静岡県で「おこめ券」不評? 配布見送る自治体が続々 「事業者がもうかるだけの仕組み」
■富士市と静岡市 「おこめ券」見送りを表明
政府が物価高騰対策として打ち出した「おこめ券」は、静岡県内では“不評”なのか。市町のトップが次々と見送りを表明している。米の価格をめぐる国の考え方に疑問を投げかける市長もいる。
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「おこめ券」は、政府が経済対策で掲げた重点支援地方交付金の推奨と位置付けている。あくまで“推奨”のため、判断は各自治体に任されている。
全国的に「おこめ券」を配布しない方針を表明する自治体が相次ぐ中、静岡県内でも見送りを決めた市町が少なくない。
“不評”の理由には、発行や郵送に時間やお金がかかる点が挙げられる。そして、中でも自治体の反発を招く要因となっているのが「手数料の高さ」だ。「おこめ券」は500円で440円分の米しか購入できない。つまり、全体の12%にあたる60円分が手数料として差し引かれている。自治体からは「住民のためではなく、おこめ券の事業者がもうかるだけの仕組み」といった厳しい声も上がる。
静岡県内でも、自治体のトップが相次いで「おこめ券」を配布しない考えを明らかにしている。富士市の小長井義正市長は12月8日の定例会見で、こう述べている。
「物価高騰対策をするのであれば、米の価格を下げるための対策を国は本来すべきであって、おこめ券を配布することではない」
■伊豆市や小山町も消極的 商品券の方がメリット
静岡市の難波喬司市長も「おこめ券」配布に否定的な見解を示した。4日の定例会見で次のように話している。
「やらなければいけないのであればやりますが、おこめ券が選択肢の1つだとすれば、静岡市としてやるつもりはありません。自分が市民側に立ってみれば、おこめ券よりも、もっと選択肢が広い方が良い」
難波市長が物価高対策の選択肢とするのが、プレミアム付きデジタル商品券。これまで何度か発行していることもあり、事務費を節約できるメリットがあるという。
富士市と静岡市以外にも「おこめ券」に消極的な自治体があり、伊豆市や小山町など少なくとも他に6つの市町が配布しない方向で調整している。静岡市と同様、米以外にも幅広く使える商品券が選択肢となっている。
手数料が高く、自治体の事務作業にも負担がかかる「おこめ券」。本当に物価高騰対策として有効なのか。自治体トップからは、その効果に疑問が投げかけられている。
(SHIZUOKA Life編集部)