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柿澤勇人&ウエンツ瑛士主演ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』がまもなく開幕へ~プロデューサーに見どころを聞いた

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ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』

二卵性双生児として生まれてきた2人の男の子がたどる数奇な人間模様を描き、世界中で愛されているミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。日本でも1991年以来繰り返し上演されてきた本作だが、柿澤勇人とウエンツ瑛士W主演で2022年3月21日(月・祝)から東京国際フォーラム ホールCほかで上演される。

今回、本作のプロデューサーに稽古場の様子と見どころを聞いた。

ーー稽古場の映像を拝見しました。白熱する稽古の様子が伝わってきましたが、改めてご覧になった今回のカンパニーの見どころを教えてください。

手前味噌にはなってしまうのですが、やはりそれぞれの俳優さんたちの持っているキャラクター性と今回演じる役柄がバチっとはまっていると思っています。

作者であるウィリー・ラッセルさんから「日本の演出家で、この作品を熟知している人を」というリクエストとグレンさん(日本版オリジナル演出家)の推薦がありまして、(吉田)鋼太郎さんに白羽の矢が立ったんです。鋼太郎さんは初演から本作に出演されていましたし、ウィリーさんもそれをご覧になっていて。彼がこの作品をやってくれるなら、演出してくれるなら間違いないだろう、と。

ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』稽古場より

皆さんご存知の通り、鋼太郎さんはシェイクスピアシリーズの演出などは手掛けられていますが、ミュージカルの演出は初めて。多分、ご自身もミュージカルを演出するつもりはほぼなかったと思うんですね。ただこの作品に関しては、ご自身も出演されていたし、何よりもよくできている作品だからと引き受けてくださいました。特に柿澤くん、ウエンツくんの兄弟はぴったりで、すごくワクワクするキャスティングだともおっしゃってくださっています。実際稽古に入って、かなり手応えを感じていらっしゃるんじゃないでしょうか。

ただ稽古はすごく細かいです。鋼太郎さんはもうご自分が出演されていたときに感じたことを踏まえつつ、今回演出家として、この作品をお客様にどういう風にお伝えしようかというヴィジョンが明確なので、俳優さんたちへの演出の伝え方も迷いがない。もちろん俳優さんたちそれぞれが演じ方や表現の仕方を持ち寄ってきて、稽古場に臨んではいるんですけど、鋼太郎さんの中にある種の“正解”があるから、早いのだと思います。

例えば、1幕は子ども時代を演じるシーンが特に多いのですが、その前に母親たちのシーンがあります。ジョンストンさんの子どもがライオンズさんに引き取られる場面は、この先のストーリーの根幹。鋼太郎さんが仕切りに言っていたのは「子どもを大人が演じる。本気で演じて、お客さんを惹きつける必要がある。だけれど、そこに持っていくためには、その前のお母さんたちの切実な思いをリアリティを持って表現しないといけない」ということ。だからこそ、堀内(敬子)さんや一路(真輝)さんのシーンは丁寧に作られています。

子どもたちのシーンはとにかくエネルギッシュに。柿澤くんは『ブラッド・ブラザーズ』が大好きで、自分で6回もチケットを買って観に行ったという話をよく取材などでしていますが、「あれ、僕が観た『ブラッド〜』ってこんなに激しかったっけ?」とよく言っています(笑)。それぐらいとにかくエネルギッシュにやらないと、学芸会のようになってしまう。大人が必死に子どもを演じないといけない。鋼太郎さんらしさが出ているシーンのひとつだと思います。

感染対策のためマスクをしながらの稽古なので、大変さはありますが、みんな、鋼太郎さんの言っていることや求められていることに対して真摯にそして楽しんでやっている。そういう意味では風通しがよくて、気持ちのいい稽古場になっていると思います。

ーー確かに、本当にお芝居が好きで、追求することを楽しむタイプの俳優さんが集まっている印象です。これまで何度も上演されてきた『ブラッド・ブラザーズ』ですが、今回の柿澤さんとウエンツさんはこれまでと比べてどんな魅力や違いがあると思いますか?

そうですね。お互いの信頼関係みたいなものが強いなと感じます。柿澤くんもウエンツくんも互いにリスペクトを持っているので、だからこそやり合えるというか、本気でぶつかりあえる。それは見ていて感じますよね。「こういう風にやるんだったら、僕はこういう風にやってみようかな」みたいなことをとにかくよく話してますね、2人で。

会話の内容を全部聞いているわけではないですが、あんまり雑談をしていないんです。2人で永遠に芝居の話をしている。鋼太郎さんの稽古場は短期集中で、12時ぐらいから稽古が始まって、早いと4時ぐらいに終わったり、遅くとも6時ぐらいには終わる。俳優も集中してやっているので、皆さん疲れて、すぐ帰られるんですけど、柿澤くんとウエンツくんは最後までずっと残って、2人でずっと喋っている。すごく濃厚な2人になる気がしますね。

ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』稽古場より

ーー柿澤さんもウエンツさんもそれぞれいろいろな作品に出演されてきましたが、今回で一皮むけたと感じられたり、逆に新たな一面が見られたり。どうでしょう、ご覧になっていて、俳優としての成長を感じますか?

2人とも口を揃えて言うのは、鋼太郎さんが俳優さんなので、俳優の心理をすごく分かってくれる、と。「これ、やりにくいよな?」とかすぐ言ってくれるんです。そういう提案をしてくれる演出家はあまりいないと思うんですが、稽古をしていてうまくいっていない部分を俳優目線でアドバイスしてくれる。本当に一つひとつ積み重ねられているよね、とよく言っています。

特に僕は柿澤くんとご一緒する機会が多いのですが、柿澤くんは自分で作り上げていくタイプの俳優なんです。でも今回は鋼太郎さんに「それは違うよ」とか「そこはそうじゃない」ということを言われているので、本人も悩みながら、役と向き合い、乗り越えている感じがします。鋼太郎さんも期待している分、要求がすごく高いのですが。

ーー本作で一番好きなシーンやセリフはありますか?

まず音楽が素晴らしいです。(脚本・作詞・作曲の)ウィリーさんにインタビューした際、「基本的には自分はドラマを作る人間だ」とおっしゃっていたんです。曲があって、そこに物語を合わせていったのかなと思っていたのですが、お芝居を書いて、それに曲をつけて、最終的に詞を書いた、と。だからこそ、物語がしっかりしていて、そこにはまる心揺さぶる音楽が多いんだと思います。

堀内さんが歌う「かりそめの暮らし」(Easy Terms /M9)という曲。貧しい中で子どもたちを養っていかなくてはいけない苦しさや辛さ、そして手放さないといけない子供を想って歌っているのですが、それを聞いてるともうグッときてしまうし、ラストシーンは涙なくしては見られないし……あぁ、ウエンツくんのソロ曲の「言わない気持ち」(I'm Not Saying A Word)もいい。自分のもどかしい思いを歌うナンバーなんですけど、ウエンツくんの声にはまると切なく聞こえてきて。すみません、ひとつには絞りきれないです(笑)。

【3/21(月祝)開幕】ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』あらすじ付き!稽古場映像

日本でこれまで何度も上演されてきた作品ではあるが、新演出版といっても過言でないほど、いろいろと違いが見られる。これまで本作を観劇したことがある人はその違いを楽しめるだろうし、もちろん初めてご覧になる方も、作品を大いに楽しめるはず。柿澤とウエンツを始め、木南晴夏、鈴木壮麻、内田朝陽、伊礼彼方、一路真輝、堀内敬子ら実力派俳優がそろい、今、本気で芝居を作り上げている真っ最中。本番に向けて、どんな化学反応が生まれるのか。開幕を楽しみにしていよう。

取材・文=五月女菜穂

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