「清風」8月末、閉館へ 高座渋谷の顔、15年で幕
高座渋谷駅の西口すぐの所にある「高座の庄清風」が、今年8月末をもって閉館することが分かった。
清風は、各種イベントや展示会などに対応する多目的ホールとして2009年に完成した。元市議会議長の松川清さん(享年92)が「皆がリーズナブルに活動できる場所を」と建設し、これまでキックボクシングやバレエ、習字教室、各種団体の会合のほか、市長選や市議選の投票所としても使われるなど、高座渋谷のランドマークとして親しまれてきた。
市内南部の地域性もあり、外国人家族が誕生日を祝うパーティー会場として利用したいといった声も多く、そうした幅広いニーズにも柔軟に応えてきた。「皆がリーズナブルに活動できる場所を」という清さんの思いを受け、特段の審査も行わない「利用しやすさ」も清風の人気の理由の一つだった。
「正夢」に
17年ごろから施設の運営を担ってきた松川健治さん(44)は、清さんの孫にあたる。健治さんは「祖父は『清風の建物と、そこで憩う人たちの姿を夢で見た』と言って、家族に相談もしないで、清風の建設を決めた」と明かす。清さんは昨年10月に他界。「口コミで年々利用者は増え、たくさんの方々が清風に愛着を持ってくださった。きっと祖父の夢は『正夢』になったと思う」と健治さん。
清風の閉館が決まり、施設を定期利用する人たちに対して、お詫びのメッセージが送られた。「『立地もよく、使いやすかったので残念です』といった多くの声を頂いた。感謝の気持ちでいっぱい」。健治さんは深く頭を下げた。
今後、清風は解体され、26年春をめどに6階建てのマンションが建設される予定。