セ・リーグで打率3割未満の首位打者誕生の可能性、過去最低打率は?
阪神・中野拓夢が打率.297でリーグトップ
近年、急激に「投高打低」が進んでいるプロ野球。その典型が3割打者の少なさだ。
規定打席に到達して打率3割以上をマークしたのは2024年がセ・リーグ2人(DeNA・オースティン、ヤクルト・サンタナ)、パ・リーグ1人(ソフトバンク・近藤健介)、2023年がセ・リーグ2人(DeNA・宮﨑敏郎、広島・西川龍馬)、パ・リーグ2人(オリックス・頓宮裕真、ソフトバンク・近藤健介)、2022年がセ・リーグ3人(ヤクルト・村上宗隆、中日・大島洋平、DeNA・佐野恵太)、パ・リーグ2人(日本ハム・松本剛、オリックス・吉田正尚)と両リーグ合わせても過去3年で12人しかいない。
そして、今年はついに打率3割未満の首位打者が誕生する可能性が出てきた。18日終了時点でセ・リーグトップは打率.297の阪神・中野拓夢。2位の中日・岡林勇希が.294、3位の阪神・近本光司が.292、4位の広島・小園海斗が.289、5位の広島・ファビアンが.287となっている。
パ・リーグでは楽天・村林一輝が.324、オリックス・西川龍馬が.314、オリックス・太田椋が.313と3割以上が3人いるものの、セ・リーグでは3割打者が不在なのだ。
1942年の巨人・呉昌征は打率.286で首位打者
長いプロ野球の歴史上でも打率3割未満で首位打者となったのは1942年の巨人・呉昌征(当時の登録名は呉波)ただ一人。台湾・嘉義農林時代に甲子園に出場し、1937年に巨人入りすると、1942年に打率.286で首位打者に輝いた。
ちなみに翌1943年は他球団も含めた全選手の中で唯一の3割をマークし、2年連続の首位打者とともにMVPに輝いている。この年の打率.300は歴代首位打者で下から2番目の記録。呉は1944年に阪神に移籍し、戦後は投手としてノーヒットノーランも達成するなど「二刀流」として活躍した名選手だった。
1950年の2リーグ分立後では、1962年の広島・森永勝治が打率.30672で首位打者となり、これがセ・リーグの歴代首位打者で最低打率となっている。
パ・リーグでは2023年にオリックス・頓宮裕真が打率.30673で首位打者に輝いたのが記憶に新しい。森永の記録をわずか1糸(し)上回った。
メジャーでは1968年にレッドソックスのカール・ヤストレムスキーが打率.301でアメリカン・リーグ首位打者に輝いたが、3割未満でタイトルを獲得した例はない。
シーズンも半分以上が過ぎ、暑い夏場で投手陣がバテてくれば打者有利となる可能性もあるとはいえ、それでも急激な打率上昇はないだろう。今後は優勝争いとともに、首位打者争いも注目される。
※成績は2025年7月18日終了時点
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記事:SPAIA編集部