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犬は人間の表情を読んで自分の行動を決定しているという研究結果

わんちゃんホンポ

犬は人間の表情をどのくらい読みとっているのだろう?

犬が人間の行動や表情をよく観察して何かを理解していることは、犬と暮らしている人ならおなじみの事柄です。しかし飼い主やよく知っている人間ではなく、声や動作などの手がかり抜きで顔の表情だけの場合、犬はどの程度のことを読み取るのでしょうか?

ブラジルのサンパウロ大学とイギリスのリンカーン大学の生命科学と心理学の研究者チームが、犬が人間の表情をどのくらい読み取り、意思決定の参考にしているのかを知るための面白い実験を行い、その結果が報告されました。

馴染みのない人の表情を見た犬がどんな行動をするかという実験

実験には91頭の家庭犬が参加しました。実験室には小さいテーブルと2脚の椅子がセットされ、犬はそこから2m離れた位置に飼い主と一緒に座っています。

それぞれの椅子に犬が全く知らない馴染みのない人が座ります。2人はどちらも白人女性で同じ年齢、同じ髪型、同じ服を着ています。この人たちは俳優で、要求された感情表現を声を出さずに演じます。

2人のうち1人がもう1人に黒いディスクを手渡します。受け取った方は、そのディスクを見て「嬉しい表情」「中立(無表情)」「怒りの表情」を演じます。渡す方の人は常に無表情です。

犬たちはランダムに3つのグループに分けられて、それぞれ「嬉しい」「中立」「怒り」の演技を見せられます。その後に、2人の俳優はトリーツの入ったボウルを提示し、犬は自由にアプローチすることが可能になります。ボウルを提示する時のパターンは2種類に分けられました。

1つは2人の人がそれぞれの手にボウルを持ち、犬が簡単にトリーツにありつける位置で構えた状態。もう1つはテーブルの上に1つだけトリーツ入りのボウルを置き、トリーツにありつくためには犬はどちらかの人に助けを求める必要がある状態です。

さて、犬たちはそれぞれどんな反応を示したでしょうか?

犬たちが取った行動と、そこからわかること

犬たちが取った行動はとても明らかなものでした。犬たちがボウルを持っている2人のうち、どちらのボウルに近づいたか、またはどちらの人に助けを求めたか、またはどちらの人にも近づかなかったかを観察した結果は以下の通りでした。

犬たちがどちらの人にも近づかなかったパターンは「怒りの表情」の場合が一番多く、42%がどちらにも近づきませんでした。中立バージョンでは35%、「嬉しい表情」では7%と大きな差が見られました。

どちらかの人を選んだ犬たちの選択は次のようなものでした。「嬉しい表情」バージョンでは、無表情でディスクを渡した人を選んだ犬32%、嬉しい表情でディスクを受け取った人を選んだ犬68%でした。

2人の俳優がどちらも無表情でディスクをやりとりした中立バージョンでは、ほぼ半々の結果でした。

「怒りの表情」バージョンでは、無表情でディスクを渡した人を選んだ犬95%、怒りの表情でディスクを受け取った人を選んだ犬は5%でした。

この実験の結果は、犬は馴染みのない人間に対しても表情から情報を取得して感情の状態を推測し、自分のを意思決定に使用できることを示しています。表情から相手の感情の状態を推測しているだけでなく、その感情を持っている人間が次にどのような行動を取るかを予測しているとも言えます。

これはかなり複雑なスキルで、人間以外ではチンパンジーなど霊長類にしかできないと考えられていたことが犬にも可能であると示唆しています。

まとめ

犬が人間の顔の感情的な表現から情報を取得し、その情報を使って相手の行動を予測し、自分の意思決定に利用しているという研究の結果をご紹介しました。

日常生活の中で、家族同士が喧嘩をすると犬がオロオロしたり、泣いている子どもに寄り添ったりする例は多く見聞きされます。こうして科学的に裏付けが取れることで、犬に笑顔で話しかけることの意味、どうして犬に向かって無意味に怒りの感情を見せてはいけないのかがよくわかります。

《参考URL》
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-021-01544-x

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