【川崎市宮前区】犬蔵地区 中学生が防災の担い手に 支え合いの地域へ初訓練
災害時に地域で支え合う体制づくりを目指し、犬蔵地区の3自治会が11月8日、犬蔵中学校で防災訓練を行った。訓練には同校の全校生徒約580人が参加し、地域住民らと仮設トイレの設置や三角巾応急処置、AED操作などを体験した。
犬蔵地区では毎年、避難所となる同校で防災訓練を行っているが、生徒と合同で実施するのは初めて。同校PTAの古江浩一郎会長が、25年前に噴火で全島避難を経験した三宅島を訪れた際、資料館で中学生が積極的に関わっている写真を目にしたことがきっかけ。提案により、土曜日の授業時間を利用した合同訓練が実現した。
体育館では、避難所のトイレの組み立て、段ボールベッドやパーティションの設置について体験。また、骨折した腕を三角巾やレジ袋で固定する応急処置や、自動体外式除細動器(AED)を用いた心肺蘇生法の指導なども行われた。
校庭では、放水や煙体験、備蓄倉庫見学、住民によるカレーライスの炊き出しなどが実施された。中学生たちは住民らとグループに分かれて、これらの体験に取り組み、教室では、看護協会や市危機管理課による講和も受講した。
AEDの応急処置を体験した3年生の男子生徒は、「人に助けを求めたりすることなど、本番では勇気がいると感じた」、女子生徒は「心肺蘇生の心臓圧迫に思ったよりも力が必要だった。近所の人が倒れていたら助けられるようになりたい」と話していた。
古江PTA会長は、「災害時には、子どもたちは守られる存在だが、避難して落ち着けば力になってくれると思う。合同訓練を通じ、地域での支え合いを強化できれば」と期待を寄せた。