骨がもろいだけじゃない!?放置すると恐ろしい骨粗しょう症
高齢者の骨折は「ただの骨折」では済みません。
健康で長生きするために、自分の骨の強さに関心を持ち、骨粗しょう症予防に努めましょう。
※この講座は2023年10月26日に開催されたJCHO船橋中央病院骨粗鬆症リエゾン委員会主催講座「骨の健康生活はじめませんか」を参考に作成しました。
50歳を過ぎたら骨の強度を意識しよう
骨粗しょう症とは、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。
骨折・転倒は認知症、脳卒中に次いで介護の開始原因の第3位(※)。
つまり骨粗しょう症予防は健康寿命を延ばすことにつながります。
患者数は全国で約1300万人、うち1千万人が女性です。
※2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況より
骨粗しょう症になると、骨の内部が図2のようにスカスカになります。
骨を形成するカルシウムやミネラルの詰まり具合、いわゆる骨密度が低い状態です。
骨密度70%以下の場合、骨粗しょう症と診断されます。
体内では、細胞によって古い骨が破壊され新しい骨が作られていますが(図3)、加齢とともに破壊を促進する細胞の働きが活性化。
破壊スピードが形成スピードを上回ると、骨粗しょう症が進行します。
年齢と骨量の変化は図1の通り。
女性は50歳から急激に減少し、60歳では10歳と同じぐらいまで低下します。
【クイズ】
骨粗しょう症の高齢者の腰椎や大腿骨の骨密度は1年間で1.0~1.5%減少します。では1カ月寝たきりだと約何%減少するでしょう?
(1)0.1% (2)2% (3)5%
※答えはこの記事の最後にあります
高齢者の生命を脅かす「骨卒中」とは
骨粗しょう症で骨がもろくなると、ちょっとした転倒などでも骨折しやすくなります(脆弱性骨折)。
折れやすいのは脊椎椎体(せきついついたい/背骨)、大腿骨(だいたいこつ/太ももの骨)、手首や上腕骨など。
70歳以上の高齢者が発症する急性腰痛は骨折の可能性が大です。
骨折はがんや脳疾患に比べ軽視されがちですが、高齢者の骨折は脳卒中と同様、身体的にも心理的にも大きなダメージを引き起こします。
ある日突然発症し、元の生活への復帰が困難という意味で「骨卒中」と呼ばれるほど。
生活の質が低下するだけでなく、死亡リスクも高まります。
一度骨折すると別の箇所も骨折しやすくなり、骨折の連鎖が始まります。
まずは骨折しないことが最重要。
食事や運動習慣の見直しに加え、屋内の整理整頓や段差をなくすなどして転倒による骨折を防ぎましょう。
骨粗しょう症からいつの間にか骨折に
もっとも環境整備だけでは不十分。
脆弱性骨折には、転倒などのアクシデントによらない「いつの間にか骨折」が多く見られます。
骨粗しょう症の悪化で自然に背骨がつぶれるケースなどはこれ。
骨粗しょう症による椎体骨折では患者の3分の2に痛みなどの自覚症状がありません。
そのため治療されずに症状が進行していきます。
そうなる前に、50歳を過ぎたら骨密度を測定し、必要なら治療を開始しましょう。
検査については近所の整形外科クリニックやかかりつけ医に相談してみてください。
「いつの間にか骨折」が疑われる症状
【クイズの答え】
(2)の2%。 骨密度維持には食事と運動がポイントです。