子ども向け図鑑から学ぶ「魚食」の重要性 サカナを食べれば健康寿命が伸びる?
子ども向けの本を読んでいると、どうにも目を細めてしまうほほえましい表現があり、あるいは「え?本当に?」と驚かされる、無知を暴かれるような記述がある。それほど激しい経験でなくても、未知の話、知っていたつもりで知らなかった話……今回は、子ども向けの本から「魚と和食」について学ぼう。
子ども向け図鑑の「日本の魚食」
筆者の手元には「さかなのはなし」という本がある。2004年出版で20年前のものだが、情報としてはまだ鮮度が高いように思う。最近熟読してみたが、活字が多い「半分大人向けの説明」ないし「保護者と共に見る部分」みたいな箇所から、魚食についての話を見て感慨があった。魚食とは「ぎょしょく」と読み、魚を食べることを言う。
いわく、「昔から日本ではよく魚が食べられていた。とりわけ戦前までは魚食が多かった。そのあと、洋食が入ってきたことから、生活習慣病が増えた。魚食は、飽食の今こそ重要ではないか」という話だ。
古くから魚食は注目されていた
「さかなのはなし」が言うことには、古くから魚食は栄養食として注目されていた。島国の日本は狭い国土を海に囲まれ、沿岸では海の魚をよく食べていた。しかし古くは海の魚の鮮度を保つ方法がなく、内陸では魚がじゅうぶんに食べられないことがあった。当時から魚をよく食べる海辺の人たちと、内陸の人たちでは寿命に違いがあり、魚食はどうやら健康に大きな影響があると考えられていたらしい。
食にかかわる具体的な成分でいうと、「たんぱく質」だ。魚にはたんぱく質が豊富。まめなどからも摂取できるが、魚にはその他DHAやEPAのように健康に直結する成分が多い。もちろんこの事実は現代科学からむしろ逆算されたもので、2024年の社会においても変わることはない。魚食は体にいい。
洋食によって「生活習慣病」が蔓延
戦後、魚食の影はじょじょに薄れていくことになる。その理由は、洋食が輸入されるようになったからだ。今では日本の食卓では、むしろ洋食の割合が大きいかもしれない。その他冷凍食品チルド食品インスタントラーメンなど、まあ、見るも体に良くはなさそうな食べ物ばかり……。
贅沢病といったところか、その結果として現代では生活習慣病が蔓延している。個人的に常々思っていることだが、メシというのは、「うまければうまいほど体に悪い」のだ。
昔から漁村ではよく魚が食べられ、現代でもその文化が濃いところでは、生活習慣病に罹患する人が少ないという話がある。これはEPAのはたらきだ。血液の詰まりを防ぎ、サラサラと通る健康な血管を維持してくれる。
魚食はイイトコロばかり?
私的な話をすると、会ったことのない母方の祖父は、昔から魚の頭を食い、「目玉をくらえ」と子どもたちに注意を与えるほどの魚食主義者だったという。「長生きできる」と息巻いていたそうだが、そんな祖父が誰よりも早く死んだというのは、なんだか私たちを懐疑的にさせるような話だ。
確かに魚の目玉や頭周りにはドコサヘキサゴン酸(DHA)などが豊富で、これは記憶力の維持なんかに関わる重要な栄養素らしい。今いわゆる「人生100年」というきな臭い政治的言説からすると、まあ悪いことではもちろんない。しかしあえて語られる魚食のデメリットとして、「高血圧になりやすい」という点があるらしい。超健康万能食はないということか……でもメメント・モリというべきか、何が健康に良い悪いといっても、人間は結局死ぬ。
魚食に戻して健康維持を
週1回釣りをする筆者だが、魚を食べることはほとんどない。醤油ラーメンが一番好きだ。魚を持ち帰って食べるくらいなら、たくさん釣れた自分へのご褒美に、醤油ラーメンを食べにいく。だが、こんな食生活がマズいのは、そろそろわかっている。デブデブしてきている。脂肪肝の疑いもある。
こんなことを書いたついでに魚食に戻そう!と意識してみるフリでもしてみようか。などとハッキリ言えないくらい、日本食の影は少なくとも私の食卓からは薄れている……たまに食べると体が内側から喜ぶような感じもするから根源的な親和性はあるのだろうけど。皆さんは健康維持のためにサプリを飲んでいることでしょうが、本当はやっぱり魚食がいいみたいですよ。