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“天下祭”と呼ばれた日枝神社の「山王祭」が6月7~17日に開催! 連日にぎやかな祭典や奉祝行事が繰り広げられる

さんたつ

里神楽2

東京都千代田区の日枝神社では「山王祭」が2025年6月7日(土)~17日(火)に開催。2025年は陰祭りのため神幸祭は行われないが、稚児行列や民踊大会、山王嘉祥祭などのバラエティに富んだ行事が連日行われ、境内はにぎやかな雰囲気に包まれる。

「天下祭」として盛大を極めた山王祭

永田町の日枝神社は、武蔵野を開拓した人々が江戸の守護神として山王宮を祀ったのが始まりといわれる。その後、文明10年(1478)に太田道灌が江戸城内の鎮守として川越日枝神社を勧請。天正18年(1590)に徳川家康が江戸城に入った際には「城内鎮守の杜」「徳川歴朝の産神」として、また江戸庶民からも「江戸郷の総氏神」「江戸の産神」として崇敬された。徳川家に非常にゆかりの深い神社だ。

山王祭のメイン行事である神幸祭が行われるようになったのは、二代将軍徳川秀忠のころといわれている。その後三代将軍徳川家光のころからは神輿が江戸城内に入って歴代の将軍が上覧するようになり、「天下祭」として世に親しまれてきた。神田明神の神田祭、富岡八幡宮の深川八幡祭とともに江戸三大祭りのひとつとして知られ、さらには京都の祇園祭、大阪の天神祭とともに日本三大祭りにも数えられる。

江戸時代の上覧拝礼を彷彿とさせる神幸祭では、2基の鳳輦(ほうれん)と神輿、6本の山車が都心のオフィス街を巡行する。この華やかな神幸祭は隔年で本祭りの年に行われる。2025年は陰祭りの年にあたるため行われないが、6月7日(土)~17日(火)の期間中さまざまな祭典や奉祝行事が繰り広げられる。

伝統ある行事が盛りだくさん!

8日(日)に行われるのが子供の祭り「稚児(ちご)行列」。華やかな稚児装束を身にまとったお稚児さんが保護者とともに境内を歩き、健やかな成長を祈願する(12時~と14時30分~の2回)。「各回30名ぐらいのお稚児さんが参加します。お稚児さんがかわいらしいので見ているだけでも心がほっこりしますよ」と話すのは日枝神社の内田さん。

さらに13日(金)~15日(日)には、境内での献灯祭の後、18時30分ごろから溜池山王駅前の山王パークタワー公開空地で「山王音頭と民踊大会(納涼大会)」が行われる。近隣から浴衣姿の老若男女が集まって盆踊りを踊るのだが、「通称“日本一早い盆踊り”として知られ、ディープな盆踊りファンが集います。日本一早いということで『あけましておめでとうございます』という挨拶が交わされるなんて話も聞きますよ」(内田さん)。都心の高層ビルをバックにした盆踊りは一見の価値ありだ。

『山王音頭』を筆頭にさまざまな盆踊りの名曲が流れ、多くの人が踊りに参加する。

さらに16日(月)13時からは「山王嘉祥(かじょう)祭」も。これは嘉祥元年(848)に仁明天皇が神託によって、6月16日に16種のお菓子を供えて疫病退散を祈願したことに由来する神事だ。日本和菓子協会の技術者によって神前で和菓子の練り切りが作られ、その様子を見学することができる。

日本伝統の和菓子を神前に供えて人々の疫病退散や健康招福を祈願する。

そのほか、8日(日)には日比谷高校による箏の演奏や、14日(土)にはハワイアンフラの奉納、15日(日)・16日(月)には里神楽などさまざまな奉祝行事も。「今年はいわゆる陰祭りで神幸祭は行われませんが、毎日さまざまな行事を行いますので、ぜひ足を運んでいただき山王祭を身近に感じてもらえれば」と内田さん。ひとつひとつの行事に注目して伝統ある山王祭を楽しもう。

開催概要

「山王祭」

開催期間:2025年6月7日(土)~17日(火)
開催時間:行事による
会場:日枝神社(東京都千代田区永田町2-10-5)
アクセス:地下鉄千代田線赤坂駅、地下鉄南北線・銀座線溜池山王駅から徒歩3分

【問い合わせ先】
日枝神社☎03-3581-2471
URL:https://www.tenkamatsuri.jp/

取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供

香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。

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