出会えたら幸運の絶景「氷花(シガ)」 木々や植物がすべて白く染まる“幻冬”の景色/北海道・十勝
数多くの「絶景」を持つ北海道。
観光情報にはなかなか載っていない、「日常の絶景」も多くあります。
今回は、HBC帯広放送局のカメラマン・大内孝哉さんが撮影した、十勝中央大橋からの厳冬の風景をお届けします。
連載「テレビカメラマンがとらえた“一瞬”の北海道」
十勝中央大橋から見える、厳冬であり幻冬の景色
1月の下旬に差し掛かり、もう大寒も迎えましたね。
十勝平野も、厳冬と言えるシーズンに入ってきました。
しかし、今年の十勝平野は雪がとても少ないです。畑を見渡すと、まだまだ土が見えていて、なんだか春が来たかのような気分にもなります。
ですがやはり気温は、氷点下10度以下の日々が続いています。
この時期に撮影に向かう場所があります。十勝中央大橋です。
愛称で「白鳥大橋」とも地元の方から呼ばれています。
冬になると白鳥が多く集まるため、この愛称がついたそうです。
厳冬期、この橋から見える景色がとにかく美しいんです!
今回は、2年間通って撮影した、「厳冬であり幻冬」の景色をお伝えしたいと思います。
厳冬で生まれる「シガ」
・撮影日:2025年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/16
・ISO 100
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
この写真は今年に入ってすぐに撮った写真です。
十勝中央大橋付近は、厳冬期は氷点下20度近くなることがあります。
そのため川からは霧が湧き上がり、水蒸気でまわりの木々たちが凍てつき、樹氷になります。
川の流れる音、鼻の奥まで伝わるツンとした寒さの匂い。背筋が伸びます。
写真の川の辺りをよく見てみてください。
薄い氷みたいなものが見えますよね。
・撮影日:2025年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/320
・絞り f/10
・ISO 100
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
これは「シガ」という現象です。気温が低くなり、川の水面を無数のシャーベット状の薄い氷が流れます。
「氷花」なんて呼ばれたりもしています。なんともおしゃれな名称ですよね!
木々や植物がすべて白く染まる
・撮影日:2024年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/10
・ISO 500
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
シガという現象は気象条件がそろわないと見ることができない現象で、出会えたらラッキーな、貴重な光景です。
僕も去年から、幾度となく寒い日にこの十勝川に通いましたが、シガを見ることができたのは2回だけです。気温は氷点下15度を下回っていました。
寒い中でしか見られない景色。撮影できて感無量です!
寒い早朝、川が近く空気中に水蒸気の量が多いせいか、あたり一面の景色はすべてが凍っています。
これらは2024年に撮影しましたが、この日の早朝の景色は別格でした。
樹氷している氷の層が厚く、まわりの木々や植物をすべてを白く染めています。
・撮影日:2024年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/5.6
・ISO 400
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
・撮影日:2024年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/5.6
・ISO 400
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
・撮影日:2024年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/5.6
・ISO 400
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
見えている景色すべてが真っ白で、異世界に行ったような気持ちになります。
この景色も氷花(シガ)同様、なかなか見られません。
やはり美しい景色を撮影するためには、同じ場所に通うことが大事なんだなと思います。
・撮影日:2024年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/5.0
・ISO 100
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
凍てつく霞の中から、うっすら浮き上がる太陽。
この雰囲気がたまりません。時間が止まるような感覚。まさに厳冬の中の幻冬…。
言葉が出ませんでした。
・撮影日:2025年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/200
・絞り f/9.0
・ISO 100
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
白鳥大橋と愛称がつくだけに、冬になると白鳥が多く飛来します。
橋に近づくと、白鳥の鳴き声が遠くから聞こえてきます。白鳥が隊列を組んで空に飛んでいく光景も見ることができます。
空のグラデーションと白鳥の姿は、とても幻想的です!
十勝川温泉観光協会の方の話では、昔は白鳥がもっと多く飛来していて、河川敷すぐそばまで来ていたそうです。現在は十勝中央大橋の上から見ることができます。
・撮影日:2025年1月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/500
・絞り f/9.0
・ISO 640
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
運がよければ、タンチョウにも出会えるかもしれません。
なんとも優雅な景色ですね。
・撮影日:2024年2月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/100
・絞り f/22
・ISO 125
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
十勝白鳥大橋の近くには十勝川温泉街もあり、観光スポットとしても有名です。
冬のアクティビティも盛んで、まわりを見渡すと気球が飛んでいるところを見ることもできます。
・撮影日:2024年2月
・場所:音更町
・シャッター速度 1/160
・絞り f/9.0
・ISO 320
・カメラ:SONY a7Ⅳ
・Edit. Adobe Photoshop Lightroom
朝霧の中、空に浮かんでいる気球はとても画になります。
一期一会の景色
冬の景色。美しいですね〜。
景色は一期一会です。しかもとにかく寒いです!
朝早く起きて撮影に向かって、寒い思いをしたのに、樹氷がないなど、望んでいた景色に出会えなかったことも多々あります。
しかし何回も通う中で、こういった特別な景色に出会えるのが、撮影をやめられない要素でもあります。
諦めずに通う。大事ですね。
僕は十勝の厳冬の風景が大好きです。まだまだ本格的な寒さが訪れていない十勝平野ですが、厳冬シーズンは続きます。
寒ささえも楽しみながら、撮影を続けていこうと思います。
連載「テレビカメラマンがとらえた“一瞬”の北海道」
撮影・文:HBC帯広放送局 大内孝哉
2015年からテレビカメラマンとして、主にニュースやドキュメンタリーを撮影。担当作品に映画/ドキュメンタリー「ヤジと民主主義」や、ドキュメンタリー「核と民主主義」「ベトナムのカミさん〜共生社会の行方〜」「101歳のことば ~生活図画事件 最後の生き証人~」「クマと民主主義」など。
2023年10月から帯広支局に異動。インスタグラム@takayasunset0921では、プライベートで撮影した北海道の写真を公開中。
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は記事執筆時(2025年1月)の情報に基づきます