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泥臭く、人間らしいのが『青春鉄道』。10年で感じた『鉄ミュ』への想いを永山たかしさん、KIMERUさん、鯨井康介さんが明かすーー「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』コンサート Rails Live2025」開催記念座談会

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

鉄道を擬人化した人気作品『青春鉄道』のミュージカル化10周年記念作品「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』コンサート Rails Live2025」が2025年11月22日(土)から24日(月・休)まで東京・TACHIKAWA STAGE GARDENにて開催!

本公演にはアニメイトカフェが出店し、様々なコラボメニューを提供します。中でも出演キャスト自身がアイデア出しから、味やトッピングの試作、味見までをまるごと監修したコラボドリンクは要注目!

制作レポートではコラボドリンクの裏側に迫りましたが、本稿では今回の公演や10年続く本作について、キャスト陣にインタビュー!

前回に引き続き、東海道新幹線役の永山たかしさん、西武池袋線役のKIMERUさん、東海道本線役の鯨井康介さんに、シリーズ10周年を迎えた『鉄ミュ』への想いとコンサートへの意気込みなど語っていただきました。

コラボドリンクの試作レポート記事はこちら

【写真】『鉄ミュ』永山たかし、KIMERU、鯨井康介 インタビュー

『青春鉄道』は3人にとって一番長く関わっている作品であり、ライフワーク

――10周年を記念した「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』コンサート Rails Live2025」の開催が決まったときの感想をお聞かせください。

西武池袋線役・KIMERUさん(以下、KIMERU):僕はファンの皆さんへのありがとうの気持ちを贈る感謝祭だと思っています。

東海道新幹線役・永山たかしさん(以下、永山):皆さん、ここまで支えていただいてありがとうございます。

東海道本線役・鯨井康介さん(以下、鯨井):10年と口にするのは簡単だけど、すごいことですよね。

永山:自分が関わってきた作品の中で、ここまで長くコンスタントに続いている作品は、ミュージカル『青春鉄道』以外にはないから。

KIMERU:僕もないです。

鯨井:僕も初めてです。それどころか一番長い作品がこれです。

永山:本当にありがたいです。更にライブもできるなんて。

――ほぼ毎年のように公演が行われているのもすごいですね。

永山:感覚的に途中からは「早く来ないかな」と上演を待つようになった作品です。「早く『鉄ミュ』やらないかな」と楽しみにしていると他の仕事も頑張れるんですよね。そして『鉄ミュ』の公演が決まって、台本をいただいて、稽古が始まって。そして本番が始まると、いつの間にか千秋楽が終わっていて……その繰り返しだったから「10年」と言われてやっと気付いたくらい、あっという間でした。ライブもすぐ終わってしまうので、(スタッフを見ながら)早く次のミュージカル『青春鉄道』の公演予定を決めてください(笑)。

鯨井:このライブを集大成とか言ってますけど、僕らは常に先、既に次の公演に気持ちが行っているので(笑)。

KIMERU:応援上映会を挟んでいるけど、(前回公演から)このライブまで1年半空いていたから渇望感が強いんです。

永山:もう自分の中ではライフワークになっているので、逆に自分の生活に『鉄ミュ』がないことを想像できなくなっています。

公演のたびに自分の立ち位置や成長を確認できる場所。このコンサートはみんなでお祭りみたいに楽しめたら

KIMERU:『鉄ミュ』の稽古が始まると、実家に帰ってきたような安心感を感じるんです。みんなが一旦帰って来る車両基地みたいな場所ですね。1年半も空くと行き場所がなくなって困っちゃう(笑)。

『青春鉄道』の舞台化が始まった時からのオリジナルメンバーということもあって、みんな、公演のたびにその時の最大限をぶつけてくれるから自分の原点や今を確認できるんです。なので「ちょっと表現が変わったな」と感じられることも結構あって。ただ楽しいだけではなく、みんなの芝居や役者としての立ち位置もわかるから刺激し合えるので、僕らにとって大切なコンテンツになっています。だからこのライブもみんなと一緒にやれるのが楽しみです。

鯨ちゃん(鯨井康介)は演出も手掛けるようになってから、ちょっとだけ芝居の見方や発言内容が変わってきたなと感じたし。

鯨井:そうなんだ? この10年の間、『鉄ミュ』以外でそれぞれやってきたことも違うから。

永山:みんな、よく『鉄ミュ』を続けているよね。

鯨井:10年あったら人生も変わるしね。

KIMERU:ミュージカル『青春鉄道』に関わった人でも、もう役者をやめた人もいるからね。そんな中でもみんなで連結器をつなぐように一生懸命走ってきて。10年間楽しいことばかりでは決してなかったけど、この感謝祭だけは僕らもファンの皆さんも一緒にお祭りを楽しめたらいいなと思っています。

永山:懐かしい曲をやることで皆さんだけでなく、僕らが思い出せることもあると思います。

KIMERU:途中でファンになってくれた方も「私が好きになったあの曲をまた生で聴けるなんて!」ということもあるかも。コロナ禍で配信で視聴したり、『ネルフェス2024』で初めて観てくれた方はさかのぼって観てくれているから。

鯨井:それも素敵だね。その時の公演でしか歌っていない曲もあるから。

永山:いっぱいある。どの曲を掘り起こして歌えるのか、楽しみです。

3人が今回歌いたい曲。そして見どころとは?

――今回どの曲を歌いたいですか?

永山:僕は「鉄道博物館へようこそ」を歌いたいです。

鯨井:伝説のライブ一発目のOPソングですよね。

永山:結構好き。あまり歌う機会がないからさ。

鯨井:僕の曲はほとんど歌うのがしんどいので。キーが高いし、動くし……動くのは僕が悪いのか(笑)。

KIMERU:足しているからね。他のメンバーの曲なら「シャカリキ」だな。ライブだと映えると思うから。

鯨井:個人的には、りんかい線の山本一慶くんが(STAGE GARDENという)広い会場だとどこから入ってくるのかが楽しみで。いつも客席からステージに上がってくるけど、今回はあの広い空間で何を表現できるのか。

KIMERU:ステージまで遠いからね。それに早く上がってもらわないと困るし。

永山:急がないでゆっくりと花道を歩いてくるパターンもあるよね。

鯨井:それもあると思うんです。こっちが急かしても「大丈夫だよ」って。

KIMERU:彼が上がってくるまで、僕らもずっと笑っているからね。

永山:東武東上線の高崎翔太の「ちちてつ~!(秩父鉄道のこと)」の声のボリューム感も広い会場でどれくらい伝わるのか。

KIMERU:初日でやる可能性があるよね。

鯨井:彼はその日に壊そうと思ったらノドを壊せるから。ミュージカル『青春鉄道』って芸歴や年齢が上の人間ほど、大きな声を出して、舞台をワイドに使うクセがあるので、年上の役者がどの順番で声を枯らしていくのかが見どころかもしれません。

KIMERU:後輩たちもやるしかないしね。

鯨井:でも後輩たちはマネージメントが上手だから。自分の限界を知っているんだよね。僕より上になってくると限界を超えるのがクセになっている人が多くて。今回は誰が最初に限界突破するのか。

永山:高崎翔太じゃない? もしかしたらライブまでもたないかもしれない。

KIMERU:稽古でノドつぶしちゃうかも。

鯨井:気持ちがいいくらい、やりますから。稽古場で今、この声量で演じたらおもろいだろっていう、(その後に)何の生産性もないボケに全力で行けるんですよね。

永山:アイツはすごいよね。

『青春鉄道』が長く愛される魅力は原作・路線・役者が三位一体になっていて、乗客の皆さんも楽しめるところ

――ミュージカル『青春鉄道』が長く愛されている理由はどこにあると思いますか?

鯨井:それが一番の謎じゃないですか?(笑)

KIMERU:路線の歴史と僕ら役者の人間性が合っているんだろうなと思います。もしかしたら、年老いた僕らにしかできないことなのかも。

鯨井:KIMEちゃん(KIMERUさん)、言い方を考えようよ(笑)。

KIMERU:でも2.5次元ミュージカルの作品の中で、役者の平均年齢が一番高いと思う(笑)。そこが鉄道というモチーフと合っているし、例えばりんかい線に乗る時にすぐに山本一慶の顔が浮かんで「運賃高いけど一慶だからしょうがないか」と思ったり(笑)。

鉄道に愛着が湧きやすくなって、僕の中では「乗るりんかい線」、「鉄ミュのりんかい線」と「山本一慶」がひとつになっています。たぶんファンの皆さんにも同じ現象が起きている気がするんです。例えば『鉄ミュ』でりんかい線を好きになった人は原作のりんかい線や役者の一慶が好きになるでしょうし、愛がどんどん各路線に広がったり、深まったりしているのを感じています。

永山:他にはないところじゃないかなと思います。2.5次元ミュージカルを摂取されている皆さんが今まで観てきたものと明らかに毛色が違うんですよね。キラキラしていたり、カッコよく戦ったりはしないけど、みんな汗かいてやっている人間臭さがいいのかも。

KIMERU:鉄道を擬人化した作品は他にもあるけど、ミュージカル『青春鉄道』はみんな泥臭く、一生懸命やっているのが魅力的じゃないのかなと思います。僕ら自身も各路線にまつわるストーリーが楽しみになるし、各公演ごとに必ず好きなシーンがあるので、公演中、モニターや舞台袖で観たりすることもあります。役者もみんな公演毎に作品を好きになれて、乗客の皆さんも同じように『鉄ミュ』を愛してくれているのを感じます。

鯨井:入口は人それぞれだと思いますが、原作のそれぞれの路線の関係性がおもしろいし、鉄道の擬人化も各路線の事実や歴史に基づいているので、考察しがいがあるのではないでしょうか。「この二人って本当はこうなんじゃないか?」とか「これをピックアップしているということは……」とか考えると楽しいし、実際、僕らも気になって調べることもすごく増えてきたし。そんな原作が持っている中毒性が皆さんを魅了するんじゃないかという気がします。あとふざけてますよね。

KIMERU:(鯨井に)それはあなたがでしょ! 僕はふざけてないから!

永山:それはすべて許してくれる寛容な乗客の皆さまあってのことだから。

KIMERU:「これはわかってくれるよね」という信頼あってのことです。

鯨井:他の2.5次元の舞台では考えられないことも多いですよね。

KIMERU:西武スピンオフの時にやったイベントのお見送り会で、京浜東北線が小道具の包丁で刺したり壁ドンとかしてたよね。本当に意味わからない(笑)。お客さんも自分で壁ドンを選んでいるのに、「キャー!」と悲鳴が聴こえるという(笑)。

鯨井:皆さんにどのお見送りがいいか選んでもらったら、「包丁で刺す」が一番希望者が多いのもわけがわからないし、原作に包丁なんて出てきてないし。使ったのが1回、ケーキを切ると言った時だけなのに。他にも名指しされて、みんなでバンザイをやらされたり。

KIMERU:おかしいんだよね。応援上演もたくさんやってるし(笑)。

鯨井:他の2.5次元の舞台にないものが多いけど、それができるのも乗客の皆さんのおかげで。

KIMERU:皆さんが本当に楽しもうとしてくれて。

鯨井:そんな余白まで楽しんでくれるのも嬉しいです。

KIMERU:公演を観終わった後に好きな電車に乗りに行く方も多いみたいで。

永山:原作・鉄ミュ・役者・鉄道のすべてを楽しんで愛せるのが『青春鉄道』の魅力じゃないでしょうか?

このコンサートでは「感謝と奉仕」を体現するので、乗客の皆さんは「気合入れてこい!」

――では「ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』コンサート Rails Live2025」を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。

鯨井:ここまでいろいろと申し上げてまいりましたが、伝えたいことはただ一つ、「兄(東海道新幹線)だけを観ていただければ」。兄だけ観ていただければ、ミュージカル『青春鉄道』をご理解いただけると思うし、魅力もそこにすべて詰まっています。あとは僕のコラボドリンクを飲んでください。以上です。

KIMERU:西武グループとしてお話しさせていただくと、「感謝と奉仕」なので、それを今回のライブで皆さんへ体現できたらと思っています。あと僕のドリンクの「パチパチ」は会長を称えているので、コラボドリンクを飲んで、会長を称えるバンザイをしましょう! そして最後に、皆さんもいつもの公演よりも「気合入れてこい!」。

永山:気持ちはすべてコラボドリンクに詰め込みました。

(全員爆笑)

鯨井:本当に想いも入っているんですか!?

KIMERU:金粉ちょっとだったじゃん!

永山:「人間とは?」「愛とは?」そして「演劇とは?」すべてを……。

鯨井:演劇まで~!? 本当に入っているかなあ?

KIMERU:悟りが入っているとか。

永山:そう。すべてが入っています。「愛をよこせ」ということで、僕のドリンクを飲んでください。

KIMERU・鯨井:え~? それで終わり~?(笑)

[ヘアメイク/三輪千夏 櫛引桃奈 スタイリング/MASAYA]

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