ペレットでグレ狙うご当地釣法『ペレグレ』初挑戦で50cm級シマアジ手中【和歌山】
昨秋から通っている串本カセ、今回はこれから梅雨にかけて最盛期を迎えるグレを狙うご当地釣法、通称ペレグレに初挑戦してきた。本命は不発だったもののシマアジをはじめ様々なゲストが登場し楽しませてくれた。
ご当地釣法「ペレグレ」
過ごしやすい5月は瞬く間にすぎ、6月に入り各地で夏日が続出している。これから梅雨にかけて、私が昨秋から通っている本州最南端、和歌山県串本の湾内に浮かぶカセではグレが最盛期を迎える。
カセ釣り
カセとは湾内に設置された養殖筏に小舟がくくりつけてあり、渡船を利用して渡してもらい釣りをする。港から10分程の近場だが、グレは40cmがアベレージ。50cmオーバーも珍しくないポテンシャルを持っている。
そんなグレ釣りをご当地釣法であるペレット(練り餌)を使い攻略してみようと、6月15日、串本カセの老舗大裕丸にて釣行した。
当日の状況
当日の天気は曇り後夕方から雨予報、潮は長潮で干潮が7:11満潮が12:24。出港時間は朝5時半、30分程前に到着するとすでに大勢のお客さん達が荷物を準備して出港を待っていた。私も挨拶をしながら荷物を下ろし、乗船名簿を記入して出港を待つ。ここ大裕丸ではエサ、氷等を購入する場合、乗船名簿に記載していく、今回は船長の勧めでまきエサ用2袋、さしエサ用1袋を購入した。
5時半になり2隻の親船が用意され、各自指定の親船に乗り込んで行く。この時、荷物の受け渡しを協力して進める事で気持ち良く釣りに入る事ができる。出港して10分程でポイントに着き、順番に釣り座であるカセに移っていく、私もカセに移り釣りの準備をしていく。
ウキ釣りとズボ釣り
今回はここ串本のご当地釣法である、ペレットと呼ばれる練り餌をエサにしてグレを狙っていく。釣り方としてウキ釣りとズボ釣りの2つが主流のようだ。ウキ釣りは磯からグレを釣るウキフカセとは違い、棒ウキで重めのオモリを使いしっかりと棚まで沈め釣るようだ。ズボ釣りはハリとオモリのシンプルな仕掛けである。
最初に重めのオモリを使って底取りし、底までの棚から計算して棚を決めていく。カウンター付きのリールなら正確に棚取りできる。まきエサ用の固いペレットを撒き魚を寄せ、さしエサ用のペレットを針に付け狙いの棚でアタリを待つ。さしエサは適当な大きさにし、なるべく均等な形にした方が落下時にライントラブルがしにくい。
この日の作戦は前述のペレットをエサにズボ釣り、置き竿にしてアタリを待つ間に胴突き仕掛けでお土産確保、釣れた小アジをエサにノマセ釣りで一発狙う欲張りプランだ。
タックル
当日のタックルは以下を用意した。
ペレットズボ釣り
カセ釣りにおいて、専用モデルはほとんど無いため、各自好みで選択すれば良い。私もマダイのテンヤやタイラバ用を流用して使っている。
五目狙い胴突きタックル
ダイワ紅牙MX69HBメタル
リールはタナセンサー150
ラインはPE1.5号
リーダーにフロロ5号を組んだ。
ノマセ釣り
船用グラス竿80号2.4m
リールはシマノ海塊2000T
ラインはフロロ14号
ノマセ釣り用のアジ確保
釣り座に着いてまずはペレットズボ釣りの仕掛けを投入し置き竿で待つ。まきエサにアジが沸いて来たので、オキアミをエサに胴突き仕掛けを投入すると15~20cmのアジが入れ食いになった。ノマセのエサとお土産用に20匹程確保した。時折ズボ釣りのエサを打ち直し、まきエサを入れながら様子を見る。
アジは十分釣れたので胴突きでエサを青イソメに変えてカワハギを狙う。
カワハギも顔出し
すると2投目、カワハギ特有のアタリがきて狙い通りにカワハギをゲット。しかし後が続かず。
多彩なゲストと対面
ズボ釣りに小型のイサキが来ただけでアタリがない時間が過ぎたが、10時を回り潮の動きに変化が出たタイミングでいきなりロッドが絞りこまれた。強烈な引きを楽しみながら取り込めたのはトロピカルなカラーのヒブダイ。魚をクーラーに入れ落ち着こうというタイミングでまたしてもロッドが海面に突き刺さる。
先程より強烈な引きでスリル満点のファイトだが、釣れたのはサンノジ。
しばらくしてノマセの竿に怪しい動きがあり注視しているとグングン引き込まれていく。ヒラメを期待したが上がって来たのはウツボであった。なんとか針を外しお帰り頂く。
50cm級シマアジ登場
昼食を済ませ昼からはズボ釣りを手持ちにしアタリを掛けにいく。しばらくしてモソっとしたアタリを半信半疑で合わせるとかなりの重量感。最初の走りで、隣に入れていた胴突き仕掛けとオマツリしてしまい慎重にやり取りを行う。
無事キャッチできたのは50cmを少し切るシマアジであった。本命ではないものの嬉しい1匹だ。
この後、同じ感覚でアタリを掛けにいき、30cm程のイサキとサンノジを追加するが、本命には至らない。雨も強まってきた終了間際、小さなアタリをかける事に成功。今までとは少し違う引きに本命を期待したが、取り込めたのは40cm程のヘダイであった。これがラストフィッシュになり本命をキャッチするには至らなかった。
反省点
今回初めてペレットをエサにしたズボ釣りに挑戦したが、予想以上に様々な魚がヒットした事に驚いた。やはり養殖筏に着いたおこぼれを狙う魚にはいいエサなのだろう。
反省点として、欲張って出したノマセがグレの寄りを悪くしていたと思われる。エサのアジが暴れウツボなどの肉食魚がいれば当然だろう。ズボ釣りを手持ちにしてわかったのが、アタリは非常に繊細で手で感じても掛けれないアタリも多数あった。最初から手持ちで集中していればもう少し釣果を伸ばせたと思う。
服装も失敗
天気予報を過信してカッパを着て行かなかったのも失敗だ。撥水ジャケットは着ていたが、午前中から本降りになり、下船する頃にはびしょ濡れになってしまった。
カッパはとりあえず着ていき、カセで脱げばいいと痛感した。なお、天候に関わらず安全のためライフジャケットは必ず着用して頂きたい。
釣果レシピに舌鼓
翌日、今回釣ったシマアジはお刺身となめろうにしたがどちらも絶品。天然シマアジは市場価格も高く釣り人の特権だ。ヒブダイは皮は湯引きしてお刺身にした。独特の食感でポン酢が合う。残りは唐揚げでこちらも美味しく頂いた。外道扱いされるサンノジも下処理をする事で美味しく頂ける。お刺身は甘味が強く濃いめの醤油が合う。
カワハギは身は夏が旬で肝は小さいが肝合えにした。こちらも絶品である。釣りのポテンシャルも高いが味のポテンシャルも高い串本のカセ。次回は本命グレを釣って味わってみたいものだ。
<稲垣順也/TSURINEWSライター>