「パラダイム」「メタ」って何? と子どもに聞かれたら…親が知っておきたい齋藤孝流「語彙力」「教養力」の伸ばし方
明治大学教授・齋藤孝先生が、世の中を説明する、最近よく聞くキーワードや、小学生から知っておきたいキーワードを70集めて解説。教養としての語彙力「パラダイム」と「メタ」を知る・考える力が育つ方法や、子どもの思考力を深める親の声かけのコツを紹介。(全3回の1回目)
【▶画像を見る】子どもの「読解力・語彙力」を伸ばす〔おすすめ絵本〕子どもから「パラダイムって何?」と急に聞かれたとき、正しく答えられるでしょうか。でも子どもに「自分で調べてみたら?」と任せっぱなしにするのはもったいない!「言葉は単なる知識ではなく、思考を広げる道具」と考え、数多くのベストセラーを生み出してきた明治大学教授・齋藤孝先生は、子どものうちに多くのキーワードを深く理解することによって自分を客観視し、世界の見え方が劇的に変わっていくといいます。
今回は齋藤先生の書籍『小学生から知っておきたい よのなかキーワード70 ——この1冊で語彙力・教養力がアップする!』から「パラダイム」「メタ」を取り上げて解説します。
子どもから「パラダイムって何?」に答えられる?
まずは「パラダイム」を取り上げてみましょう。
パラダイムとは、本にも記されているとおり、「その時代にみんながそう思っている考え方」を指します。つまり、「自分が当たり前だと思っている前提そのもの」という意味の言葉です。
『小学生から知っておきたい よのなかキーワード70』より抜粋。イラスト/よしださやか
子どもは無意識のうちに、「勉強はこうやるもの」「自分はこういうタイプだ」と決めつけています。しかし、その前提が変わると、行動も結果も大きく変わります。
例えば、「長時間やらないと意味がない」と思っていた子が、短時間集中という方法を知ったとき、「やり方はひとつじゃない」と気づきます。このとき起きているのは、単なる方法の変更ではなく、考え方の土台そのものの変化。つまり「パラダイムシフト」と言えるでしょう。
ここで「それはパラダイムが変わったね」と言葉にしてあげると、子どもは「自分の考えは絶対ではない」と理解し始めます。つまり言葉を知ることで、自分の思い込みに気づき、世界の見え方が広がっていくのです。
書籍内では言葉に対する「使い方」「おまけの知識」「解説」をわかりやすく書いてあります。
コントロールする力を学ぶきっかけになる「メタ」
メタとは、「ギリシャ語で“超える”という意味」と本書で説明されています。この言葉を子どもの生活に落とし込んで考えてみるとどうでしょう。例えば多くの子どもは、集中できないときは「できない」と感じるだけで終わってしまいます。
『小学生から知っておきたい よのなかキーワード70』より抜粋。イラスト/よしださやか
しかし、「なぜできないのか」「どういうときにできるのか」と自分を1段上から観察するように「メタの視線」で考えることができると、行動は変わり始めるでしょう。
宿題に集中できないときに、「自分はいつもどこでつまずくのか」を考える。あるいは、友達とケンカしたときに、「自分はどんな言い方をしたのか」を振り返る。これが「メタ」の視点です。
この言葉を知っていると、親も「ちょっとメタの視線で考えてみようか」と声をかけることができます。すると子どもは、「できない!」とその場の感情で反応するのではなく、新しく知った「メタ」という言葉を意識することで、自分の考えや行動をコントロールする力をつけてみようと試みることができるはずです。
『小学生から知っておきたい よのなかキーワード70』より抜粋。イラスト/よしださやか
言葉は覚えること自体が目的ではありません。その言葉を使って考えられるようになることが大切です。難しい言葉を知ることは、決して特別なことではありません。本当に大切なのは、その言葉をきっかけに「どう考えるか」が変わることです。
子どもが「それってどういう意味?」と聞いてきたとき、それを一緒に考える時間は、単なる知識のやり取りではなく、思考を育てる時間になります。すべてを完璧に説明する必要はありません。「本を読みながら一緒に考えてみようか」と立ち止まるだけで、子どもは「言葉は考えるためにあるものだ」と少しずつ理解していくことでしょう。
そんな小さな積み重ねが、やがて大きな差になります。齋藤先生が解説してくれる言葉を通して、子どもの世界の見え方を少しだけ広げてみてあげましょう。
次回はさらに一歩進んだ「複数の考えの中からどう選ぶか」という力をつける言葉を紹介します。お楽しみに。
文/知野美紀子