状態を保ち、目の前のタスクにのみ集中できる環境をつくる手法である「GTD」。効率的なタスク管理術として、日常生活からビジネスシーンまで幅広く活用されています。
この記事では、GTDの特徴やメリットに加え、具体的な実践手順や効果的な取り組み方を分かりやすく解説します。
GTDとは
GTDとは「Getting Things Done(仕事を成し遂げる)」の頭文字をとった略語で、タスクやプロジェクトを整理して管理する仕組みのことを指します。うまくタイムマネジメントして生産性や効率性を上げるためのタスク管理方法のひとつです。
ビジネスシーンはもちろん日常生活でも使えるGTDですが、ただ単にタスクを完結させることが目的ではありません。 自分が抱えているタスクを効率よく管理し、常に脳内が整理された状態でいることで、今やるべきことだけに集中できる環境をつくりだせる 手法です。
GTDを活用できる場面
「やることリスト」や「今日は〇〇と△△をしなければいけない」などといった情報が脳内に溢れている場合、他のタスクに意識が向いて目の前のタスクに集中できないことがあります。 脳内の情報が多ければ多いほど、脳に負担がかかり集中力や生産性は低下する のです。
GTDは、脳内のさまざまなタスクを整理して脳への負担を減らし、集中して目の前のタスクに取り組むことを目的としたタスク管理術。 複数のことを同時に考えないといけないマルチタスクが求められる場面でGTDが非常に役立ちます 。
GTDのメリット
GTDを実践することで得られるメリットは大きく2つあります。
タスクが常に整理され生産性が上がる
GTDでは、必要なタスクは頭の中ではなくメモ帳やデジタルツールなどの外部ソースに可視化して管理します。そのため、 タスクが整理されているため脳内がスッキリし、目の前のタスクに集中できる 点が最大のメリットといえるでしょう。
タスクの優先順位を適切に判断でき、効率よく物事を進められる
もう1つのメリットは、タスクの優先順位を把握できることです。 期日管理がしやすくなることはもちろん、「緊急ではないが重要なタスク」も後回しにせずに実行 できます。また、自分以外の関係者や後続作業も意識しながら優先順位を判断していくため、組織全体としても円滑な業務遂行が可能になるでしょう。
GTDの5つのステップと実践時のポイント
個人だけでなく組織全体としての生産性向上も期待できるGTDですが、具体的にどのようなプロセスで実践していけば良いのでしょうか。
GTDには「把握する」「見極める」「整理する」「更新する」「実行する」といった5つのステップがあります。ここでは、各ステップの具体的な方法と実践時のポイントについて解説します。
【ステップ1】把握する(収集)
まずは、脳内で管理していたすべてのタスクを把握しましょう。具体的には、やるべきタスクや決まっている予定はもちろん、毎日のルーティーンで行っているものや「いつか取り組みたい」と思っていること、「やってみたいな」と検討していることなど、自分の頭の中で起こっている思考のすべてを書き出します。
書き出すところは紙でも携帯やパソコンのメモ帳などでも構いません。紙であれば1つのトレーやボックスにファイリングして保管する、パソコンであれば専用のフォルダを作る、TODO管理ツールであれば1つのものを使うなど、 情報が散在しないように同じ場所に集約 するようにしましょう。
【ステップ2】見極める(処理)
ステップ1で書き出したタスクを「緊急度と重要度の高さ」「今すぐやるべきことか、あとでやるべきことか」「自分がやるか、人に任せたほうが良いか」などの視点から優先順位をつけていきます。この際、 タスクを実行するにあたって必要な情報(関係者や所要時間、予算、紐づくタスクなど)も踏まえると緊急度や重要度の判断がしやすくなります 。
ポイントはそれぞれのタスクについて、 実際にすぐ動けるレベルにまで具体化しておく ことです。例えば「〇〇プロジェクトを始動させる」といったタスクがあった場合は、「キックオフミーティングの日程調整をする」「プロジェクトの目標や予算、スケジュールを確認する」「ミーティングの議題を作成する」「ミーティングを実施する」などと作業レベルまで分解し、何から取り組めば良いのかを明確にしましょう。
緊急度と重要度を判断する「アイゼンハワー・マトリクス」の活用がおすすめ!
ステップ2において、各タスクの緊急度と重要度を判断する際に活用したいのが「アイゼンハワー・マトリクス」というフレームワークです。下記4つのカテゴリーに各タスクを振り分ける手法で、適切な優先順位づけに役立ちます。
①やる
例:期日が決まっているタスクや関係者から催促されているタスクなど
②予定する
例:資格取得やスキルアップのための勉強、たまっている名刺の整理など
③任せる
例:毎日のオフィス掃除や備品の補充などルーティーン作業、急遽対応するように人から依頼されたタスクなど
④やらない
例:「こんな便利なグッズがあれば欲しいな」「〇〇に行きたいな」といった一時的な思考など
【ステップ3】整理する(整理)
ステップ2でカテゴリー分けしたタスクを整理し、実行しやすい状態を作ります。仕事とプライベートなどのステージごとに仕分けし、そのうえでプロジェクトや顧客ごとにまとめたり、連動しているタスクをまとめたりと細かく分類してきます。最後に、各分類のなかで優先度の高いものを、上から順に①②③…と番号をつけて並べていきましょう。
ポイントは、 それぞれのタスクに対して期日を設ける ことです。定期的に行うタスクについても必要な回数分だけ書き出し、時系列に沿って並べてください。そうすることで上から順に実行していくだけの状態を作れます。
【ステップ4】更新する(レビュー)
GTDは、一度タスクを収集・処理・整理すれば終わりというわけではありません。 整理したタスクを定期的に見直し 、必要に応じて1から3までのステップを繰り返し行う必要があります。「始業後すぐと退勤前」「毎週○曜日の○時」など見直すタイミングを決めておき、タスクの進捗具合を把握したり追加で出たタスクを反映させたりしながら、必要に応じて優先順位の見直しが大切です。
ただし、見直しの頻度が高すぎると、その作業自体が負担となり本末転倒になりかねません。あらかじめ決めておいた固定のタイミングで見直すようにしましょう。
【ステップ5】実行する(行動)
着手すべきタスクと締め切りなどの期日管理が終われば、あとは実行に移すのみです。 優先度の高いタスクから順に完了させていきましょう 。
今使える時間や体調などのコンディションに応じて、タスクの優先順位を前後させても構いません。また、「上司に〇〇についての相談メールを送る」「部下に〇〇を依頼するメールを送る」などの似たような作業や「営業先のリストアップ」「営業架電」といった関連するタスクは一気に行ったほうが効率的です。状況に応じて緊急度や優先度も変わるので適切に選択していきましょう。
GTDの効果を最大限発揮させる4つのコツ
GTDの効果をより発揮させるためにはいくつかのコツがあります。GTDの効果を最大限発揮させる4つのコツを紹介します。
「把握する(収集)」と「見極める(処理)」のステップを同時に行わない
GTD を実践する際は、収集と処理の作業を明確に分けましょう。「見極める(処理)」のステップでは、重要度・緊急度以外の観点からも各タスクの整理をしていくため、同時に行うと返って時間かかってしまいます。 すべてのタスクを洗い出したあとに、全体を俯瞰的に見ながら優先順位を判断する ことが重要です。
1つのツールに情報を集約する
頭の中にある情報をすべて書き出すときは1つの場所にまとめる ようにしましょう。複数のツールに情報がまたがっていると、タスクの実行時にそれらを見比べて判断しないといけなかったり、タスクの進捗が管理しきれなかったりする可能性があります。情報の抜け漏れを防ぐためにも、常に同じツールを使って管理することが大切です。
集中が切れたら一度中断する
GTDのプロセスを進めている途中で 集中力が切れた場合は、無理に続けるのではなく作業をいったん中断 しましょう。GTDの各ステップは、それぞれ時間と手間をかけて取り組む必要があるものばかりです。少し時間を置いて、頭や気持ちをリフレッシュさせてから再度取り組むことで、タスク管理の精度も高まるでしょう。
タスクの進捗管理、優先順位管理は柔軟に行う
タスクの進捗や優先順位は、状況に応じて柔軟に調整することも必要です。もちろん優先順位に沿って実行していくのは最も効率的ですが、緊急なタスクが入ったり使える時間が限られていたりする状況では、今取り掛かるべきタスクが変わることもあります。 順番に固執しすぎず、状況に応じて最適な優先順位を判断 しながら進めていきましょう。
まとめ
今回は、タスク管理術「GTD」の特徴やメリット、具体的な実践手順やポイントなどについて解説しました。
GTDは、ビジネスシーンでもプライベートでもさまざまなタスクに追われ、「やりたいことが結局できなかった…」「いつも重要なことが後回しになる」と悩んでいる人に試してほしいタスク管理術です。紙とペンまたは、スマホやPCがあればすぐ始められるので、その手軽さも大きなメリットといえます。
日々のタスク管理に悩んでいる人やより効率的なタスク管理術を探している人は、この記事を参考にGTDを取り入れてみてください。
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