実は黒くなかった⁉ 富山ブラックの元祖「大喜」唯一の暖簾分け【大喜 根塚店】修行約30年で受け継ぐ秘伝の味
富山のご当地ラーメンとして有名なのが、真っ黒な醤油スープが特徴のブラックラーメン。通称、「富山ブラック」。
肉体労働者が汗で流れた塩分を手っ取り早く摂取し、白いごはんと一緒にエネルギー補給できる「おかず」として誕生。塩気が強い醤油スープに粗削りのブラックペッパー、極太のメンマと辛みの効いたたっぷりのネギが特徴です。
今回は、富山ブラック発祥とされる富山市西町「大喜」の創業者 故・高橋さんのもとで働くこと約30年。秘伝の味を受け継ぎ、唯一暖簾分けを許されたといわれる「大喜 根塚店」へ出かけてきました。
唯一の暖簾分け店「大喜 根塚店」
訪れたのは、富山市根塚町。
富山から飛騨に続く国道41号「市民病院前」の交差点から西へ数百メートル。カフェや寿司店、焼肉店など飲食店が多く建ち並ぶエリアに店を構えます。
ラーメン屋さんぽくない! 純和風の広々空間
スタイリッシュな洋風の外観とはうってかわって、店内は純和風の空間が広がります。
大小の石や、敷き詰められた玉砂利、石灯籠、そして中央には手水鉢が配置されています。
「この店のしつらえは父の好みなんです。庭作りが好きだった父で。お客さんには、ラーメン屋さんぽくないねと言われることもあります」
おだやかな口調で教えてくれたのは、二代目店主の松井陽典さんです。
季節によって色を変えているという暖簾をくぐって中に入ると、木のぬくもりを感じる和モダンな空間が広がります。
店内には、カウンターとテーブル席、奥には、あたたかな照明に照らされる小上がりがあり、ゆったりとした空間で食事を楽しむことができます。
富山ブラックの産みの親、高橋さんの味を次の世代に…
メニューはこれだけ。チャーシューラーメンの大 or 小
大喜根塚店のオープンは1982(昭和57)年。創業者は松井さんの父、幸夫さんです。
「父が、西町の大喜で働き始めたのが昭和28年頃と聞いてます。それから30年近く、高橋さんのもとでラーメンを作っていて、私も小・中学生のころよく食べにいきました」(陽典さん)
富山ブラックの産みの親、高橋さんの右腕としてラーメンを作り続け、唯一、暖簾分けを許された店として「根塚店」を開業。以来、40年以上にわたって、高橋さんの味を守り続けてきたといいます。
ラーメンメニューはチャーシューラーメンのみで、大 or 小かを選ぶ二択です。
開店は11時ですが、10時40分を過ぎると、常連客が次々と店内へ入ってきます。なかには、入店と同時に、「小ライス1つ」と注文を告げていく客も。
「小ライス」とは、もちろん「ライスの小」のことではなく、「チャーシューラーメン小」とライスのこと。ラーメンとごはんをセットで頼む人が多いようです。
チャーシューラーメンという名のとおり、チャーシューがたっぷりで麺が見えないほど。
「チャーシューは食べやすいように少し薄めには変えたようですが、味付けや見た目はほとんど変えてないつもりです」(陽典さん)
チャーシューは適度な塩味で、豚肉の旨みをしっかり楽しめます。ほどよい厚みなので、麺と一緒にからめて味わうこともでき、箸がすすみます。
さて、富山ブラックというと、スープは真っ黒でしょっぱいというイメージをもってる人も多いと思います。根塚店のスープは、そのイメージを覆すようなマイルドな色合い。適度な塩こしょうがきいたコクのあるスープを楽しめます。
そのスープがしっかりと絡んだ麺は、中太のちぢれ麺です。
「もしかしたら、父が西町で働いていたときは縮れ麺じゃなかったかもしれません。少し縮れていたほうがスープが絡むといって、父が変えさせてもらったと言っていた気がするんですけど」(陽典さん)
確かに、麺がスープによく絡み、ほどよい弾力と太さでスープの個性が生きる味わいです。
「私も父のもとで30年ほど修行してきましたかね。一番大事にしていることは、スープも麺も薬味も全部入れた状態でおいしいかどうか、全体のバランスでね」(陽典さん)
生卵追加でよりマイルドに
味変を楽しみたい方は生卵もおすすめ。よりマイルドな味わいになり、一味違ったおいしさを楽しめますよ。
「ラーメン動画で人気のYouTuber、SUSURUさんが卵入りを食べた動画を配信したあとは、卵を頼まれる方が増えましたね」(陽典さん)
「父は86歳で亡くなる当日昼までここで働いてたんです。本当に仕事一筋、ラーメン作りが大好きな人でした」(陽典さん)
富山のご当地ラーメンとして全国的に知られる「富山ブラック」。そのルーツと味をしっかりと受け継ぐ「大喜 根塚店」。ラーメン好きなら絶対に外せない一軒です。