妊娠出産の思わぬ落とし穴。最大の理解者実母との関係悪化
2人姉妹を育てるママライターの愛華です。私が長女を妊娠したのは31才の時でした。出産前は、実母との関係は良好でした。仕事の愚痴から友だちとの楽しいできごとまで、「聞いて、聞いて」という調子で、私は母と顔を合わせれば止まらないほどおしゃべりしていたように思います。それが私の妊娠・出産をきっかけに、どこか壁を感じるようになってしまいました。その経験について、お伝えしたいと思います。
精神的にまいった長期入院
母との関係が変わり始めたきっかけは、切迫早産で長期入院した時でした。私は直前までフルタイムでバリバリ仕事をしていたのですが、その生活から一変した初めての入院生活に戸惑っていました。
さらに入院のタイミングで妊娠糖尿病も発覚し、食事制限とインスリンの自己注射が始まったことも精神的なダメージを大きくしていました。そんな日々、一番お見舞いに足を運んでくれたのは、夫よりも母でした。誰よりも懸命に、私を支えようとしてくれたと思います。
しかし、私はだんだんと母と顔を合わせるのがつらくなってきていました。大部屋なので会話も気をつかい、いつもの調子にとはいきません。入院生活は変化の少ない毎日だったので、私からの話題提供もほとんどできず、母もほとんど新しい話題がありませんでした。
母の気遣いを干渉と感じるように
母は気配り上手で、世話焼きタイプ。気遣いをする性格です。そんな母を尊敬していたはずが、私はそんな母の行動を逆に監視・干渉と感じてしまい、退院してからもつらい日々が続きました。
退院できて「やっと自由の身になった」と感じていたのも、つかの間。里帰り出産だったので、実家生活に入りました。すると自宅とは違い、母が私の行動を常に気にかけてきました。ちょっと出かけようとすると、「どこに行くの?」、「何時に帰るの?」と、いちいち聞いてくる母に、うんざりするようになってしまいました。
「退院してやっと自由になったのに、今度は母親に監視されている気分だわ…」と。母からすれば、ただ心配だったのと、ごはんの時間を気にして確認していただけなのでしょうが、私は過剰に受け止め、勝手に干渉されていると思い込んでしまいました。
徐々に崩れていった母との関係
母は、孫の世話のためにと仕事を辞め、一日中家にいてくれました。それが逆に、私にとっては一人でいる時間が取れない苦悩の日々となってしまいました。母と一日中一緒にいる毎日に、私はただただ疲れてしまったのだと思います。
徐々に私の応答は、素っ気なくなり、表情も乏しく、ふさぎ込みがちになっていきました。結局、予定していたよりも早々に里帰りを切り上げ、自宅に戻った時には解放感でいっぱいでした。
母とは、特段何か大事件があったわけではありませんでした。けれど、今思えば、私が長期入院で精神的に弱っていたことや、産前産後でナーバスになっていたこと、ホルモンバランスの変化で不安定だったことが、母に対する気持ちの変化の原因だったのではないでしょうか。
ちょっとしたことに過敏に反応してしまったり、感情が抑えきれなかったりと、私も随分苦しみました。
母が何かしたわけでもないのに、私の妊娠・出産で、歯車が合わなくなってしまいました。現在は、表面上は修復しつつあるように感じますが、私の中にはどこか解決しきれずにいる気持ちも残っています。「以前のように楽しい関係を」と願いつつも、今でもお互いに遠慮し合い、距離感をはかりながら過ごしているように感じます。仲が良かったころを思い出し、寂しく感じることもありますが、私が変わればきっと、また以前のような関係になれると思い、少しずつ関係を修復しています。
[愛華*プロフィール]
フェイシャルエステティシャンを経て34歳で2人目を出産。出産を機にライターの世界へ足を踏み入れました。日々新しいことにチャレンジしながら子育てと両立し、新鮮で楽しい毎日を過ごしています。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。