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毎日食べても飽きない“駅のうどん” 小矢部市石動駅前【麺類食堂】だし香るつゆは無添加 客の声から生まれた「源平ミックス」にゆで卵トッピングも

nan-nan 富山の情報

毎日食べても飽きない“駅のうどん” 小矢部市石動駅前【麺類食堂】だし香るつゆは無添加 客の声から生まれた「源平ミックス」にゆで卵トッピングも

スピーディーでお手頃、しかもおいしい「駅そば」。

列車の乗り降りの合間やちょっとした空き時間に素早く食べられる提供の速さや通勤・通学などの移動の途中におなかを満たせるのが魅力で、日本ならではのファストフードとして独自の進化を遂げてきました。

 

車の普及で鉄道利用が減った影響やコンビニの充実などによって、近年は地方駅を中心に「駅そば」の店舗も少なくなりつつありますが、駅そばを目的に全国を巡るファンもいるなど、根強い人気があるのも事実。地元の利用客が毎日食べるものなだけに、だしの味や肉、山菜などのトッピングに地域性が強く表れるのも魅力のひとつです。

 

今回紹介するのは、富山県小矢部市の石動駅で長年愛される「麺類食堂」。

北陸新幹線の金沢延伸による在来線の経営移管や駅舎の建て替えなどによって周辺の景色も利用する人々の横顔もすっかり様変わりしましたが、変わらずに多くの人が訪れる小矢部の名物店です。

戦後の石動駅と共に… 市民のおなかを満たす「麺類食堂」

「麺類食堂」の創業は終戦から3年後の1948(昭和23)年。

 

「昔は駅のホームからも利用できる店構えでした。石動駅も木造から鉄筋に変わり、今の駅舎になったのが2018年。麺類食堂もこの建物で3代目です」。

 

こう話すのは店の中から駅の変遷を間近で見続けてきた、現店主の南一久美さんです。

かつては駅舎の横に並んで小さな店舗を構えていて、改札外の入り口から利用するカウンター席とは別に、高岡・富山方面の下りホームから窓ごしに注文して食べることができました。

駅舎の建て替えに伴って店舗リニューアル 現在は駅前に

2018年に駅舎が建て替わり、ロータリーや駐車場・駐車場の景色も様変わりしました。それに伴って、店舗の位置も移動し、今は駅の目の前にきれいな店を構えます。

 

現在の駅舎には小矢部市民図書館が併設されていて、駅の利用客だけではなく、図書館と合わせて利用する客も多くみられます。

厨房を取り囲むように配置されたカウンター席は9つ。

 

陽射しが差し込み、明るい雰囲気の店内いっぱいに南さんのハツラツとした「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」という声が常に響いています。

さっと食べて、さっと出る、少し手狭なぐらいが駅そばの魅力。

丸い椅子や割りばし入れなど、所々に前の店舗の名残があって、どこか懐かしさのようなものも感じられます。

地元食材を使った小矢部市民のソウルフード

店に入ってくる客は、席に座ると同時にお気に入りの品を注文していきます。

 

常連客が多いのも、駅そばならでは。ほとんどの人がメニュー表も見ずにうどんやそばを注文して、ぴったりの小銭をカウンターの前に置いていきます。

ちょっと珍しい⁉ ゆで卵のトッピングも 

ちょっと変わっているのは、トッピングのゆで卵。

月見うどんや月見そばには、生卵が一般的ですがーー

 

「『生卵は苦手だけど、卵は食べたい』というお客さんからの要望から生まれたトッピングです」と南さん。

ゆで卵を割って、つゆに黄身が溶けていく様は、おでんの卵を食べているかのよう。

 

生の黄身がだしに混ざるまろやかなおいしさとは違って、ほくほくとした甘みやコクを味わえます。白身のつるんとした食感が好みの人も多いのでは?

 

生卵とは違う味わいがあり、納得できるトッピングです。

添加物なしのだし 昆布と煮干しが香るつゆも自慢

関西風の昆布だし文化と関東風のカツオだし文化のちょうど境目と言われる、富山県。同じ県内でも西部と東部では地域によってだしつゆの風味が変わりますが、「麺類食堂」のつゆは、関西風。ふくよかに漂うだしの香りは上品で、舌触りはまろやか。少し甘めのつゆがうどんやそばをやさしく包み込むおいしさです。

 

「だしは昆布と煮干しと鰹節で取っていて、醤油は地元の醤油屋さんから仕入れたもの。先代のときから変わらず、添加物も一切なしです」(南さん)

 

オープンは駅の利用客に合わせて朝の6時。そのため、だしつゆも毎朝、早朝から仕込みます。手間暇かけただしの香りと旨みは頭をシャキッと起こすのにもぴったりで、清々しい1日のスタートを後押ししてくれそうです。

「うどんも地元の製麺所に作ってもらっているんですが、使っているのは小麦と塩と水だけ。余計なものは何も入ってないんですよ」(南さん)

 

昔ながらの製法や食材を受け継いでいるのは、お客さんの体を思ってのこと。そのやさしい心配りが、しみじみと伝わってくるうどんやそばです。

地元豆腐店の厚みある油揚げを使用


やさしい味でつゆがジュワッとしみ出す名物「きつね」

トッピングで不動の人気を誇るのは天ぷらですが、それに並ぶほど注文が多いのが「きつね」。

 

一般的には、醤油や砂糖で甘辛く煮たきつね色の油揚げを思い浮かべますが、この麺類食堂の「きつね」はひと味違います。

厚みのある油揚げが贅沢に4枚入り。特製のだしで毎朝じっくり煮含められ、やさしい薄味とほのかな甘みが、うどんのつゆと見事に調和します。

 

「この油揚げも地元の豆腐屋さんが作ってるものなんですが、実は3月でお店をやめちゃうそうなんです。どこも跡継ぎがいなくて…… 昔と同じようには営業できなくなってきちゃいました」

 

ハリのある南さんの声の奥に、寂しさがにじみます。

こちらも客の要望で誕生 うどん・そばの「源平ミックス」

一般に、東日本ではそば、西日本ではうどんが好まれると言われていますが、「麺類食堂」では、注文の7割がうどんで3割がそばなんだそう。

 

「お客さんからは、『駅のうどん』のお店って呼ばれてます。麺類食堂っていう人は誰もいないです」と、にこやかに笑う南さん。

 

うどん派が多いのが実情ですが、「どちらも味わいたい」という客の声から生まれた「源平ミックス」というメニューもあります。うどんとそばがそれぞれ1玉ずつ入り、欲張りに両方を楽しめる1杯です。

 

石川県との県境にある倶利伽羅峠を舞台に繰り広げられた「源平合戦」にちなみ、名づけられました。

石動駅で78年。列車の発着を見守りながら、地元の人の声に耳を傾け、その1杯に応えてきた「麺類食堂」。

 

スピードや手軽さだけではない、まちの歴史と人のぬくもりもじっくり味わいたくなる「駅のうどん」です。


【麺類食堂】
住所 富山県小矢部市石動町11-10
営業時間 月曜 6:00~9:00  火~金曜 6:00~18:00  土曜 6:00~15:00  日曜 6:00~11:00 
定休日 第1・3・5月曜

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