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オランウータンがパーム油会社の取締役に就任 タッチスクリーンで意思表示(マレーシア)

Techinsight

オランウータンが会社取締役に就任(画像は『Eco-Business.com 2022年4月1日付「Palm oil company appoints orangutan to board of directors in diversity world first」(Image: RedCat09/Flickr)』のスクリーンショット)

マレーシアのムンキーマジックパーム油社(Mun Kee Ma-Jik Bhd)は、同社の取締役特別顧問にオランウータンが就任したことを発表した。ボルネオ島の森林火災で両親を亡くした際に保護され、“アマン(Aman)”と名づけられたこのメスのオランウータンには、森の棲み処を追われ争いの絶えないオランウータンと人間との間に、実りある信頼関係を築く役割が期待されている。

森林火災で孤児となったこのオランウータンは、マレー語で平和を意味する“アマン(Aman)”と名づけられた。現在7歳のメスである。

彼女はとても物静かで、かつユニークな社交的な性格の持ち主である。その持ち前の社交性は、ストレスを受けた仲間のオランウータンとも交流できるとムンキーマジックパーム油社の最高持続可能性責任者(CSO)であるグリン・ウォッシャー博士(Gurin Woscher)は語る。

同社はこれまでに、東京ドーム約850個分のオランウータンの生息地である森を伐採してきた。そしてオランウータンの生息数はこの約50年で3分の2まで減少している。オランウータンは棲み処を守るため、森林を伐採するショベルカーやブルドーザーを攻撃することがある。この人間と非ヒト動物の争いは長く続いており、またさらに激しいものになりつつある。

通常は土地開発をする際、企業側は先住民の同意を得なければならない。しかしパーム油脂が採れる森の先住民は、長い争いを続けているオランウータンだった。

そこで同社が目を付けたのが、アマンの高い社交性スキルである。オランウータンコミュニティとの森林開発の同意への働きを、オランウータンにやってもらおうというユニークな試みである。アマンは特別顧問として取締役会にも参加し、自分の意思表示にはタッチスクリーンを利用しているそうだ。

オランウータンと人間のDNAの類似点は多く、一説には人類に最も近い非ヒト動物はチンパンジーではなくオランウータンであるとも言われている。オランウータンは言語こそ発しないが、人間の言葉を形容詞やさらには動詞レベルで理解し意思疎通ができるという。

そして非ヒト動物の中で唯一、オランウータンだけが過去というものを理解できるのである。つまりアマンは人間の言語を理解し、さらに自分がこれまでに見聞きしてきた過去の経験を人間側に伝えることができるということだ。

近年は様々な企業において、取締役会の多様性をより広げていこうとする改善策がなされている。取締役会での女性の占める割合が7%未満のマレーシアも、この多様性を広げる活動に取り組んできた。

アマンの取締役就任は、種別、性別、年齢といった今までの概念を超えた、究極のダイバーシティと言われている。そしてそれは同社の多様性への理念とも合致したのである。

現在、多くのパーム油会社では森林伐採を止め、伐採や開発を行ってきた地域の再植林活動の機運が高まっている。

ウォッシャー博士は、アマンが開発地域のオランウータンたちと会話し、彼らが経験した過去を話してくれることを望んでいる。そして彼女のその語りを通して過去に大きな被害を与えたオランウータンたちへ、企業としてどのように償うべきか考えたいと述べている。

ちなみにアマンへの報酬は、お金ではなくバナナで支払われる。そして彼女には、8月19日の国際オランウータンデーには特別休暇が与えられることが約束されている。

画像は『Eco-Business.com 2022年4月1日付「Palm oil company appoints orangutan to board of directors in diversity world first」(Image: RedCat09/Flickr)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 桃野まみ子)

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