水道メーターの盗難に注意
ここ数年、私たちの家にもある「水道メーター」の盗難が相次いでいます。
去年厚木市では13個の盗難被害
去年、実際に起きた盗難について、神奈川県企業庁経営課 課長 藤本淳太さんに伺いました。
神奈川県企業庁経営課 課長 藤本淳太さん
昨年の7月に厚木市内で水道メーターの盗難事件が発生した。アパート4棟に渡ってるんですけども、全部で13個の被害となっています。通常は水道管につなげて設置をしているので、工具がないと取り外せないものになるんですけれども、おそらくそういう工具を使って取り外して持って行かれた。当日夜に、アパートにお住まいの方が水道を使おうとしたところ、水が出なかったので、管理者に連絡をして見てもらったら実際に水道メーターがそこに無かったということで「水道メーターが取り外されていますよ」という問い合わせが私どもの方に入りました。夜中に現地を確認したところ、実際に盗難があったということが判明したという経緯になります。
メーターボックスの中に入っている水道メーターが盗まれていたということなんです。いくつか種類がありますが、今回のようなアパートですと1つ1キロほどの重さ。私も持たせてもらいましたが、ずっしりと、結構重かったです。
水道メーターが盗まれると水が止まる
水道メーターにはどんな役割があって、どんな場所にあるのか、また、盗難の際の状況について、水ジャーナリスト 橋本淳司さんのお話です。
水ジャーナリスト 橋本淳司さん
水道メーターは水道管から家庭へ流れる水道の量を測定する装置で、これを測っていることによって水道料金が決まります。一戸建て住宅の場合は、自宅に一つ付いていますし、マンションなど集合住宅の場合は、ある場所にまとまって置いてある場合が多いです。検針しやすいように、道路の近くに設置されていることが多いんですよね。なおかつ、蓋には鍵がかかっていないことが多いので、これも盗難されやすい要因の一つになっていると思います。水道メーターを盗る人は、水道メーターと水道管の間にある、止水栓といって水道の元栓みたいなものがあるんですよね。止水栓をまず止めて、水道メーターに水が流れないようにしてから、水道メーターを外すんですよね。水道メーターが外れると、止水栓が閉まっているので、水道が止まった状態になっているということなんです。
メーターを取り外す際に、元栓を止めてしまう、止めないと水が溢れてしまうので結果的に、水道が止まった状態になる。それによって水道メーターの盗難に気がつく方が多いそうです。
水道メーターの盗難は住宅のほか、新築住宅の建築現場や、空き地、さら地でも起きていて、また今年、山形県の米沢市では、倉庫に保管中だった水道メーターおよそ2700個が盗まれたケースもありました。
なぜ水道メーターが狙われる!?
では、なぜこんなに水道メーターが狙われるのか、再び水ジャーナリスト 橋本淳司さんに伺いました。
水ジャーナリスト 橋本淳司さん
なぜ盗んでいるかというところなんですけども、この水道管に使われている真ちゅう、あるいは青銅、青い銅。どっちも銅に何かを混ぜて作られているというのが材質で、こういったものが値段が高騰しているということです。銅がたくさん含まれていて、銅価格が上がっていることから、現在1キロあたり1000円程度で取引されています。これをスクラップ業者に持ち込んで、換金しているのが実態ですね。自治体の中には、金属の取引業者、スクラップ業者と水道局が連携して、持ち込まれた金属部品が水道メーター由来のものでないか確認するような取り組みも始まっています。
お話にあったように、水道メーターは、銅と他の金属などを混ぜ合わせたものでできていて、この銅を狙った盗難が相次いでいるということなんです。
橋本さんによると、今、銅の価格が世界的に上がっていて、水道メーターに限らず、銅を使った製品が最近よく盗まれているそうです。警視庁の調査によると、金属を盗むと書く「金属盗」の認知件数が、2020年は5500件ほどだったのが今、およそ2万件に増えています。
相次ぐ水道メーターの盗難対策として、自治体の取り組みのほか、特殊な工具がないと開けられない蓋の導入の実験が始まっています。また、検針が無ければ水道メーターは必要なくなるということで、自動で使用量のデータを取得できるようにする「スマートメーター」の導入も一部の地域では始まっているということでした。
水道メーターを盗む行為は、もちろん犯罪です。盗難が無いことが一番ですが、私たちも水道メーターの場所を確認しておく、メーターの周りに不審な人がいないかなど、意識しておきたいですね。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)