猫の『顔まわりの汚れ』がサインとなる病気5選 チェックすべきポイントもご紹介
顔まわりの汚れがサインとなる病気5選
猫の顔まわりがいつもより汚れていると感じたとき、それは体の不調を知らせるサインかもしれません。ここでは、顔まわりの汚れが関係する主な病気を紹介します。
1.口内炎・歯周病
口内炎や歯周病になると、口の中に炎症が起き、痛みのせいでうまく食事ができなくなることがあります。また、口内環境が悪化するとよだれが増え、口の周りが汚れてしまうことも。さらに、強い口臭がするのも特徴です。
2.涙やけ(流涙症)
猫の目から涙が多く流れる状態が続くと、目の周りが濡れたり、茶色っぽく変色することがあります。これは「涙やけ」と呼ばれ、先天的な涙管の異常や目の炎症、アレルギーなどが原因となることが多いです。
3.皮膚炎
皮膚に炎症が起きると、顔まわりにかゆみが生じ、猫が頻繁に掻いてしまうことがあります。その結果、傷ができてかさぶたができたり、汚れがつきやすくなったりします。アレルギーや細菌感染が関係している場合もあり、悪化すると皮膚がただれることもあるため注意が必要です。
4.耳ダニ・耳の感染症
耳の中がいつもより汚れていたり、黒っぽい耳垢が増えている場合、耳ダニや細菌感染による外耳炎の可能性があります。
耳がかゆくて頻繁に掻いたり、頭を振るしぐさが増えたりするのも特徴です。放置すると耳の中が炎症を起こし、悪化すると痛みが出ることもあります。
5.猫カゼ(ウイルス性上部気道感染症)
猫カゼと呼ばれる感染症にかかると、くしゃみや鼻水が増え、鼻まわりが汚れやすくなります。目ヤニも多くなり、目の周りが固まってしまうこともあります。免疫力が低下していると症状が悪化しやすく、長引くこともあるため注意が必要です。
顔まわりの汚れをチェックするポイント
猫の顔まわりの汚れが病気のサインかどうかを判断するには、日頃からよく観察することが大切です。ここでは、チェックすべきポイントを詳しく解説します。
目の周りの汚れ(涙やけ・目ヤニ)
✔目ヤニの色(透明白っぽい→正常、黄色や緑色→感染症の可能性)
✔目ヤニの量(急に増えた場合は注意)
✔目の充血や腫れの有無
✔涙が止まらず流れていないか
目ヤニが増えて目の周りが汚れている場合、結膜炎やウイルス感染の可能性があります。涙が多い場合は、流涙症やアレルギーの疑いもあるため、症状が続くようなら獣医師に相談しましょう。
鼻の周りの汚れ(鼻水・くしゃみ)
✔鼻水の色(透明なら軽症、黄色や緑色は感染症の可能性)
✔くしゃみが頻繁に出ていないか
✔鼻が詰まっていないか(呼吸が苦しそうでないか)
✔鼻の周りが乾燥してカサカサしていないか
風邪やウイルス感染によって鼻水が増えることがあります。特に鼻が詰まると食欲が落ちることもあるため、猫が元気がない場合は早めに受診しましょう。
口の周りの汚れ(よだれ・口臭)
✔よだれの量が増えていないか
✔口臭が強くなっていないか
✔口の中に赤みや腫れがないか
✔食べづらそうにしていないか
口内炎や歯周病の猫はよだれが増え、口の周りが汚れることがあります。食欲が落ちたり、口を気にするしぐさが増えた場合は、口腔内のトラブルが原因かもしれません。
耳の汚れ(耳垢・かゆがるしぐさ)
✔耳垢の色(通常は薄茶色、黒っぽい場合は耳ダニの可能性)
✔耳を頻繁に掻いたり、頭を振ったりしていないか
✔耳から異臭がしないか
✔耳の中が赤く腫れていないか
耳ダニが原因となる外耳炎になると黒っぽい耳垢が増え、強いかゆみを伴うことがあります。耳を気にするしぐさが続く場合は、早めに診察を受けましょう。
汚れを防ぐためのケア方法
猫の顔まわりの汚れを防ぐためには、日頃のケアがとても大切です。ここでは、飼い主さんができるお手入れの方法を紹介します。
目のケア(目ヤニ・涙やけの予防)
目の周りが汚れたら、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンで優しく拭き取りましょう。目ヤニが固まっている場合は、無理にこすらずふやかしてから取るのがポイントです。涙が多い猫はこまめに拭き取ることで、涙やけを防ぐことができます。
目ヤニの色が黄色や緑色に変化したり、目が赤く腫れたりしている場合は、結膜炎や角膜炎の可能性があるため、早めに獣医師に相談しましょう。
鼻のケア(鼻水・くしゃみの対策)
鼻の周りが汚れているときは、ぬるま湯で湿らせたガーゼで優しく拭き取りましょう。乾燥した鼻水は無理にこすらず、ふやかしてから取り除くのがポイントです。
室内が乾燥すると鼻の粘膜が弱くなり、くしゃみや鼻水が増えることがあるため、適度な湿度を保つことも大切です。黄色や緑色の鼻水が出たり、くしゃみが頻繁に続く場合は、猫カゼなどの病気の可能性があるため、早めに獣医師に相談しましょう。
口のケア(よだれ・口臭の予防)
猫の口の健康を守るためには、歯磨きを習慣にすることが大切です。猫用の歯ブラシや歯磨きシートを使い、無理のない範囲でケアしましょう。
歯磨きが難しい場合は、デンタルケア効果のあるおやつやフードを活用するのもおすすめです。口臭が強くなったり、よだれが増えたりした場合は、口内炎や歯周病の可能性があるため、早めに獣医師に相談してください。
耳のケア(耳垢・かゆがるしぐさの予防)
猫の耳垢が増えすぎると汚れがたまりやすくなるため、週に1回程度を目安に耳の中をチェックし、必要に応じて猫用のイヤークリーナーで優しく拭き取りましょう。
耳を頻繁に掻いたり、黒っぽい耳垢が増えたり、異臭がする場合は、耳ダニや細菌が原因となる外耳炎の可能性があります。綿棒を耳の奥まで入れるのは危険なので、異常があると感じたら早めに獣医師に相談してください。
まとめ
猫の顔まわりの汚れは、単なる汚れではなく、体調不良のサインであることがあります。特に、目ヤニや涙やけ、鼻水、よだれ、耳垢の増加などが見られる場合は、病気の可能性を考えて注意深く観察することが大切です。
日頃から猫の顔を優しく拭いて清潔に保つことで、異変に早く気づくことができます。また、少しでも「いつもと違う」と感じたら、無理に自己判断せず、獣医師に相談することをおすすめします。
飼い主さんのちょっとした気づきが、猫の健康を守る大切な一歩になります。毎日のケアを通じて、愛猫が快適に過ごせるようにしてあげましょう。
(獣医師監修:葛野宗)