【東京散歩コース】浅草橋・蔵前〜時代劇にもよく出てくる、筋金入りの職人の街〜
浅草橋は、日光街道が通じていたことから、古くから問屋や製造業が集まり、ものづくりの街として発展してきた。人形店『久月』や『吉徳』はいずれも江戸時代の創業。街の歴史をいまに伝える証人でもある。江戸通り沿いには、文具、花火、玩具、紙製品などの店が並び、独特の街並みを形成している。蔵前では、近年若手のクリエイターの革製品やアクセサリーなどの工房が増え、新たなものづくりの街として注目されている。街に点在する新感覚のカフェにも注目だ。隅田川の右岸に連なる浅草橋と蔵前。新旧のものづくりの工房やショップ、関連する博物館や資料館を訪ねるのが、この街の楽しみ方といえる。
【散歩コース】
スタート:浅草橋駅はJR総武線で秋葉原駅から1分・150円、地下鉄浅草線で新橋駅から11分・220円、浅草駅から3分・180円。
JR総武線・地下鉄浅草線浅草橋駅→(9分/0.6㎞)→日本文具資料館→(7分/0.5㎞)→袋物参考館→(6分/0.4㎞)→榊神社→(3分/0.2㎞)→隅田川テラス→(15分/1.0㎞)→浅草御蔵前書房→(2分/0.1㎞)→藏前神社→(12分/0.8㎞)→カキモリ→(3分/0.2㎞)→鳥越神社→(3分/0.2㎞)→鳥越おかず横丁→(12分/0.8㎞)→地下鉄大江戸線・つくばエクスプレス新御徒町駅
ゴール:新御徒町駅から地下鉄大江戸線で両国駅まで4分・180円、飯田橋駅まで7分・180円、つくばエクスプレスで秋葉原駅まで3分・170円。
今回のコース◆約4.8㎞/約1時間15分/約6400歩
筆記具に学ぶ文化の歴史『日本文具資料館』
筆、硯(すずり)、鉛筆、万年筆などの筆記具を中心に、計算機や印章など古今の文具を展示する。国産第一号の鉛筆ともいわれる徳川家康や伊達政宗が使った鉛筆(レプリカ)の展示もある。
『日本文具資料館』店舗詳細
日本文具資料館(にほんぶんぐしりょうかん)
住所:東京都台東区柳橋1-1-15/営業時間:13:00〜16:00/定休日:土・日・祝/アクセス:JR総武線・地下鉄浅草線浅草橋駅から徒歩5分
煙草入れや印籠が袋物業の始まり『袋物参考館』
バッグメーカーのプリンセストラヤ内の博物館。親交があった陶芸家・濱田庄司の助言を受け、同社の創立50周年記念事業の一環として1989年に設立。袋物を中心に国内外の歴史的資料を多数展示する。
『袋物参考館』詳細
袋物参考館(ふくろものさんこうかん)
住所:東京都台東区浅草橋2-4-1/営業時間:10:00〜16:00(要予約)/定休日:土・日・祝/アクセス:JR総武線・地下鉄浅草線浅草橋駅から徒歩3分
御神徳は健康長寿の御社「榊神社」
第12代景行天皇の時代に日本武尊(やまとたけるのみこと)によって創建された古社で、1960年には御鎮座1850年の式年大祭が齋行され、現在も氏子の中心として大切に奉齋されている。
「榊神社」詳細
榊神社(さかきじんじゃ)
住所:東京都台東区蔵前1-4-3/営業時間:参拝自由/アクセス:JR総武線・地下鉄浅草線浅草橋駅から徒歩5分
川面に姿を映す東京スカイツリー(R)「隅田川テラス」
隅田川テラスは隅田川上流部の新神谷橋から下流部の勝鬨橋にいたる両岸約47㎞のうち、約28㎞の区間で整備が進む水辺空間。幕府の米蔵があった蔵前橋あたりには、歌川広重の「名所江戸百景」のプレートも置かれ、現在の姿と対比することができる。東京スカイツリーの眺望もよい。
「隅田川テラス」詳細
隅田川テラス(すみだがわテラス)
/アクセス:JR総武線・地下鉄大江戸線両国駅から徒歩4分、地下鉄浅草線・大江戸線蔵前駅から徒歩10分
相撲ファン必見のレアコレクション『浅草御蔵前書房』
古い下見板張りの壁が目を引く古書店。古文書、和本、錦絵、版画など希少な古書類が多い。なかでも相撲関連が充実し、明治時代の番付や昔の力士のブロマイドなどもそろう。
『浅草御蔵前書房』店舗詳細
浅草御蔵前書房(あさくさおくらまえしょぼう)
住所:東京都台東区蔵前3-12-10/営業時間:9:00~17:30(土は~16:30)/定休日:日・祝、荒天時不定/アクセス:地下鉄浅草線・大江戸線蔵前駅から徒歩1分
落語「元犬」の舞台にもなった「藏前神社」
元禄6年(1693)、徳川5代将軍綱吉が京都の石清水八幡宮を勧請したのが始まり。江戸時代には勧進大相撲が開催された地で、境内を囲む石玉垣には横綱・大関の名前が刻まれている。
「藏前神社」詳細
藏前神社(くらまえじんじゃ)
住所:東京都台東区蔵前3-14-11/営業時間:参拝自由/アクセス:地下鉄浅草線・大江戸線蔵前駅から徒歩1分
書くことを楽しむ文具店『カキモリ』
好みで作ることができるオリジナルノートは、表紙や中紙、リング、留め具など自由な組み合わせを選べる。また、オリジナルインク作り(有料、要予約)も行っている。
『カキモリ』店舗詳細
カキモリ
住所:東京都台東区三筋1-6-2 1F/営業時間:11:00~18:00/定休日:月/アクセス:地下鉄浅草線・大江戸線蔵前駅から徒歩8分
江戸っ子の血が騒ぐ夏祭り「鳥越神社」
永承年間(1046〜53)、隅田川を渡れずに困っていた源頼義・義家親子のもとに白鳥が飛来し、浅瀬を教えたという。6月上旬の鳥越まつりでは、巨大な千貫神輿が街へ繰り出す。
「鳥越神社」詳細
鳥越神社(とりこえじんじゃ)
住所:東京都台東区鳥越2-4-1/営業時間:9:00~17:00/定休日:無/アクセス:地下鉄浅草線・大江戸線蔵前駅から徒歩5分
町工場の人々でにぎわった商店街『鳥越おかず横丁』
鳥越は、かつて町工場の町で、共働きが多かったため、すぐに食卓に出せるおかずを扱う店が70軒もあったという。当時の活気は昔話となったが、街並みには今なお昭和の生活感が漂う。味噌・味噌漬けの『郡司味噌漬物店』、煮豆の『入舟屋』は昔ながらの人気店。
『鳥越おかず横丁』店舗詳細
鳥越おかず横丁(とりごえおかずよこちょう)
住所:東京都台東区鳥越1/アクセス:地下鉄大江戸線新御徒町駅から徒歩8分
【浅草橋・蔵前グルメを堪能!】
池波正太郎も愛した下町の洋食『洋食 大吉』
1970年創業の老舗洋食店。最高級豚肉の岩中ロースを使った岩中ロースかつ2500円は、肉が柔らかく、自家製パン粉の衣もサクサク。320gあり、ボリュームも満点。
『洋食 大吉』店舗詳細
洋食 大吉(ようしょく だいきち)
住所:東京都台東区柳橋1-30-5 KYビルB1/営業時間:11:30~15:00・17:30~21:15LO(土・日・祝の夜は17:00~20:15)/定休日:第2・4土/アクセス:JR総武線・地下鉄浅草線浅草橋駅から徒歩2分
食パンのおいしさを実感する『ペリカンカフェ』
昭和17年(1942)創業の『パンのペリカン』が営むカフェ。厚さ3㎝の食パンを使う炭焼きトースト500円、5、6種類のフルーツを生クリームとサンドしたフルーツサンド1150円。オリジナルのブレンドコーヒー580円を添えて味わおう。
『ペリカンカフェ』店舗詳細
ペリカンカフェ
住所:東京都台東区寿3-9-11/営業時間:9:00〜17:00LO/定休日:日/アクセス:地下鉄浅草線・大江戸線蔵前駅から徒歩5分
【街探検】若手クリエイターが活躍する現場を訪ねる!ものづくりの街
浅草橋から蔵前にかけては、古くから人形や文具、紙製品などの問屋や町工場が集まり、ものづくりが盛んだった。今も、浅草橋駅から蔵前駅へと通じる江戸通り沿いには、人形や文具、玩具、紙製品などの店が並び、独特の景観をつくっている。
周辺には革小物をはじめ、文具や玩具、服飾小物などの工房が点在し、文具や袋物など、ものづくりの歴史を知る資料館・博物館などもある。
近年は、若手クリエイターの工房も増え、これに呼応するように文具店『カキモリ』、生活雑貨の『SyuRo』、草木染めの『Maito Design Works』、革小物の『m+(エムピウ)』など、高感度のカフェやセレクトショップも続々とオープン。
こうした工房やショップが集積する御徒町~蔵前~浅草橋エリア(通称・カチクラ)では、2011年から年1回、ワークショップや工房見学、限定セールなど通じて街とものづくりの魅力に触れるイベント「モノマチ」を開催。
ハイセンスなものづくりの現場を訪ねるのがこの街のトレンドとなっている。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『散歩の達人 歩きたい人のための 東京散歩地図』より