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RhマイナスAB型、放射線事故、異母兄妹、再生不良性貧血……涙なくしては観ることができなかった百恵・友和ゴールデンコンビの「赤い疑惑」

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RhマイナスAB型、放射線事故、異母兄妹、再生不良性貧血……涙なくしては観ることができなかった百恵・友和ゴールデンコンビの「赤い疑惑」

1953年にNHKが開局し、続いて民放初の放送局日本テレビが開局以来テレビはいつも、その時代を映し出してきた。小さな子どもたちから、おじいちゃん、おばあちゃんまで家族一同が集うお茶の間の中心にはテレビがあった。人々にはそれぞれの時代にやきつけられたテレビが映し出した映像が記憶にある。
残念ながら、テレビ離れが囁かれて久しい。視聴率も二桁取れれば及第点と呼ばれる時代だ。果たして今放送されているテレビドラマやバラエティ番組などは10年後の人々の記憶に残っているだろうか。タレントやお笑い芸人たちのバカ騒ぎ番組には辟易しているのに。本シリーズでは過去のテレビ番組から、時代の記憶をよみがえらせてみたい。

「あとどのくらい、生きられますか、あとどのくらい愛せますか……」が、流れてくるたびに涙腺が崩壊した。山口百恵の歌う主題歌「ありがとう あなた」のサビである。テレビを観ながら泣いた最初のドラマだと記憶している。

 昭和のテレビ史に刻まれた、「赤いシリーズ」の第二弾「赤い疑惑」は、1975年10月3日~1976年4月16日、TBS系金曜9時枠の放送だった。「早く寝なさい!」と言い残して寝室に行く父に「はーい」と返事をしながら、テレビを独占できる嬉しさにほくそ笑んでいた。

 

 それにしてもドラマとはいえ偶然と不幸が重なる、これが運命なのかと子ども心に胸を痛めながらテレビにかじりついた。

イラスト:山﨑杉夫

 山口百恵演じる大島幸子は、宇津井健演じる父親・茂が勤める大学に行ったとき、爆発事故に巻き込まれ放射線被爆してしまう。それを偶然助けたのが医学生の三浦友和演じる相良光夫だった。その後幸子はめまい、斑点、吐き気の症状から検査すると白血球が異常に高い。血液のがん・白血病を発症していた。父親の茂たちは「再生不良性貧血」と病名を偽り、幸子の闘病を勇気づける。幸子の病状が悪化すると輸血が必要になるのだが、幸子の血液型は、これまで聞いたこともないRhマイナスAB型だった。2000人に一人という希少な血液型が緊迫感を高めた。ところが恋人の光夫が同じ血液型で二人の関係を決定づける伏線になった。幸子には出生の秘密があった。実の母は茂の妹で、パリで舞台演出家として活躍する幸子の憧れの〝おばさま〟である。岸惠子が演じていた。幸子も光夫も自分たちが異母兄妹だという関係に苦悩する。最終回は、ヨットで海に出た二人だが、光夫の腕の中で幸子が永遠の眠りにつく。そこに流れてくるのが、「忘れな草をあなたに」だった。毎回「幸子を死なせないで!」と祈るような気持ちでテレビの前にいたが、二人の切ない表情や見つめあうシーンが自然で美しかった。

「赤い疑惑」は、29話あったが、毎週のように新しい事件、病状の悪化、血縁関係や医療の壁など衝撃の事実が発覚する展開だった。ドラマの脚本家や監督の名前に興味はなかったが、今になって資料をみると、監督も脚本家も複数のメンバーが担当している。現在のドラマだと監督も脚本家も単独であることが多い。監督は降旗康男ほか4人、脚本は橋田壽賀子ほか3人が名を連ねていた。

 当時山口百恵は、歌番組出演、レコーディングなどの歌手活動や、映画、CM撮影など超が付くほど多忙なスケジュールで、ドラマの撮影時間は限られ、その中で台本を準備して撮影を進めなければならない。一人の脚本家では間に合わないため、チーム体制を組んで執筆していたようだ。複数の監督や脚本家の手によるものであっても、一貫した流れがあって、マンネリ化しなかったのはプロデューサーの手腕というべきか。

 百恵・友和のゴールデンコンビは、映画『伊豆の踊子』(74)の初共演からテレビドラマでは初共演。子どもがみてもあの二人はお似合いだった。「赤いシリーズ」では、第1作の「赤い迷路」から、「赤い疑惑」、「赤い運命」、「赤い衝撃」、「赤い絆」、「赤い死線」と6作品で山口百恵は主演を張った。自身の宿命に立ち向かう意志の強いヒロインは、山口百恵そのものだった。相手役は松田優作、南條豊、国広富之と変わったが、やっぱりしっくりするのは三浦友和だった。お茶の間を釘付けにしたゴールデンコンビは、今でも事あるごとに芸能ニュースで見かけるが、お二人がいつまでも幸せで輝いているのが一ファンとして嬉しい。

文=黒澤百々子

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