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市販薬の服用で病気が悪化する!?気をつけたい薬と疾患の関係性

「みんなの介護」ニュース

雜賀 匡史

【科目】介護✕薬剤師  【テーマ】市販薬の注意点

【目次】

高齢者ほど薬の副作用リスクは高まる
高齢者が気をつけたい市販薬
薬の飲み合わせにも注意しよう

高齢者は病状によって複数の薬を同時に服用することも少なくありません。ただし同時服用する際には、薬の飲み合わせに注意が必要です。

普段から治療を受けている人や、病院やクリニックで薬の処方を受けている人が市販薬を購入するとき、誤った薬を選んでしまうと持病の悪化や、副作用を招くことがあります。

今回は、高齢者が市販薬を使うときに気を付けるべきポイントについてご紹介します。

高齢者ほど薬の副作用リスクは高まる

どんな人でも年齢を重ねるとともに、薬の代謝や排泄をつかさどる腎臓、肝臓の機能が低下します。

一般的に薬は、肝臓で分解され、腎臓から排泄されて効き目がなくなっていきます。肝臓と腎臓の機能が低下していると、体が薬を代謝する時間が遅くなってしまうので、高齢者は若い人よりも薬が効きすぎる可能性があります。そして、それが原因で副作用や重篤化リスクが高まってしまいます。

処方箋をもらって薬局で調剤される医療用医薬品は、患者さんに行き渡る前に医師、薬剤師のチェックが入っているので、用法用量や飲み合わせを事前に確認できます。副作用の発現も比較的早期に発見し、対応することが可能です。

しかし、ご自身で選んで購入する市販薬の場合、飲み方や飲み合わせなどを誰にも相談せずに購入できてしまうので、思わぬ副作用が現れることがあります。

市販薬だから安心と思っている方も多いですが、市販薬でも服用後の副作用で重篤な腎不全になってしまうこともあれば、死に至ることもありますので十分に注意しなければなりません。

高齢者が気をつけたい市販薬

市販薬が副作用を起こしやすい病気に前立腺肥大症があります。

前立腺肥大症は、前立腺が肥大することで尿が出にくくなり残尿感を感じる、男性に起こる疾患です。

市販の風邪薬を飲んだら、おしっこが出なくなったなどの経験をされた人もいるかと思います。これは風邪薬の成分が前立腺肥大の症状を悪化させているのです。

市販薬には、パッケージの中に添付文書と呼ばれる薬の説明書が入っています。小さな文字でたくさん書かれているので、内容をあまり気にせずに捨ててしまう人もいるかもしれませんが、説明書をよく読んでみると、「してはいけないこと」という項目があります。

この項目には、その薬を飲んではいけない対象者の情報や、飲んだ後にとってはいけない行動(運転など)、飲んで良い期間など、さまざまな注意事項や禁止事項が記載されています。

実際に多くの風邪薬で「してはいけないこと」の項目に、前立腺肥大症の人は飲まないよう注意喚起されています。

例えば、アレルギー症状や鼻水を抑える目的で市販の風邪薬に配合されていることの多いクロルフェニラミンやメキタジンは、抗コリン作用を持っています。

この作用をもつ薬は、前立腺肥大による排尿障がいを悪化させることがあります。ほかにも、緑内障の眼圧を急激に上げてしまう、などの悪影響を及ぼすことが知られており、知らずに服用してしまうと症状を悪化させてしまうおそれがあります。

また、腸閉塞も副作用を起こしやすい病気と言えます。

腸閉塞は、腸の中で食べ物や消化液などの内容物の流れが、何らかの原因で止まってしまう病気です。主な症状として腹痛、便秘、お腹がはるなどが挙げられます。

市販薬で腹痛の薬を探し、パッケージに「胃痛・腹痛に」と書いているブチルスコポラミン臭化物を成分として含んでいる薬を選んで服用してしまうと、消化管運動を抑制し、腸閉塞の症状を悪化してしまうおそれがあります。併せて、この薬は前立腺肥大症や緑内障も悪化するおそれがあります。

これらの薬自体に害があるわけではありません。薬を使ってはいけない人が使ってしまうと害が生じるのです。

このように、市販薬の安易な服用は持病悪化を招くことがあるので、持病をお持ちの方は購入前に医師、薬剤師に必ず聞いてから使用するようにしましょう。

薬の飲み合わせにも注意しよう

市販薬を使用する際、持病の悪化以外に気をつけたいこととして、薬の飲み合わせがあります。特に、医療用医薬品を飲んでいる人が市販薬を服用する際は十分に注意してください。

血管が詰まることで起こる心筋梗塞や脳梗塞の治療には、血液をサラサラにする薬が処方されることがあります。そのうちの一つに「アスピリン腸溶錠」という薬があります。この薬に含まれるアスピリンは市販薬にも含まれていて、解熱鎮痛薬として販売されています。

アスピリンは、低用量では血液をサラサラにする作用があり、心筋梗塞や脳梗塞の症状の改善に用いられます。しかし、高用量になるとその作用が失われ、解熱・鎮痛作用が強くなります。

つまり、医療用のアスピリン腸溶錠を飲んでいる人が、解熱や痛み止め目的で市販のアスピリンを飲んでしまうと、用量が多くなり過ぎてしまいます。すると、血液をサラサラにする本来の治療効果が失われる可能性もあります。

今回、紹介したものはほんの一例です。このほかにも注意が必要な市販薬がたくさん存在します。

特に、持病や服用薬の多い高齢者や、子ども、妊婦・授乳婦さんに用いる市販薬には注意しましょう。

安全に市販薬を使うためには、購入時に必ず医師、薬剤師、登録販売者に相談することをおすすめします。その際、普段使っている薬がわかるよう、お薬手帳を持参して確認してもらいましょう。

また購入後に少しでも不安があるときは事前に相談し、安全に使用するよう心がけましょう。

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