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松岡充×丸尾丸一郎、8年ぶり再始動のVOL.M 『UME -今昔不届者歌劇- 』が開幕 オフィシャルレポート&舞台写真が到着

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VOL.M 『UME -今昔不届者歌劇- 』

2026年2月15日(日)サンシャイン劇場にてVOL.M 『UME -今昔不届者歌劇- 』が開幕。初日前に行われたゲネプロのオフィシャルレポート及び舞台写真が到着した。

「まったく違う『不届者』をつくる」。そう宣言して8年ぶりに再始動したVol.Mは、2017年に初演した『不届者』を歌劇『UME -今昔不届者歌劇-』としてあらたに生み出した。
冒頭、パーカッションと津軽三味線の生演奏が、不穏ななかにも軽快さを漂わせ、舞台上から鋭い風を吹かせる。ステージの真ん中には、梅の木が一本。幹がうねり蛇行しながらも、堂々と立つ梅のもとで「復讐劇」が幕をあける。

愛する妻マリアを轢き逃げで亡くした梅本(松岡充)。悲しみに暮れるなか、保険屋(街裏ぴんく)が持ってきた書類は、死亡保険の受取人の名が書き換えられていた。お互いのために、ふたりで掛け合っていた生命保険。梅本は、受取人となっているマリアの義理の兄たちが働くキャバクラ「ポイズンガール」に潜入する。
「保険金殺人だったのでは…!」と復讐心に駆られていく梅本に、保険屋が手渡したのは“復讐のシナリオ”だ。そこには「徳川吉宗になれ」と書かれてあった。保険屋という「脚本家・演出家」のもと、梅本は、徳川幕府八代将軍・徳川吉宗の半生を演じることに。そうして物語は、現代と江戸、ふたつの時代が交差していく。

作・演出の丸尾丸一郎は8年前に『不届者』を書いた時、肉親たちが次々と死んだ後に将軍となり独自の政策を打ち出し続けた徳川吉宗というモチーフに「ミュージシャン・俳優としてこの業界で長く、色濃く活動してきた松岡の人生」に対するイメージを重ね合わせたそうだ。初演では、松岡は背中を丸め、冴えない中にも野心を隠さない男を演じていた。
しかし今回は、野心よりも弱さや孤独が際立つ。ミュージシャンとしての夢は破れ、愛する妻を亡くし、失意の中にいる梅本。松岡はパンフレットの冒頭あいさつで『「僕がやっていることは自分の人生にとってなんなんだ」と時折考えるようになりました』と述べた。それは、舞台上の梅本の姿とも重なる。歳を重ねるほどに、「自分の人生ってなんなんだろう」と立ち止まることは誰にでもあるだろう。そんな時、誰かに愛されたくなる。自分の人生に意味を見出したくて、認めてくれる誰かを探し、依存してしまいそうになる。そうして自分を手放してしまえば、あっという間に人生の舵を自分でとれなくなってしまう。梅本は、他人の書いたシナリオを演じると決めた時にはもう、自分を手放したのかもしれない。

そんな梅本の復讐劇かと思いきや、本作は群像劇といえる。
登場人物たちはそれぞれに欲望や孤独を抱え、「誰かに救われたい」「誰かを愛そう」と願う。けれどもほんのすこしのすれ違いが疑念をうみ、他人を羨み、お互いへの嫉妬や復讐心が悲劇へと繋がっていく。

現代では保険金の受取人であり、江戸時代には将軍候補となる兄弟を演じるのは、仲田博喜と大平峻也。プライド高く横柄な兄(仲田)は、しかし懐深く、人の上に立つ風格も漂わせる。小ネタも散りばめ、堂々とした真顔とのギャップが役の魅力と安定感をうみだしている。一方、自己顕示欲の強い弟(大平)は、賑やかで華やか。俊敏に動き回り、観客を沸かせる様子には、自分の欲を隠さない清々しささえある。
梅本の味方としてサポートするタン君(雷太)や、梅本に不信感を抱く天地(丸尾丸一郎)、腹の底になにかを抱えているような秋広(阪本奨悟)、つねに梅本を疑うような視線を送る星(橘輝)。誰もの思惑が渦巻くキャバクラ「ポイズンガール」。その店名が表するように、現代でも江戸でも、成功を手にいれようとする男たちに女性たちは翻弄されていく。Beverlyの芯のある圧倒的な歌唱と、藍染カレンの祈るようなダンスが印象的だ。
一方で、梅本の古い友人である影山(山田ジェームス武)は、変わらず昔のままに梅本に接する。演じる山田の、優しいまっすぐな眼差しが、梅本との明暗を際立たせていく。

物語が進むほどに、一人ひとりの葛藤や背景が見えてくる。とくに『歌劇』にしたことで、1曲ごとに誰かの思惑が激しく描かれる。音楽・YOSHIZUMIの暗さと華やかさの同居する楽曲が、登場人物のいろんな顔を浮き彫りにする。秋広(阪本)やタン君(雷太)のナンバーでは、それまでとはまるで景色が変わるような違う表情を見せていた。物語を操るような存在である保険屋(街裏)とダンサーたちによる歌とダンスはおどろおどろしくも軽快で、残酷な復讐劇をエンターテイメントにする皮肉さがある。
また音楽は、松岡だからこそ表現できる人間の二面性と深みをもたらした。弱く情けない梅本が、シナリオを手にし歌う時には世界を支配する主役になる。その落差が激しいほど、人生において追い求めるものと手に入らないものの溝が際立ち、胸を締め付ける。

梅は「毒」にも「薬」にもなるという。どちらになるかは扱う人間次第だ。
8年前の初演が野心を抱えた者たちの大胆で残酷な復讐劇ならば、今回の『UME』は愛という毒に魅せられ愛を求める者たちへの人生讃歌のようだ。復讐の連鎖の先に辿りついた景色を前に、客席にいる自分自身の人生のままならなさと、それでも誰かとともに生きたいという願いを、愛しく思える気がする。

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