帰ってきた「キングスの桶谷大」HC兼任の“難しさと収穫”とは…小野寺祥太は日本代表戦から刺激、正念場の5試合へ
約3週間のバイウィーク(中断期間)を経て、Bリーグ1部(B1)のリーグ戦が3月7日に再開する。全60試合のレギュラーシーズンは残り21試合。東西26チームのうち8チームが駒を進めるプレーオフトーナメント「チャンピオンシップ(CS)」の進出争いは、いよいよ大詰めへと突入する。 琉球ゴールデンキングスは現在、26勝13敗で西地区4位。全体順位は8位でCS進出圏内に位置する。 バイウィーク明けは、3月7〜15日にいずれも西地区で勝率5割超の島根スサノオマジック(同7位)、シーホース三河(同3位)、長崎ヴェルカ(同1位)と沖縄サントリーアリーナで5連戦を行い、さっそく大きな山場を迎えることになる。その後、3月18日にマカオで開幕する東アジアスーパーリーグ(EASL)のプレーオフ「ファイナルズ」も控えているため、この5試合が持つ重要度は極めて大きい。 大一番を前に、キングスは5日に記者会見を開いた。 2月上旬に日本代表のヘッドコーチ(HC)を兼任することが発表され、バイウィーク中にさっそく日本代表戦の指揮を執った桶谷大HCや小野寺祥太キャプテンらが登壇。リーグの中断期間に注力したことや今後に向けた抱負を語った。
突き詰めた「アーリーオフェンス」と「スペーシング」の質
はじめに姿を見せた桶谷HCが強調したのは、やはりバイウィーク明けに迎える5試合の重みだった。「島根、三河、長崎はCS進出を決めるか決めないかというチームなので、この5試合をどう乗り切れるかがすごく大事になってきます」と気を引き締める。昨シーズンは4位に終わったEASLについても「タイトルを取りに行きたい」と力を込めた。 このバイウィーク中は、桶谷HCのほか、佐々宜央アソシエイトヘッドコーチ、佐土原遼、アレックス・カークも日本代表合宿に参加していたキングス。そのほかのメンバーは、穂坂健祐アシスタントコーチ(AC)、アンソニー・マクヘンリーACを中心にチーム力の底上げを図った。 具体的に、どのような点に注力したのか。キーワードは、相手ディフェンスの陣形が整う前に攻撃を仕掛ける「アーリーオフェンス」と「スペーシング」だ。桶谷HCが説明する。 「自分たちがなかなか点を取れないゲームは、ディフェンスを頑張ってリバウンドは取るんですけど、そこからプレーコールではなく、アーリーオフェンスで得点ができずに終わってしまう部分がありました。その時にスペーシングをどう取るかの考え方をすり合わせました。あとは、何人かをノンシューター扱いしてくるチームに対して手詰まりになる時があるので、その選手をどこに配置するかなど、ここでもスペーシングの改善に取り組みました」
終盤戦に入る前のバイウィークの価値は、戦い方の再構築だけにとどまらない。キングスはEASLと天皇杯を含めて厳しいスケジュールを戦ってきたため、疲労の蓄積が目立つ選手もいた。 ゴール下で体を張り続けるジャック・クーリーは、そのひとり。「自分のプレースタイルはフィジカルをすごく使うので、このバイクィークは体を休めることにフォーカスしました」と振り返る。右目あたりにできていた青たんも消え、リフレッシュできた様子だ。「いい休養が取れたので、これまで以上のエネルギーを持ってバィウイーク明けの試合に臨みたいです」と意気軒昂に語った。
日本代表の「良い部分」をキングスに還元
日本代表HCとの兼任が本格的に始まった桶谷HCは、個人として乗り越えるべきハードルも口にした。「それが一番難しい」と率直に語ったのが、脳内のスイッチの切り替えだ。 「気持ちの面で代表の方のスイッチが入ったら、無意識のうちに四六時中、そっち側のことを考えてしまいます。それをキングスの方に変えないといけない。だから、今日はアリーナに来る時に自分自身もしっかり切り替えて、みんなにも『キングスの桶谷が帰ってきた』と思ってほしかったので、しっかりプレーを止めながら練習の指揮が執ることを意識しました」 キャプテンの一人である小野寺祥太の「桶さんはダメなところはしっかりダメと言ってくれるので、いつも通りだと感じました」というコメントは、桶谷HCが思考をキングス仕様に戻せてきている証左だろう。
日本代表については、三河のライアン・リッチマンHCとNBAでのコーチ歴が長い吉本泰輔氏がACを務めるなど、スタッフ陣の厚みも増した。その環境に身を置き、「代表でやっているコンセプトで、『これいいな』と感じたものを新しくキングスに取り入れてみたりして、還元していきたいと思います」と収穫も多かったようだ。 それは佐土原も同様だ。「代表は結構スピーディーなバスケをしていましたが、正直、キングスは遅く感じていた部分もありました。これまでファストブレイクポイントはそこまで多くありませんでしたが、自分やアレックスが練習でテンポを上げ、少しずつペースが上がってきています。そうすると得点効率も上がるので、少しずつ変えていきたいです」を意気込む。
客席で初観戦した小野寺「僕たちは恵まれている」
「FIBAワールドカップ2027 アジア地区予選」を戦う日本代表は、今回の1次ラウンド・Window2の中国戦と韓国戦を沖縄サントリーアリーナで行った。桶谷ジャパンの初陣ということもあり、キングスファンも多く駆け付け、大声援で選手たちの背中を力強く後押しした。 客席には、キングスの選手やスタッフの姿もチラホラ。これまで「お客さんの席で試合を観る機会がなかった」という小野寺は、いつもとは違う視点から熱気に包まれたホームコートを眺め、特別な感情が湧いたという。 「僕たちはこの雰囲気の中で試合をしていて、本当に恵まれているなと感じました。沖縄のファン、日本のファンも含め、このアリーナはディフェンスなどのプレーで湧いてくれる。選手にとっては本当に力になります。かなりモチベーションになりましたね」
バイウィーク明けの5試合を含め、残り21試合のうち14試合をホームで戦うキングス。佐土原も「代表戦の2試合を含め、沖縄の人たちのバスケットボールを好きな気持ち、キングスに対する熱量はすごいものがあると思っています。それは、自分たちにとって大きなアドバンテージです。最後まで応援してくれたらうれしいです」と語り、ホームの応援を頼もしく感じている。 今後の行方を占う勝負の5試合を皮切りに、初のタイトル奪取がかかるEASLのファイナルズ、そして終盤のラストスパートへ。ファンも一体となった「団結の力」で、正念場を好成績で乗り越えたい。