幻の『アメイジング・スパイダーマン3』脚本家が真実語る
かつてソニー・ピクチャーズは、2016年に『アメイジング・スパイダーマン3』を、2018年に『アメイジング・スパイダーマン4』を公開し、さらにスピンオフ作品も加えることで(MCU)に対抗する算段だった。ところが『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)の結果が不振となると、ソニー・ピクチャーズはMCUにスパイダーマンを合流させるというマーベル・スタジオの提案を受け入れ、シリーズは終了となった。
『アメイジング・スパイダーマン3』では、2作目の脚本家であるアレックス・カーツマン、ロベルト・オルチ、ジェフ・ピンクナーが復帰し、再びペンを執ることになっていた。しかし、そのうちの一人であるカーツマンはこの度米にて、「書いていないんです」と、3作目には何も手をつけていなかったと明かしている。「私は『2』をやって、それだけでした」。
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幻となった『アメイジング・スパイダーマン3』がどのような物語になりえたかは、これまで関係者が語ったインタビューなどでごくわずかにだけ判明している。ジョージ・ステイシー警部役のデニス・リアリーは2015年に「スパイダーマンが亡くなった人々を甦らせるようになるというアイデアが一時期あった」と、1作目で死亡したステイシー警部が「より大きな役割で」復活することになっていたとしていた。これは原作コミックの中でも賛否両論の巨編『クローン・サーガ』を反映したものだ。
また、『2』の最後にはスパイダーマンのヴィランたちが集結するチーム「シニスター・シックス」の登場も示唆されていた。マーク・ウェブ監督による2017年の言葉によれば、ソニー・ピクチャーズは当時『アメスパ』3作目の前に『シニスター・シックス』単独映画を製作予定であり、そこでは死にゆくノーマン・オズボーン役としてわずかに登場したクリス・クーパーが蘇生再登場してグリーンゴブリンを演じる予定だったほか、ザ・ジェントルマンというヴィランがシニスター・シックスを率いる予定だったという。
ちなみに当時の『シニスター・シックス』単独映画は「LOST」(2004-2010)ドリュー・ゴダードが草稿を完成させており、その内容は「スパイダーマンとヴィランたちがサベッジランド(コミックスに登場する南極大陸に隠された未開のジャングル)に行き、スパイダーマンがティラノサウルスに乗ったりする話」だった。
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『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでアンドリュー・ガーフィールドが演じたスパイダーマン/ピーター・パーカーは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)でサプライズ再登場を果たしてファンを沸かせた。“ピーター3”は、かつて救えなかったグウェン・ステイシーの魂に応えた。クラマックスの戦いで、“ピーター1”の恋人MJは自由の女神像の足場から振り落とされる。ピーター1が救出に向かうも、グリーンゴブリンの妨害によって引き離されてしまう。その刹那に“ピーター3”は脚部に力を込めて自分の身体を宙に押し出し、もう二度と大切な人を失いたくないとMJの命を助ける。「大丈夫か?」「えぇ、大丈夫……。大丈夫?」「うん……」。残念ながら『アメイジング・スパイダーマン3』は観られなかったが、ファンはこのシーンで涙の悲鳴と共に、想いを浄化させることができたのだ。
Source:,2024年『MCU 比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語』フィルムアート社、p.370