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地域おこし協力隊に聞いた高知県の離島 宿毛市沖の島ってどんなところ?【島の生活とお仕事編】

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地域おこし協力隊に聞いた高知県の離島 宿毛市沖の島ってどんなところ?【島の生活とお仕事編】

高知県宿毛市沖の島の紹介

沖の島とは高知県の最西部の宿毛市片島(かたしま)から更に南西へ約24kmにある、太平洋上に浮かぶ有人離島で人口は約110人(住基上はもっと登録されているが、約110人というのは学校職員や宿毛市職員等を除いた実島民の数)。

沖の島は裸島(はだかじま)・二並島(ふたならびじま)・鵜来島(うぐるしま)・三ノ瀬島(さんのせじま)・姫島(ひめしま)・水島(みずしま)の7島から構成されて沖の島町という。沖の島と鵜来島には人が住んでいるぞ。

前編記事を読む▶▶地域おこし協力隊に聞いた高知県の離島 宿毛市沖の島ってどんなところ?【自然あふれる土地風景編】

沖の島生活「暮らしで不便なことは?」


中垣さん「地域おこし協力隊の勤務日が月曜日から木曜日までなので、週4日働いて金土日は休みで、遊んだり、ゆっくりと過ごしたりしています。

ライフライン関係の電気は高知県本土の大月町から海底ケーブルが沖の島に繋がっています。水道は島内に水道の施設があり、島の川の水を浄水処理して供給しています。ガスは島外からプロパンガスを取り寄せて供給しています。

固定電話ももちろん繋げることができます。ただ携帯電話はキャリアによっては島内で繋がらない場所がありますし、インターネットの速度も普段は全く問題ない速度ですが、稀に遅くなる時があります。普通に暮らす分には不便はないですが、インターネットと共に育った世代の私はスマホの速度が遅い時は正直困っています…。

通信速度の安定という課題を解決することができれば沖の島に居ながら、様々なビジネスをオンラインで行うことができます。働き方改革やコロナ過の新しい生活の時代についていくには、インターネットの速度は非常に大きな課題ですね」

【宿毛市に移住してできた友達が来島してくれて海遊び でもまだ寒かった思い出です(笑)】

沖の島生活「お店はある?お買い物はどうしてる?」

中垣さん「島内に商店が2軒あります。卵など生鮮食品はそこで買っています。あとは大手ネット通販で買い物をしています。私は利用していませんが、島外のスーパーや生協から食料品を島に送ってもらえるサービスもあるので、それを利用している島民も多いです」

【弘瀬地区:市原商店】

【母島地区:沖の島集落活動センター妹背家 島の駅いもせや】

沖の島生活「郵便・宅配便は普通に届く?」

中垣さん「沖の島には母島地区に郵便局、弘瀬地区にも簡易郵便局があって島外の郵便と同様のサービスを受けることができます。ただちょうど今月からの話ですが、郵便の営業時間が短くなってしまいました。通常は窓口が17時に閉まるのですが、沖の島では16時に変更になりました。人口が減ってくるとこういった事業の縮小がどうしても進んでしまうのでなんとか食い止めたいところです。宅配便については沖の島では島内の2つの事業者さんに委託されて発送・配達が行われています」

【沖の島 母島郵便局】

沖の島生活「診療所などはある?」

中垣さん「母島地区に沖の島へき地診療所。弘瀬地区に出張所があり、合計2つの診療所があります。宿毛市職員看護師2名が駐在しており、週に3日ほど島外の複数の病院から医師が来島して対応しています。医師が不在の時はなんとモニター越しに遠隔診療で対応しています。技術が進んで凄い時代ですね。緊急時は船やヘリコプターを用いて島外の病院へ緊急搬出する体制が整っているので安心です」

【宿毛市立沖の島へき地診療所】

沖の島生活「宿泊できる場所は何軒?」

中垣さん「宿泊施設は母島地区に3件。弘瀬地区に3件です。料金は統一されていませんが、1泊2食付で大人1名6000円~7000円ほどです」※2食付の概算料金

沖の島生活「高知新聞の朝刊は届く?」

中垣さん「朝便の定期船で届きます。母島港と弘瀬港でそれぞれ届くので、委託された事業者さんが配達をしています。島の集落は石段が多いので配達員さんは暑い暑いと言いながら毎日頑張っています」

沖の島生活「移動手段は車?」


中垣さん「車で移動しています。小さい島と思うかもしれませんが、島内の県道の端から端まで約20kmあります。また、起伏の激しい島なので徒歩、自転車では大変です。島には信号機はありませんが、そこそこの交通量があるんですよ」

沖の島生活「ガソリンスタンドや燃料店はある?」

中垣さん「すくも湾漁協協同組合が母島地区と弘瀬地区にガソリンスタンドを設けて販売しています。弘瀬地区のものは昨年度新設したばかりで真新しいです。移動手段が主に車なので、島内で燃料を購入できるというのは非常に助かります。ガソリン以外にも灯油と軽油も販売しています」

【すくも湾漁協協同組合沖の島支所のガソリンスタンド】

沖の島生活「島の名物“落花生”」

中垣さん「農作物でいえば沖の島の名物は落花生です。様々な料理の際に落花生が使用されています。沖の島の落花生の品種は品種改良されておらず、江戸時代から変わっていない古来種野菜と言われて高知新聞さんの記事になるなど近年着目されています」

【沖の島名物の落花生】

中垣さん「島は台風の経路になったり、冬の季節風などの強風で背の高い作物は育てにくいので、島では落花生やサツマイモなどは育てやすいのでしょう。

海産物でいうと沖の島近海ではトングロ、イサキ、グレ、キビナゴ、カツオ、メブトなどがよく獲れます。フノリ、テングサ、メノリなどの海藻も島の名物です。又、亀の手、クボなどの甲殻類、貝類なども島ではよく食べられます」

【島の漁師さんに誘ってもらってカツオ漁に一緒に行った様子】

沖の島生活「ある1日の中垣さんの食事」


朝食

【いたぶ、びーびーと呼ばれる果実】

中垣さん「島で自生している野生のいちじくのような果実です。朝食はあまり食べないタイプなのである日の朝食は通勤中に見つけたこいつをぱくりと食べて出勤しました(笑)」

昼ご飯

【落花生餅】

中垣さん「これは落花生を混ぜて作ったお餅です。島の方からいただいてお昼に食べました。甘めに作ってあってとても美味しかったです!」

夕食

【イノシシ肉の野菜炒め】

中垣さん「沖の島は離島ですが、イノシシが海を泳いで渡ってきて島内で大繁殖しています!私は有害鳥獣対策で狩猟免許を取って罠を仕掛けていますが、この写真は島で獲ったイノシシの肉と島で育てた野菜と、宿毛市のソウルフードとも呼ばれている天下茶屋さんの焼肉のたれを使用してイノシシ肉野菜炒めを作りました。

私の食事を振り返ると、島で採れた食材を用いていることが多いです。魚介類や山菜、果物、イノシシ。島では自然食材が多く採れます。私はアウトドア的なことが好きで、よく自然の食材を検証して楽しんでいます。試しにヘビを食べた時はすぐに島中に噂が広がってしまって、ヤバい奴だと笑われてしまいました(笑)」

 因みに蛇の味ってなんと表現したらいいんでしょうか(何かに似ているとか・・・)

中垣さん「イノシシの獣肉と同じ臭みがありました…。イノシシは蛇を食べるというのでイノシシの臭みはヘビからきているものなのかもしれないですね(笑)」


沖の島の一番の魅力はどこですか?

中垣さん「自然と人です。沖の島は島内全てが自然に溢れていて、何気ない普段の暮らしの中で自然を感じることができます。島の山、海、空。それらは変わらないように見えても毎日違います。特に島の夕焼けは非常に美しくて私は大好きです。また、沖の島の冬は別名「風の島」と呼ばれるほど風が強いのですが、私は夏よりも冬の強風が吹き荒れる島が好きだったりします。冬は台風でもなんでもない時でも風速20m/sを超える日が日常的にあります。来島時は驚きましたが、全てを吹き飛ばしてくれるような強風が心地良く感じます。その強風のおかげで空気が澄んで夕焼けが綺麗なのではないかと思います」

【12月に白岩岬公園キャンプ場から撮影した夕焼け】

中垣さん「また、島のみんな優しく、よく話しかけてくれるので過疎が進んでしまっている沖の島でも寂しいと思うことはありません。先週の休みはおばちゃん達が「ピクニックをしよう!」とおにぎりやおかずを作ってくれて、海が良く見える場所で和やかにピクニックを楽しみました」

【ピクニックの様子】

中垣さん「沖の島へ来島した当初、まずは島を知ることが重要だと思って、島の約60の全世帯にご挨拶に伺いました。次に、地理を知る為に道なき山の中まで島中を駆け巡りました。島の歴史を学ぶ為に昔の話を聞いたり、本を読み漁りました。そうしている間に島の大自然を体験して、歴史を知り、島の方々と仲良くなって、移住してすぐに沖の島に魅了されました。また、地域おこし協力隊業務の「離島振興」とは何なのだろうか?何がどうなったら離島振興なのか?行政は何を考えているのか?島の人は何を望んでいるのか?自分はどんな活動をしたら良いのか?何ができるのか?日々、自問自答をし続けました。沖の島のことを毎日毎日考えているうちにいつしか沖の島のファンになっていました。

今では沖の島の知識・想いは島で生まれ育った方と遜色ないと自負しています。島の山、海、空、人。それぞれが非常に素晴らしく、それら全てが合わさってひとつの沖の島だと思います。沖の島のことが大好きなんです。沖の島を移住先に選んだ明確な理由はありませんでしたが、結果として移住して本当に良かったです。

島での暮らしは私の心を豊かに満たしてくれて、いままで生きてきて今が一番幸せです。だからこの島で暮らし続けようと定住を決めました。現在は定住に向けて準備を進めています」


沖の島生活「沖の島地域おこし協力隊中垣さんの1日」

中垣さん「宿毛市沖の島の地域おこし協力隊は、集落活動センター事務局の業務を柱とした離島振興に関することを業務としています。日々舞い込んでくる事案や離島振興という広い領域に及ぶ為、定例的なルーティンワークではありませんが有害鳥獣対策で狩猟免許を取得して猟も行っており、仕掛けている罠にイノシシがいつ掛かるのかというのは予測できないので大変です。また、「今日あれをするぞ!」と当日に連絡する島の方も多くてイレギュラーなことが多いです(笑)では、ある日の1日の流れをご紹介します。

6時30分:起床

7時30分:朝食

7時50分:通勤

8時05分:母島港到着

8時20分:定期船荷役手伝い

8時30分:宿毛市沖の島支所へ出勤

8時40分:メールチェック

9時00分:集落活動センターのホームページ、Facebook、インスタグラム更新

10時00分:沖の島観光協会役員会出席

12時00分:昼休み。久保浦海岸へ行き、海辺でおにぎりを食べる。

13時00分:地域住民とシモン芋のツル差しを行う(島の伝統野菜)

【シモン芋】

中垣さん「貴重な芋なので全て種芋に使っていて食べた事はないです。噂でよく聞くのは不味くて普通のサツマイモの方が断然美味しいと聞きます。不味いと言われると逆に食べてみたいですけどね。このシモン芋はブラジル原産の品種で日本で一番最初に栽培されたのはなんと沖の島なんです。そんな背景もあって島では種を絶やさないようにと栽培を続けています。非常に栄養成分が豊富な芋なので葉っぱを乾燥後に煎じてお茶にして飲まれています」

14時30分:島の駅いもせやの店番を行う(集落活動センター運営の商店)

【島の駅いもせやの写真】

16時30分:店番終了

16時40分:島のPR記事を作成、WEBメディア等に寄稿する

17時10分:日報を宿毛市役所企画課へ送付する

17時15分:勤務終了

17時30分:寄り道して釣り等を楽しむ

18時30分:白岩岬公園キャンプ場で夕焼けを眺める

19時00分:帰宅

19時05分:夕食を作る

19時30分:飼っている猫と遊ぶ

【飼い猫の虎士郎(こじろう)です。】

19時50分:お風呂

20時10分:洗濯

20時20分:夕食

20時40分:製塩業起業準備(事業計画作り、勉強)

00時00分:就寝

 

地域おこし協力隊任期後について

中垣さん「沖の島に流下式塩田(りゅうかしきえんでん)と天日を組み合わせた製法を用いた施設を作り、製塩業で生計を立て定住する計画です。目標とする製塩施設を作る為、黒潮町にある㈲ソルティーブさんへ視察・研修に行きました。併せて他製塩事業者さんへの視察・研修を繰り返しなら沖の島での製塩業の事業計画を作成中です。

今は設計士さんに製塩施設の設計を依頼しています。離島に製塩所を作るということは、本土に製塩所を作るよりも多額の費用がかかります。自身の貯金だけでは資金不足なので様々な方法で資金調達に奔走してます。資金調達の額次第で施設の能力、規模が変わってきます。

沖の島で製塩業という新しい産業を敢えて立ち上げることで地域おこし協力隊任期後も沖の島振興を続けていきたいのです」

【流下式塩田と呼ばれる海水の蒸発を促す工程】

因みに製塩所っておいくらくらいかかるんでしょうか?

中垣さん「他製塩施設の話を聞くと2000万円を超えている所が多いです。沖の島の場合はまだ設計中で未定ですが、それぐらいを想定しています」

やはり、沖の島に製塩施設を作るということは材料等を運ばないといけないので普通よりも余計に費用がかかるんですね。是非、製塩所を沖の島に作って沖の島振興につなげてほしいです。中垣さんは資金調達の方法としてクラウドファンディングを利用されているので、ご興味のある方は下記URLをご覧ください。 

 【クラウドファンディング運営サイト キャンプファイヤー】
https://camp-fire.jp/projects/view/348457 

 沖の島に製塩所を作るために視察・修業されたソルティーブさんでの日々はいかがでしたか。

【黒潮町㈲ソルティーブの製塩所】

中垣さん「とにかく暑かったです。天日干しで結晶させるビニールハウス内はサウナのように暑いです。非常に過酷で大変な仕事だと感じましたが、同時に塩が出来る過程に面白さを感じました。天候・季節によって結晶する速さは変わってきます。まるで生き物を育てているような感覚です。

これから製塩技術を磨いて、最高に美味しい塩を探究していきます。塩作りは生涯を掛けるだけのやり甲斐、楽しさがあると感じました」

今後、沖の島をどのようなところにしていきたい?

中垣さん「今後、何も手を打たずに30年経った場合、現在住んでいる約110人の島民の年齢層から考えて人口が50人以下に減少していると思います。もしかしたら30人を切っているかもしれません。そうなった時に島の郵便局・漁協・市役所支所等のサービスが維持できるでしょうか。宿毛市営の定期船の便数も現状の1日2便から3日に1便などに削減される可能性があるかもしれません。電気・水道・ガス・電話・インターネット・道路などのライフラインも維持できなくなるかもしれません。「高知県の西の果てにある無人島に近い秘境の島」として売っていくのならそれで良いかもしれませんが…そうであってほしくないと私は思っています。

島民が普通に暮らして、観光客も楽しめる島にしていきたいと思っています。その為にもまずは沖の島を1人でも多くの人に知ってもらいたいです。知ってもらって、興味を抱いてもらって、島に遊びに来てもらう。観光客が一定数いれば宿毛市営定期船も維持されます。逆に増えれば夢の増便になるかもしれません。

更に言えば訪れてくれた観光客や沖の島出身者等にIターン・Uターンを促して島に住んでもらう。そうやって島の人口を維持・増加させていきたいです。

私は島で製塩事業を立ち上げて美味しい塩を作る事でまずは沖の島の存在を知ってもらい、塩作り体験商品を提供することで実際に来島してもらって、事業を拡大することで島内での雇用を創出して1人でも多くの人が島で生活できることを目指します。塩は無限の可能性を秘めている素材だと考えています。塩作りを通じて沖の島の活性化を狙う。それこそが私が立ち上げようとしている土佐沖の島塩業の企業理念であり、人生を掛けた沖の島振興策です。併せて、行政とも連携し今後の沖の島を模索していきたいと考えています」

熱く夢を語ってくれた中垣さんの活躍を、これからも応援していくぞ!

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