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スズキ 新型「アルト」は安いだけじゃない!乗り心地は快適で質感も上々

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スズキ 新型「アルト」は安いだけじゃない!乗り心地は快適で質感も上々

昨今の軽自動車の売れ筋は、半分以上がホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」など、全高が1700mmを超えておりスライドドアが装備されている「スーパーハイトワゴン」だ。しかし、このジャンルでネックなのが車両価格の高さで、売れ筋グレードでは150~190万円ほどと、1.2~1.5Lエンジンを搭載するコンパクトカーと同じような価格帯になっている。今の軽自動車は、その本質であった「低価格」とは少々異なってきているのが現状だ。

2021年12月22日に発売された、スズキ 新型「アルト」(9代目)。今回は、新型アルトへ新たに追加された「マイルドハイブリッド」搭載車に試乗した

そこで、注目したいのがスズキの軽自動車「アルト」だ。アルトは、初代モデルが1979年に発売されて以来、低価格で経済的な移動手段として利用されてきた。そのアルトが、2021年12月にフルモデルチェンジが施されて9代目になったのだ。新型アルトは、購入しやすい低価格を維持しながら、先代に比べて内外装の質感から走りに至るまで、大きく向上させている。今回、その新型アルトへ試乗したのでレビューしたい。

■スズキ 新型「アルト」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-エネチャージ搭載車-
・A:943800円(2WD)/1075800円(4WD)
・L:998800円(2WD)/1129700円(4WD)
-マイルドハイブリッド搭載車-
・HYBRID S:1097800円(2WD)/1228700円(4WD)
・HYBRID X:1259500円(2WD)/1379400円(4WD)

スズキ 新型「アルト」のフロントエクステリア
スズキ 新型「アルト」のリアエクステリア

まず、新型アルトの外観は、先代に比べてボリューム感のあるエクステリアへと刷新されている。たとえば、ヘッドランプやテールランプ、前後バンパーなどは、先代では平面的なデザインであったが新型では丸みを持たせている。軽自動車はボディサイズに制約があるので、外観に変化を加えるのは普通車に比べて難しいのだが、新型アルトはデザインによって外観のボリューム感をうまく表現している。

スズキ 新型「アルト」の試乗イメージ

そして、新型ではフロントピラーとウィンドウの角度が先代に比べて立てられているので、運転席に座ると視界がすぐれていることに気付く。前方の視野はかなり広く感じるとともに、フロントピラーが立てられているので、斜め前方の視界がさえぎられにくい。また、ヘッドランプが高い位置に装着されており、フェンダーの盛り上がりなども視界に入るため、運転席からボンネットの先端もわかりやすい。

さらに、サイドウィンドウの下端は先代に比べて約35mm下げられていて、後席のサイドウィンドウも横に広がって見やすくなっている。そのため、視界は前方だけでなく、側方や斜め後方など前後左右すべてにおいて向上していると言えるだろう。

スズキ 新型「アルト」の走行イメージ

新型アルトの最小回転半径は4.4mと、小回り性能はいいのだが、先代は4.2mであったのでそれに比べるとやや大回りになる。新型では、タイヤサイズが13インチから14インチへと拡大されているため、最小回転半径が影響を受けているのだ。

スズキ 新型「アルト」のインテリア

内装は、価格帯を考えると満足できる質感になっている。インパネは、外観と同じように丸みやふくらみを持たせながら、スタイリッシュなデザインへと仕上げられている。助手席前のインパネは樹脂製なのだが、見栄えがよく高級感を感じさせるものだ。また、メーターの視認性やATレバーなどの操作性もいい。カップホルダーは、先代ではフロントシートの中央の床面に備えられていて使い勝手がいまいちだったが、新型ではインパネの左右両端に備わっているなど、細かな使い勝手も向上している。

スズキ 新型「アルト」のフロントシート

フロントシートの座り心地は、腰の近辺をしっかりと支えてくれて良好だ。また、室内高が45mm増えているので、頭上には握りコブシひとつ半の空間があって窮屈さを感じさせない。

スズキ 新型「アルト」のリアシート

リアシートの足元空間は、先代と同等でかなりの広さを誇る。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半もの余裕がある。前後方向の足元空間は、ホンダ「CR-V」などのSUVと同等の広さだ。さらに、頭上にも握りコブシひとつ弱の空間がある。リアシートは、快適な広さを備えているだけに、造りが惜しいところだ。座面が短く、座ると大腿部に少し違和感が生じる。そして、深く座ると背もたれの下側にリアシートの骨格が当たる。頭上や足元空間は十分に広いので、リアシートの座り心地さえ改善させれば、大人4名が乗車しても快適になるだろう。

エンジンは、新型アルトではNAエンジンのみがラインアップされている。先代には、ターボエンジンを搭載した「アルトワークス」も販売されていたのだが、新型では残念ながら今のところターボエンジン搭載モデルは設定されていない。

その代わり、先代のエネチャージ(電装品に電力を供給する発電を効率よく行う機能)に加えて、新たにマイルドハイブリッドを搭載したモデルが用意されている。マイルドハイブリッドは、「ワゴンR」などに幅広く採用されており、モーター機能付きの発電機が減速時に発電し、アイドリングストップ後の再始動やエンジン駆動の支援などを行う機能だ。

マイルドハイブリッドにおける注目は燃費(WLTCモード)の高さで、軽自動車で最良の27.7km/L(2WD)を実現している。この値は、日産「ノート e-POWER」のXグレード(28.4km/L)や、ホンダ「フィット e:HEV」のNESSグレード(27.4km/L)など、コンパクトカーの中でも燃費のいいハイブリッドモデルに近い数値を達成している。

スズキ 新型「アルト」(マイルドハイブリッド搭載車)の走行イメージ

今回、試乗した新型アルトのグレードは、最上級のハイブリッドXだ。車重は、装備が充実しているので先代よりも少し重いのだが、それでも710kgに収まっている。そのため、NAエンジンでもおおむねパワー不足は感じない。ただし、エンジンの性格が少し高回転指向なので、発進直後の加速力には若干物足りなさが残る。周囲の交通の流れが速い場合、停車状態から時速30kmまでの加速力は、もう少し活発なほうがいいだろう。最大トルクの5.9kg-mは5000rpmで発揮されるが、4000rpm前後に下がればさらに運転しやすくなるはずだ。また、エンジンノイズは登坂路では少し粗いが、平たん路の走行では音量、音質ともに気にならない。

スズキ 新型「アルト」(マイルドハイブリッド搭載車)の走行イメージ

走行安定性は、満足できるものだ。新型アルトは、コスト低減のためにスタビライザーが備わっておらず、コーナーを曲がる時のボディの傾き方は小さくはないが、唐突な挙動変化は抑えられている。開発者は、「先代に比べると、足まわりの設定を少し硬めにした」と言う。足まわりを硬めに変更すると、乗り心地も硬くなりやすいのだが、新型アルトではそれほど気にならない。時速40km以下では路上の凹凸が少し伝わってくるが、大きめの段差を乗り越える時の突き上げ感は抑えられていて、軽自動車としては快適な乗り心地だ。

開発者は、「新型アルトの14インチタイヤは、『ワゴンRスマイル』で新たに開発されたものを装着している」と言う。先代には13インチタイヤが装着されていたのだが、転がり抵抗を抑えて燃費を向上させていたため、指定空気圧は280kPaとかなり高かった。だが、新型の14インチタイヤでは240kPaへと下げられているので、乗り心地が向上している。そのため、足まわりを少し硬めに変更して走行安定性を向上させても、乗り心地が犠牲になっておらず先代よりも快適になっている。

新型アルトで最も買い得なグレードは、エネチャージを搭載するLだ。衝突被害軽減ブレーキを作動させる「デュアルカメラブレーキサポート」、ゆっくりと後退している時でも衝突被害軽減ブレーキが作動する「後退時ブレーキサポート」、「SRSエアバッグ(運転席、助手席、サイド、カーテン)」、「電動格納式ドアミラー」などの実用装備が標準装着されており、価格は998800円になる。たとえば、人気車のスズキ「スペーシア」で売れ筋のハイブリッドXは1533400円なので、比率に換算すると新型アルトのLは35%安い。しかも、WLTCモード燃費は、エネチャージでも25.2km/Lだ。スペーシアのハイブリッドXの21.2km/Lに比べると19%すぐれている。安全装備を豊富に装着しながら、100万円以下で購入できる新型アルトのLは価格面におけるインパクトが強い。開発者も、「売れ筋はLになるだろう」と言う。

ちなみに、上級のマイルドハイブリッドSは、価格が1097000円と少し高めにもかかわらず、装備はLと大きな差がない。マイルドハイブリッドの機構や装飾などは少し加わっているのだが、それでも価格差が10万円なのはアルトとしては割高になる。

そこで、マイルドハイブリッドを購入する場合には、今回試乗した最上級グレードのハイブリッドXを推奨したい。ハイブリッドSに「LEDヘッドランプ」や「イモビライザー(盗難防止装置)」、「キーレスプッシュスタートスイッチ」「アルミホイール」など、多くの人気装備が加えられているからだ。しかも、ハイブリッドXの価格は1259500円で、ハイブリッドSに比べると161700円高いが、加わる装備の価格換算額は約19万円に達する。ハイブリッドXは、装備が充実した買い得グレードと考えればいい。新型アルトを購入するなら、エネチャージのLか、マイルドハイブリッドXを検討するといいだろう。

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