水族館で観察できた特に印象的な<ウミウシ>4選 海の中でそんなに目立って大丈夫?
海にすむ不思議な生きもの<ウミウシ>。
ウミウシは華麗な衣をまとうものや不思議な姿をしているものなど、多くの種類があります。小さくてかわいいその姿には生命の神秘や謎を感じます。
そんなウミウシの中でも、特に素敵だと感じる仲間がいます。きっと、あなたも水族館や海に行きたくなるでしょう。
ウミウシってどんな生きもの?
ウミウシは軟体動物に分類される海の生きもので、貝殻を持たない巻貝の仲間の総称です。
ウミウシという名前の由来は諸説ありますが、“角を持ち海をゆったり歩く姿が牛のように見えるから”とも言われます。なお、漢字では「海牛」と書きます。
世界中の海に生息していて、まだ未同定の種も多く、分かっているだけでも日本に1260種ほど、世界には2000種以上がいるとされています。
不思議な姿形をしているものが多く、色も地味なものから派手なものまで多種多様。大きさも2~100ミリくらいまでバリエーションに富んでいます。
ウミウシの生態は謎だらけ
ウミウシの生態は謎が多く、ごく限られた種でしか明らかになっていません。
何を食べるかもわからないものが多く、長期間の飼育は難しいとされています。水族館でウミウシの展示が少ないのは、こうした理由からです。
ウミウシの仲間たちは、海藻やカイメンといったエサを食べる種が多いそう。特定のエサしか食べない種も多く、ウミウシを飼育している水族館では日々試行錯誤をしているそうです。
ド派手な色合いをしているウミウシが多いのは、「毒を持っているから食べるなよ!」という警戒色で、捕食者をだまそうとしているそうですよ。毒を持っていないのに“持っているふり”をするって、面白いですよね。
しかし、中には実際に毒を持っている種類もいます。ウミウシを観察する際は毒の有無を調べ、よくわからなければ素手で触らないようにしましょう。
<足摺海洋館 SATOUMI>で気になるウミウシを紹介
筆者が11月初旬、高知県土佐清水市にある水族館「足摺海洋館 SATOUMI」を訪れると、ウミウシの飼育展示が行われていました。
その中から、形や色、模様が特に目を引くものを厳選して紹介します。
なお、展示は生きものの状況によって内容の変更や中止がある可能性がありますので、ご了承ください。
エレガントな<シンデレラウミウシ>
イロウミウシ科アオウミウシ属に分類されるシンデレラウミウシ(学名:Hypselodoris apolegma)は、高貴な色とされる薄い赤紫の衣をまとったような、とても華麗な姿をしています。
諸説ありますが、ドレスのようにひらひらする姿や、黄色く優雅な二次鰓(にじえら)がティアラのように見え、その優雅さからシンデレラという名前が付いたそうです。
70ミリくらいの大きさになり、ツチイロカイメン属の一種を食べることが確認されています。
魔法使いの靴のような<フタイロニシキウミウシ>
フタイロニシキウミウシ(学名:Ceratosoma bicolor)はイロウミウシ科ニシキウミウシ属に分類されるウミウシ。
ほっそりしたお尻はとがった靴の先、触角から二次鰓にかけての部分が靴の履き口(はきぐち)に見えるので、まるで魔法使いの靴のように見えますね。
これらの特徴はニシキウミウシと同じですが、幼生の色味が大きく異なるため、ニシキウミウシとは別種であるとされています。
見た目は草餅?<コノハミドリガイ>
コノハミドリガイ(学名:Elysia marginata)はチドリミドリガイ科ゴクラクミドリガイ属に分類されるウミウシの仲間です。楕円形に薄く広がることがあり、“カビの生えた草餅”のようでびっくりしました。
緑色や緑褐色の体に白と黒の斑点があるのが特徴。海藻を食べてその葉緑体を細胞に取り込むことができ、光合成をするといいます。
太平洋やカリブ海に分布し、日本でも観察されます。
まるで潜水艦のような<テヌウニシキウミウシ>
テヌウニシキウミウシ(学名:Ceratosoma tenue)はイロウミウシ科ニシキウミウシ属に分類されるウミウシ。
色はバリエーションに富むそうですが、ここの個体は地味な配色で、張り出した二次鰓後方部の形や細長い体型が潜水艦にそっくりでした。
前方からみると、体の真ん中から張り出している二次鰓が綺麗ですよ。
水族館や海へウミウシ探しに出かけましょう!
さて、ウミウシについて興味がわきましたか? 最後に、筆者がいつか見たいウミウシを紹介します。
それが、ウデフリツノザヤウミウシ。某アニメの人気キャラクターに似ているとして、ダイバーにも人気のウミウシです。
ウデフリツノザヤウミウシはまだ水族館では見たことがないのですが、過去には横浜・八景島シーパラダイスやアクアマリンふくしまなどで展示実績があるようです。
ウミウシに会う方法はさまざま
触角や二次鰓の形、軟体動物特有のゆるい感じが可愛いウミウシの仲間たち。今回は厳選して4種+1種を紹介しました。
ウミウシの飼育方法はまだ確立されておらず、水族館に行けば常に観察できるとは限りません。
しかし、海に行けば比較的簡単に観察できるのもウミウシの魅力。ダイビングでは海に詳しいガイドさんに教わりながら見つけたり、ポイントを探してタイドプールで見つけたり、観察会に参加したりと、ウミウシに会う方法はさまざまです。
ウミウシの仲間は一年中観察できることが多いですが、種によって活発になる水温や生息地が違うのでご注意を。リサーチのうえ臨むのがおすすめです。
一般的にウミウシが観察しやすいといわれるのは、水温が下がり始める12月から暖かくなり始める3月にかけて、またそこから夏本番の手前7月まで。海に生きるウミウシを観察するなら、この季節を目指して訪れてみてくださいね。
なお、水族館の展示については最新の情報を確認することをおすすめします。
(サカナトライター:額田善之)
参考資料
加藤昌一/小野篤司(2020)、新版 ウミウシ、誠文堂新光社
今本淳(2007)、不思議ないきもの「ウミウシ」、二見書房
どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん-Vol.82 シンデレラウミウシの飼育