王族だけじゃない!子どもも大人も「全員ミイラ」にしたチンチョーロ文化の奇妙な葬送儀礼
多種多様さに驚く!【テーマで読む世界遺産】
テーマを軸に読み解くことで、遺産が語りかけるストーリーやその価値がより鮮明に見えてきます。
あの世とつながる!? ミイラの世界遺産
アリカ・イ・パリナコータ州におけるチンチョーロ文化の集落と人工ミイラ製造技術
子どもも大人もみんなミイラ!
チリ最北端のアタカマ砂漠は世界有数の乾燥地であり、1917年、ドイツ人の考古学者により世界最古の人工ミイラが発見された場所でもあります。紀元前5450年頃から同890年頃まで、この地に暮らし、海洋狩猟採集民チンチョーロは、海の恵みを糧に沿岸砂漠の過酷な環境に適応しました。
彼らの墓地からは、遺体を解体・再構成して作られた人工ミイラが発見されました。王族や貴族のみをミイラ化した古代エジプト人と違い、チンチョーロでは年齢や地位に関係なく、あらゆる人に同様の葬送儀礼が行われたとされます。
【DATA】保有国:チリ共和国登録年:2021年登録基準:(iii)(v)
死者の皮を剥いで、筋肉と内臓を取り除いた後、木の枝やアシ、粘土で体を作り直している。かつらや仮面などの装飾も施されている。
【FOCUS】
極度に乾燥した気候により良好な状態で数千年も保存された。
【THINK!】死者の保存は、残された者を癒すのか?
古代都市テーベと墓地遺跡
ツタンカーメンが眠る死者の都
古代エジプトでは、来世と復活を信じ、死者をミイラにして葬る習慣がありました。エジプトのナイル川中流域にあるルクソールは、かつてテーベと呼ばれ、エジプト中王国第11王朝から新王国第18王朝まで首都が置かれました。この遺産には、第12王朝時代に築かれた、アメン神を祀るカルナク神殿やルクソール神殿をはじめ、王族の墓所などがあります。
ナイル川の東岸と西岸では役割が異なり、日が昇る東岸にはカルナク神殿など生者の世界を象徴する建造物が集まり、日が沈む西岸にはネクロポリス(死者の都)と呼ばれる墓地遺跡群が広がります。西岸の「王家の谷」では、ツタンカーメンをはじめ、約60の墓が見つかっています。
【DATA】保有国:エジプト・アラブ共和国登録年:1979年登録基準:(i)(iii)(vi)
アメン神はエジプト全土の主神として信仰され、アメン神と太陽神ラーを結び付けたアメン・ラー信仰が盛んになった。
【FOCUS】
ツタンカーメンの墓では、彼の生涯を描いた壁画が見られる。
【THINK!】巨大建築は、祈りか政治か、その両方か?
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光 / イラスト:どくだみ三銃士
【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。